2008年7月25日金曜日

アイフォン狂騒

アイフォンが日本でもソフトバンクから発売されることになり、販売店には長蛇の列が出来、品切れが続出したとの報があった。

最近はガソリン価格の高騰を受けてか、車離れがすすむ代わりに、家電やゲーム、電脳機器への需要が高まっているとの報道もあった。

俺は正直、アイフォンなる言葉も、ニュースで発売日の狂騒の報を聞くまで知らなかった。
そんなに並んでまでも欲しいものなのかと思い、注意深くニュースを見ていたが、どう考えても欲しいと思える代物ではなかった。

インターネット接続が早くて綺麗、タッチパネルで操作しやすい、i-pod代わりにもなる・・・色々利点が報道されていたが、冷静に考えてどれも魅力的ではない。

インターネット接続が早いとはいうけれど、1時間のものが1秒になるなら魅力的だが、数秒かかっていたのが、1秒未満になったところで、長蛇に加わる動機にもならなければ、いずれ手にしたいものとも思えない。

家にパソコンがあり、それがインターネット接続環境にあるのだから、それで十分だと思うのだ。何を好き好んで、小さな画面で繋がろうと思うことか!

家にいない時間、仕事中、出先などでネットに繋ぐ必要性が今はそれほど高いのだろうか?俺だけが必要性がないだけで、多くの人は日中もネット環境を必要としているのだろうか? もっといえば、それほど早急に取り出したい情報とは何で、その情報が何に必要だというのか?

前職時代の非常勤採用していた子と、昨日話す機会があった。彼はいつも忙しい人らしい。親元で暮らし、バイトをするだけで、特に対人付き合いが多いわけでもない。忙しい理由がよくわからない。

彼は言う。「今は情報社会っす。いろんなコミュニティで情報交換をするために、僕もアイフォン早く手に入れたいっす。」

俺は聞く。「何の情報を取り出したいん? 何を情報交換してるん?」

彼は言う。「そうっすね。ニュースとか、天気予報とか、あと、自分いろんなコミュあるんでそこに結構入る必要あるんすよね。」

俺は言う。「ニュースって最新必要? 翌日新聞で見るタイムラグでは不十分?天気は空見て適当に推測したらだめ?」

彼は言う。「そうですね。色々情報交換する上で、やっぱ最新ニュースを知っていたいと。」

俺は言う。「その情報交換ってやつやけど、何を交換するん?」

彼は言う。「そうっすね。今日あったこととか、政治の話とか・・・、色々っすね」

俺は言う。「直接話さへんの?  たぶん、自分で情報に支配される環境作り出して、忙しくしているだけちゃうかな? あんたが言う情報交換というやつは、俺がする対人交流内での雑談を、わざわざ機械通してやっているだけちゃう? なんだか、めんどくさい世の中になったな~。」

毒のある言葉を吐く俺・・・。 個人的に彼の頭でっかちさが嫌いで、交流を避けていたのだが、懲りずによく遊びにくる。そして色々話しかけてくる。こっちが「嫌い嫌いビーム」を送っているのに、「好き好きビーム」を送ってくるやつだ。必然的に「嫌い嫌いビーム」の破壊力を大きくせざるをえない。

彼は言う。「前から言ってますけど、ここ(職場)もネット環境早く作らないとやばいっすよ。サイト作りましょうか?」とか、「自分、LAN構築できるので、しましょうか?」と言う。

俺は哀れんだ表情で言う。 「LAN せんでも 目の前おる人には直接話すわ。RUNする距離でもないしな、唾飛ぶ距離やから・・・。」 

電脳媒体を否定しているわけでもなければ、むしろ俺は毎日電脳媒体との関わりを欲しているほうだ。

ただ、家にいない時間にまでネット環境に身を置きたいと思うことがない。
そういう必要性がある人も中にはいると思うが、圧倒的少数であろう。

自ら作り出した環境に時間を吸い取られて、大切なものに思いをはせる時間を無くすこと、時間の取捨選択は人それぞれだが、なんだか違うのでは?と思う。

洗濯機の発明、これは便利だ。時間の節約にもなる。
冷蔵庫、掃除機、文明の利器は数あれど、昭和中期までの発明は、多くの余暇を作り出す機会を与える機械であった。

ところが、昭和末期以降生み出された機械は、機械への依存を促し、従来からある種々のものにふれる機会を奪うための機器が多い気がする。
アイフォン発売日の売り場模様は、やはり狂騒としか言いようがない。

機械にひれ伏す人間、その姿はご主人にひれ伏す犬のようでもある。

ソフトバンクのCMのお父さんが犬であるというのは、販売者自らが自分たちを揶揄した痛切な風刺のようにも思える。孫さんは確信犯か? 犬を家長と仰ぐ、総ペット時代を意図しているのか? 

家犬長制のコミュニティー、あざ笑いながら闊歩してやりたい。機械を使いこなす側であり続け、狂騒ではなく協奏したいものだワン。

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