2008年10月7日火曜日

いちびり先生、夢に現る

なぜ急に現れたのかはわからないが、昨夜の夢に、小学校の時のある先生が現れた。
夢の中で俺に、「先生さ~、ま~た失恋してしまった。もう108回目だよ~。」と嘆いている。それに対して、「煩悩の数と同じやんけ!」とツッコミをいれる、可愛いくない小学生の俺がいた。

この先生は、「新八先生」こと、新田八郎太風のルックスの熱血教師であった。俺は担任として受け持ってもらったことはなかったのだが、よく交流があった。俺が今でも恩師として尊敬している担任のK川先生という先生に求愛して、ふられていたであろうことを、小学生ながらに俺は感じていた。

新八もどきのS田先生は、大学時代にギターをかじっていたようだ。同じくK川先生も軽音サークルに入っていたみたいで、放課後に音楽授業の打ち合わせなのかどうかしらないが、二人仲良く教室でギターを弾いている光景を見かけた。その時のS田先生のデレデレ顔を見て、「こんな大人にはなりたくない。」と思ったものだ。

後にK川先生は別の男性と結婚され、S田先生の恋は終わることになった。

このS田先生、今から思えば相当イタイ先生であった。ちょうど大学を卒業して教師になり、3年目くらいの25歳くらいであったと思う。一言で言うと、いちびりなのである。

多くの生徒は一種のカリスマを抱いてS田先生を崇拝していたりもしたのだが、俺と親友は、S田先生の言動をすぐに、いちびりと見抜き、子供相手にいきっている25歳の大人のしょぼさを二人でよく馬鹿にしていた。

全校集会が終わろうかとする時、「他に何か先生方ありますか?」というアナウンスに大声で「は~い」と反応し、隊列の後ろから走ってきて壇上に上るS田先生。言うことはしょぼい。

こぶし大くらいの石をかざしながら、「みなさん、これ何だと思いますか? そう、石です。」

俺と親友は噴出すのをこらえていた。「わかるがな。石以外の何に見えるねん!」と数十回は事後嘲笑のネタにしたものだ。

S田先生は続ける。「先生これを見て、ぞ~っとしました。もし、誰かが砂場で転んだ時、この石に当たったら・・・、先生、ぞ~っとします。」

俺と親友は、子供ながらに、「なんで繰り返すねん。ぞ~っと2回もせんでいいがな。」とこれまた嘲りネタにした。

S田先生が言いたかったことは、石を砂場に置いた奴がいて、それがけしからん!みんなの砂場、安全なものにしましょうというものだ。主張自体は小学校教師としてはあり得るかとは思うのだが、S田先生がかっこ悪いのは、同じネタを3回にわたって全校集会で使ったことだ。要は、何かにかこつけて目立ちたいのだ。

その内1回は、明らかに捏造であることを、俺と親友は見抜いていた。砂場にポケットから石を置き、それをかざして壇上向けて走るS田先生を見てしまったのだ。3回にわたり、「何度も注意しなくてはならないことに、先生は悲しくなります。」というセリフを足しては、あつっくるしい話を投げるS田先生。洞察力のないS田信者の同級生は、先生の熱さに感動し、「石を置いた人が許せない!」みたいに言っていたが、俺は彼らを見て得意気だった。「俺は本当のことを知ってるで。石置いたん、S田先生やん。あかんやん。」

S田先生の痛い言動はたくさんあったが、最高に痛いのが、バスケットボールの時間の行動だ。

小学生のバスケットゴールは、大人ならジャンプするとダンク出きる高さだ。つまり、誰でもそれなりにかっこよくは見せられるのだ。

S田先生のバスケット授業は、先生による模範実技が授業の7割を占めた。ダンクを決めるたびに拍手を送る浅薄な女子、それにつられるS田先生。俺は大人になりたくないと思った。ミニゲームを開始してもすぐに笛で止め、実演する。うざったらしくてたまらない。

ずっと忘れていたS田先生がなんで夢に出てきたのかはわからないが、今から思えば、学校教師といえども、たかが20代の若者だ。社会人体験が全て教職である人には問題が多いと思う。

教員採用試験に受かった人は、3年間の一般企業研修を経て教壇に立たせるほうがいいような気がする。研修先の企業からの評価を受けて、それがあまりに未熟であったならば研修期間を伸ばすのもよい。研修中の給料はずっと見習い時給だ。そのかわり、しっかり研修を終えて教壇に立った先生の給与は今の倍にしてあげてもよい。

パソコンや書籍の知識ですべてを悟ったかのような、頭でっかちを研修中に排除し、理屈ではないものが社会生活にはあることを体感させてから、デビューさせてあげるのだ。

といったことを、大分県の教員不正採用事件の後、色々考えていたので、昨夜の夢に現れたのだろう。

S田先生は、しょぼいとは言ったものの、まだましだった。もっと世間ずれした先生がたくさんいた。鼻毛びっしり先生、渡軍団のような極道先生、服の着丈がいつもずれている先生・・・。

塾業界は、身だしなみ面では一般企業なのでまだましだが、生徒にいちびる奴は多い。前職場の非常勤の学生バイトに痛い奴はいっぱいいた。どういう展開で自慢話になるのかわからないのだが、一部の感性豊かな生徒が俺に密告してくれたことがある。変な業界で働いているな~と思った。

まさか、S田先生が夢に出るとは思わなかったのでびっくりしたが、今の俺は当時のS田先生の年齢をはるかに超えているのだと思うと、何だか笑える。だが、年下にしかいちびれない大人にはなっていないと自己評価している。そういう面ではS田先生が良き反面教師となってくれたのかと思う。S田先生に一応感謝しておこうと思う。ダンク・ユー。

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