2008年10月12日日曜日

無駄な議論

アメリカの北朝鮮への「テロ解除」の報道に落胆の声が多く報道されている。拉致問題の解決が遠のくとの声が聞かれていて、実に困った問題だ。

ただ、この報道がなされて、拉致問題の解決の進展にまで話が及ぶことは、戦後60年以上を経てもまだ、日本がアメリカの属国であることを自ら認めていることに他ならない。そのことへの学識者からの言及があまりなされていないことに違和感がある。

本来、拉致問題は日本と北朝鮮との個々の問題だ。勝手にさらっておいて、それを対外交渉の圧力にしてくるという、北朝鮮の暴挙に対して、日本は個別に強硬姿勢をとるべきなのであるが、1人で戦うと北はミサイルでも撃ちかねない。そこで、アメリカ番長に、「あいつらをやっつけて。」とお願いして、それに一時的にアメリカが乗ってくれたのが、「テロ支援国家指定」だ。

番長が圧力をかけてくれることで拉致問題が解決すると思っていること自体が情けないが、ここにきて、アメリカの対北朝鮮姿勢が弱くなってきた。ブッシュさんにしてみれば、在任中に形だけでもいいから、対北朝鮮外交の成果を残しておきたいのだろう。

番長の心変わりに日本が慌てるということは、結局、他力本願でしか解決の糸口を見つけられないことを認めてしまったことになる。「どうしよう。今から1人で戦わなくてはならない。こわいよ~。」との嘆きが哀れである。表向きはアメリカに対して陳情しているが、単なる憐憫をこうだけのものだろう。何の効果もない。

断固として北朝鮮に抗議する姿勢をとると、それはそれで外野がうるさい。軍事発動も辞さないくらいの姿勢をとるには法整備が遅れている。だから「対話と圧力」という言葉で、外交政策を行っているふりをするしかない。圧力なんて実際にかけられるのだろうか? もし本当に日本が個別に北朝鮮に圧力をかけて、対話できるのであれば、アメリカが「テロ解除」したところで、「ふ~ん、アメリカさんはそうなんや。俺らもうまく関係がいくようにさらに努力しよう。」と思うだけで、別に悲観するニュースでもないはずだ。結局、日本政府が言う、「対話と圧力」は、飾り言葉だけで実体のないものなのだろう。

情けないが、それが日本の現状だろう。軍事圧力で交渉してくる北朝鮮に軍事発動できないのだから、仕方ない。

ならばだ、自衛隊の海外給油支援延長の法案なんかは、反対する余地がないと思う。政局に利用されるほどの重みがある法案ではないと思う。アメリカ番長に引き続きついていくためには、無条件受け入れのものであり、本来なら法案化する必要もないことだ。アメリカが、「おい日本、金と人出せや。」と言ったら、「はい、喜んで。」と出せばよい。そうしないと、番長は機嫌を損なうのだから仕方がない。

仮に日本の言い分をしっかり言って、「ちょっと番長、俺らいつまでもあんたに指図される筋合いちゃいまんねん。今日から一本どっこでいきますわ。」と強気に言えるくらいの覚悟が日本にあるならば、北朝鮮に対しても、「何を眠たいこと言ってるねん。はよ返せ。え~かげんにせんと、将軍しめちゃうよ。」と言えるはずだ。アメリカの「テロ解除」に失望するはずもない。

どっちかにしようや~ということだ。アメリカの属国として素直に従属していくのか、それとも、あくまで独り立ちして、自己のスタンスを貫くのかだ。

日本が軍事力を使わずに対話で臨もうとする姿勢は素晴らしいと思う。だが、軍事力をちらつかせて対話してくる野蛮な奴らがいるのが現状だ。それに対処するためには、どうしたらいいかの姿勢をはっきり打ち出すべきだと思う。

軍事力はあくまでアメリカに頼るのならば、アメリカが要求することには無条件に従わざるをえない。1人立ちであくまで自力で軍事力を使わずに臨むのならば、北朝鮮がミサイルを撃とうが仕方ない。

個人的には、「日本は軍事力を他国がどうであれ使いません。よって軍事力で臨んでくる国に対しては、精一杯交渉につとめますが、向こうが強行的にミサイル発射でもしてきたら、受け止めます。軍事による報復もしません。」という姿勢を貫けばよいと思う。そうなれば、自衛隊は迷彩服を着る必要もなく、災害復旧隊として余計な予算もいらなくなる。

仮にミサイルを撃ち込むあほな国がいて、それで死者が出ても仕方ない。それでも対話以外の無抵抗を貫くならば、国際的な世論が野蛮国を裁いてくれるだろう。

ただ、こちらが本当に軍事力を捨てるならば、いくら野蛮国でも撃ってこないと思う。無防備な奴に打ち込むことを躊躇する良心が人間にはあるはずだと信じている。

俺の個人的な理想論は叶うはずもない。理想と現実は違う。だから、理想ばかりを振りかざさずに、現状で出来る限界をもっと政府要人には考えて欲しい。現実対処の法案に理想論で反対されても議論は不毛だ。現実を鑑みて、無駄な議論を減らす。そして長期的に理想に近づける議論をこつこつ続ける。現実法案には現実的に、理想法案には理想的に、短期的、長期的の2本立てで政策に邁進してほしいと思う。

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