2009年3月1日日曜日

不名誉な謝罪検定試験

英検準会場になっていた私立学校が、英検問題を生徒に事前漏洩していた問題で、現理事長が謝罪会見をしていた。

一通りのフォーマットにのっかった謝罪をした後に、この理事長さんが持論を垂れていたのだが、なかなか面白い。

「漏洩は、私が就任前にされていたことで、私になってからは全て金庫保管していた。社会に謝罪する気はない。」と言っていた。

確かに、就任前の漏洩事件であり、あくまで担当者レベルの漏洩である。だから、この理事長さんに一切のやましいことはないのだろう。日本人は謝罪会見での正論を美徳としないけれども、この理事長の言うことは正しい。やましくも、落ち度もないのに謝ることは、偽善である。保守心の裏返しにしかならない。

何でも監督者責任を持ちだす風潮は好きではない。組織のトップが何でも責任をなすりつけられるのは、仕方ない部分があるにせよ、地雷を踏んだような側面もあると思う。だから、形式一辺倒の、気持ちの入っていない謝罪を繰り返す奴よりはましだとも思った。

ここまでは、どちらかというと、「お、この理事長やるやんけ!」と思っていたのだが、次の言葉を聞いて、「こいつ、ただのヘボや! 先生様や!」と思った。

「準会場は、性善説にのっとって行っているが、性悪説の前提で対処しなければならない。」というセリフを聞いた時だ。

英検協会の準会場システム自体にまで持論を垂れるのは結構だが、それは不祥事が自らの集団にない時に言えばよい。英検協会側に対してもの言う資格がある時に言う言葉だ。

準会場として、長年にわたり忠実に試験を実施し、表彰を協会側から受けたような場合にこそ、今後の改善策として意見を言えば、それは協会側も耳を貸すだろう。

そもそも、問題漏洩をするようなヘボ教師がいる学校なんだから、同じ集団の長としては、少なくとも低姿勢を貫くべきであったのだろう。ヘボの多い集団は、上もヘボだと見なされても仕方がないからだ。それを意気しゃあしゃあと強気会見をするものだから、マスコミの餌食となる。そして、このTPOをわきまえない発言により、実際に彼もヘボであったことが露呈する。

俺も以前の塾で、英検、漢検共に、準会場の会場責任者をしたことがある。どちらも数日前に問題など一式が送られてくる。担当者は同封物だけをチェックして、あとは人目に触れない場所に保管して、試験当日を待つ。

問題を事前漏洩しようとする意識を持つ人が存在すること自体、こんな事件があるまで認識しなかった。

全く持って不思議なのだが、事前に問題を漏洩して、生徒が検定に合格したとして、何のメリットがあるのだろう。どういった心境から漏洩に意識がいくのだろう? 実力の伴わない合格者を出すことに何の意味があるのだろう? 生徒にとっては不名誉なことであろう。教育に携わる人間のこういった意識が、どんなに努力しても理解できない。

理事長さんは「性悪説の前提で対処しなければならない。」と言っているが、ここで言う「性悪」が、「問題漏洩をしてでも合格者を多数出したい。」と思う心理であるとするならば、申し訳ないが、この組織以外のほとんどの人は「性善」だ。お前とお前の組織にだけ、「性悪説前提」で対処してくれ!

漏洩意識を持つ奴が出た土壌には、やっぱ、その土壌に相応しいトップがいるものだと思った。中身の無い合格マークだけに価値を見出す体質、偽りの看板を掲げて満足する精神構造の陳腐さが、この学校の土壌にはあったのだろうと思う。

やっぱ、この理事長は変だ。1度は肯定した、「漏洩は、私が就任前にされていたことで、私になってからは全て金庫保管していた。社会に謝罪する気はない。」のセリフも、醜く思える。

何でも成果は自分に起因させ、不祥事は他者に押し付ける、典型的な狡猾浅薄鬼畜野郎であると思った。

心がこもっていなくても、表向き頭を下げるパフォーマンス野郎も駄目、場をわきまえず正論を振りかざす奴も駄目、両者共に食いつくマスコミも駄目・・・・、肯定できる対象がなくなってきた。

「謝罪検定」なる仮想国家試験を作って、この情けない現状をギャグで乗り切りたいと思った。

謝罪検定、略して「謝検」・・・、明日以降、問題作成にとりかかって、アップして揶揄したい。もちろん合格は不名誉だ。

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