2008年7月6日日曜日

嬉しい知らせ

今年の春先にずっと相談にのっていた以前の塾の教え子から、今日、久々に電話を頂いた。

高1の3学期をずっと不登校で過ごし、高2になる今年の春休みは連日相談に乗り、色んなプランを共に考えていた。

正直、学校復帰は厳しいと思っていたし、大検予備校からの大学進学が一番可能性が高いと思っていた。

彼とは中学時代に関わりを持っていたが、当時から自分自身で問題を解決していく力の欠如を心配していた。医者であるお父様に相談し、受け身の姿勢を無くすために塾を1度辞めることを提案していた。

しかし、高校受験を控えていたこともあり、塾は継続され、言われたことだけに取り組む状態のまま、だましだまし能力だけで受験をクリアし、進学校に無事合格された。

そんな彼が変調をきたし、不登校になった旨を昨年の暮れにお父様から聞かされた。
お父様自身、自分がふがいないとすごく落胆されていた。一般的ないい子であることで満足してあぐらをかいていたことが恥ずかしいともおっしゃっていた。

ただ、このお父様が素晴らしいのが、親として子どもに媚びない姿勢と、世間体なんかは全く気にしない上で、息子に1人の人間として厳しい姿勢で全力対峙する覚悟をおっしゃられた。その上で、緩衝材として、俺に間に入って欲しいという趣旨の依頼を頂いた。

すごく感銘を受けた。お医者様という職業の方をたくさん見てきたが、どうしても世間体と金銭で問題を解決しようとする方が多い中で、謙虚で懐の深い性質に頭が下がった。

意気に感じて息子さんと対峙したが、劇的なことは起こらなかった。らちのあかない会話がくり返され、時間ばかりがたった。

あらゆる進路の選択肢をこちらから単に与えるだけでなく、自分で調べさせるように仕向けた。遠くの大型書店に連れて行き、自分で、中退した場合の選択肢としてどのようなものがあるかを、中の書籍から調べてくるようにさせた。

最初は、「何見ていいかわからん。」と言いながら、ぼ~っとしていたので、書棚に連れて行き、また1人にさせた。今まで自分で参考書なんかを探しに本屋に行ったこともなかったという。

書籍を購入後、学校に行きたくない動機を1つずつ紙に整理し、中退する場合、残る場合、それぞれのメリット・デメリットも整理することをすすめた。

最終的には、高校に残って進学を目指すのが一番楽で、一番の近道である点だけを力説し、自分自身で決断するように促し、方向性が見出せたら連絡欲しい旨を伝えて数ヶ月が過ぎていた。

高2になった春、何とか再び学校に行きだした旨の連絡をいただいたきり、しばらく連絡がなかった。

便りがないのは良い便り。 

久々の音信となった今日の電話。

なんと、高2の1学期、ほとんど欠席せずに学校に戻れたという。感動の嵐だ。1度気持ちが切れてからの学校復帰、すごいエネルギーがいったと思うが、大したもんだと思う。

学業の遅れを少しずつ独学で取り戻し、旧帝大のどれかを目指すという。何でもまる投げで塾に逃げる姿勢も改め、自分で少しずつ欠席していた単元を遡って取り組んでいるという。

高2の夏休みを控えた今、今からの受験勉強計画と英・国の質問だけ頼らせて欲しいという。 喜んで引き受け、水曜日に会うこととなった。

今後、彼の日常に、相談できる友人や恋人との縁が訪れ、俺ごときに相談する必要がないようになってくれたら、なお良いと思う。今日の朗報で、十分こちらは嬉しくなった。水曜日を境に音信が途絶えることを望む。

商売とは離れた部分で、良い体験をさせてもらった。彼に便乗して、少し多目の酒を飲もう!祝杯だ!

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