2008年7月30日水曜日

先人の観察眼

今みたいに気象や自然現象のメカニズムがわかっていなかった大昔、身の回りの自然を見ながら、天候や季節や自然の変化を認識していた人たちの観察眼とおおらかさは、なんともうらやましい限りだ。

「夕焼けが出ていると次の日は天気が良い、朝焼けが出ているとその日の天気が悪くなる。」
といった、昔からのべたな天気予報であるが、これなんかは、何の知識もなく、空と風向きを毎日見ながら、体験によって得た予想である。

ところが、この体験的に得た予想である、「夕焼けの次の日が天気がよい」という予想は理にかなっている。

くわしい知識は持ち合わせていないが、小学校の時に読んだ本に書いてあったことを思い出す。

温帯では、一般的には強い風が西から東に吹くので、天気も西から東へ動く。
夕焼けが出ているということは、西の天気が良いということだから、明日あたりには、わが頭上に好天が来る。

当たり前であるが、これを知識として持ってから空を眺めるのではなく、最初に経験を積み重ねて、この法則を得た先人の自然観、なんだか素敵に思える。

同じような、自然に基づいた天気予報に、「天気が良いときにはトビが空高く飛ぶ。天気が悪い時には低空を飛ぶ。」といったものもあった。

最近はトビをあまり見かけないが、これは俺自身、小学校の時に体験した。

近江八幡の祖父の家に数日滞在した時、暇で暇で仕方がなかったので、毎日家の前の山を眺めていた。目の前にはロープウェイがあって、そのロープウェイの運行間隔を測りながら、飽きずに空を眺めていたことがある。

ロープウェイを眺めていると、トビが目に入る。トビが空高く、優雅に飛んでいる時は、やはり天気が良かった。

一方、トビが下の方まで降りてきて、低空飛行になりだすと同時に、雲行きが怪しくなり、きっちり天気が悪くなった。

目の前の山に遊びに行くか行かないか、俺はトビをナビにして判断していた記憶がある。夕焼け予報よりも信頼度の高い予報だった。

このトビの行動の変化と天気との関係の理由は知らないが、単純なものだろう。

トビは空中で餌を探しているが、天気が良いときは高くからでも獲物を見わたせるが、天気が悪くなる前段階として霧がかかりだすと、獲物がよく見えないから低空飛行になるのだと思う。 この、かかりだした霧は、肉眼でキャッチできるほどのものではないが、トビにとっては、視界を曇らせるものなのだと思う。トビの行動変化があって、しばらくしてから、肉眼にも霧が雲となって目につくようになる。

夕焼けにしても、トビにしても、その理由をじっくり興味持って調べればよいのだが、俺は科学的なものにそこまで興味が長続きしない。
しかし、自然現象として信頼度が高い法則として、夕焼けとトビの天気ナビは、今でも信頼している。(夕焼けは最近よく外れるが・・・。)

最近、気になることがある。仕事帰りの夜道で、頻繁に、野鼠の死骸を見かける。以前から、狸、猫の死骸はよく見かけたが、野鼠の死骸を見た記憶はあまりなかった。それが、ここ数日、頻繁に見る。帰り道の20キロの間に3匹見た日もある。

今まで目線が行ってなかっただけかもしれないが、なんとも無気味な光景である。
観察眼に優れた古人は、この光景を見て、どんな予想をするだろうか? 彼らにあって俺には無い想像力を恨めしく思いながらも、精一杯予想してみたい。

今日から夏期講習が始まった。1年で1番激務の日々だ。ついつい自然に対して盲目になりがちな日々だが、行き帰りの道中だけでも、色んな興味と思考を持って、自然を眺めたい。

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