2008年10月5日日曜日

今日の「スプリンターズ・ステークス」から、JRA秋のG1競馬が始まる。競馬ファンにとってはたまらないシーズンの到来である。

昔は、競馬といえば一攫千金を目論む気持ち以外はまったくなかったのであるが、最近は、ギャンブルとしての競馬の魅力よりも、競馬予想する人たちの分析過程、競馬理論なんかを、読み物として楽しむ傾向にある。

馬を毎日管理し、競走馬として一流にしたてる厩舎の人たちのコメントも面白い。

「ハードに追ったらスイッチが入ってきたね。気も体も十分だよ。馬がやる気になっている。」

「やる気」って・・・(笑) 馬にしてみれば、強烈に鞭打たれて走るレースが楽しいはずがないと思う。「やる気」は人間の好解釈であり、馬にしてみれば「怒り」を表したにすぎない気がするのだが。ただ、生まれつき走る習性がある馬のこと、馬によっては競り合って抜け出さずにはおれない気性のやつもいるだろう。自分から必死で走る姿をとらえての「やる気」・・・。何だかかわいいコメントだ。

「ここにきて、ムキにならずに好位でがまんできるようになっている。精神面の成長が大きいよ。」

「がまん」って・・・(笑) 騎手の豪腕で暴走させないようにする指示に、ただ従っているだけで、以前は人間の力では抑えきれなかっただけに過ぎないと思う。人間の言うことを聞かないといつまでもハードに追われるから、従ってみる気になっただけだ。ということは、「精神面の成長」と言えなくもない。なるほど。

「ここにきて、ズブさが出てきたが、やっぱりパワーあるよね。」

こういう馬大好き(笑)。競馬用語で「ズブさ」は、「ずるがしこい」といった感じだが、 調教では手を抜いて、本番ではしっかり走る。手を抜くところを馬が知っているのだから、賢いなと思う。こういう馬に仕立てあげられたら、調教師も楽だろう。競馬予想をする側にとってみれば、調教で走らないので予想が難解だが・・・。

馬にも色んな性格があって、常に一生懸命に走るが、いかんせん鈍足タイプがいれば、調教では走らないが、本番になると走るタイプもいる。もともと足が速いのに、ほとんど力を出さず、鞭打たれることになれたダウナー牡馬が、牝馬を追いかけて、その結果激走することもある。それぞれの馬の性格を、調教師コメントなどから考慮して予想するわけであるから、競馬予想は楽しいに決まっている。

馬というのは、人間以上に格差社会だと思う。まず、サラブレッド、アラブといった、どんな馬種に生まれるかによって、生き方が変わってくる。サラブレッドならば中央競馬へ、アラブならば地方競馬へと行く。そして、サラブレッドはサラブレッドなりにその世界での格差が出てくる。

足が速い馬は重宝され、カイバも不自由なく与えられる。ディープインパクトなんかのエリートサラブレッドは、早くして競走馬を引退させてもらえ、その後には種付け馬として、まぐわった日々を過ごすことが出来る。

自分の前に毎日、種付けされる牝馬が群れをなしている。それにひたすら交尾していくのだから、そこらのピンク教祖も顔負けの交尾人生だ。

一方、元来の鈍足サラブレッド馬は、散々しばきあげられて中央レースに出た後に、地方に売り飛ばされる。そこで、多少なりとも活躍すれば、馬事公苑で、見世物らくだみたいな扱いで長生き出来るが、地方でも走らなければ、すぐに馬刺しの運命だ。

毎日交尾三昧の馬と、数年後に馬刺しの運命の馬・・・、人間界の格差なんかはかわいいものだと思えてくる。

また、エリートサラブレッドといえども、サイレントスズカみたいに、レース中に骨折して安楽死の運命を辿る馬もいる。人間界と同じく、馬界も一寸先は闇であり、何が起こるかわからない。

ちょっと前に、馬の気持ちを詞にした曲を作った。馬の気持ちを察しようとする人間を揶揄した曲であるが、今度「ほうるもん」で完成させようと思う。

競馬に興味のない人も、厩舎コメントや予想記事を読んでみると楽しいと思う。

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