2008年4月15日火曜日

エールは送らない

「ラウドネス」のドラマー、樋口さんがガン治療のため入院されるとの報を昨夜見た。
結構、意識にひっかかるニュースだった。

ヘビメタと歌謡曲に包まれていた中学生の俺は、ラウドネスをよく聴いた。リフも数曲コピーしたことがある。ソロは最初の1秒も弾けなかったが・・・。

高校卒業後は全く聴かなくなり、その後の動向も知らなかったのだが、メンバーチェンジを何度も経た後、現在は5期メンバーとしてオリジナルメンバーで活動していたみたいだ。
その間にもアルバムを定期的に出し、海外ツアーをたくさんこなしていたことも昨夜知った。

ラウドネスは、ジャパメタ創成期からの重鎮であり、「サンダー・イン・ジ・イースト」では海外進出も果たし、ビルボードにランクインという快挙も成し遂げている。日本ではメタルの音処理が出来ないという理由で、海外のスタッフを使い、アメリカに殴りこみをかけた姿勢は、メタル版神風であろう。

海外の人間からは「サムライメタル」やら呼ばれていたのかは知らないが、神風のイデオロギーを内包したジャケットは、右翼もびっくりのデザインだった。

俺が中学時代にはバリバリでジャパメタを牽引し、今も変わらぬスタンスで続けておられる姿勢は、音楽的な好みに関係なく素晴らしいと思う。創成期のメンバーに戻ってツアーも決まっていた中での上記の報、当人はもちろん、メンバーの心境を思うと胸が痛い。

闘病しておられる方の心境を考えながら、わが襟を正すいつもの思考経路、考えてみると実に失礼で安っぽいもののように思えてきた。

ガンを始めとする闘病、事故による障害、先天的な障害、精神的な障害、人の苦悩は多々あれど、闘病姿を見たものが、「頑張っておられる姿を見て勇気をいただきました。私も頑張りますので、闘病に負けないでください。」といった激励メッセージを安易に垂れ流す。

「頑張る」、なんて嫌な言葉だ。吐き気がする。「強情に頑なに気張る」といった字義自体も嫌いだが、一般に認知している意味で見た場合においても、「がんばって」いない人なんかはいないと思う。それをエールとして軽く口に上るこの言葉が本気で嫌いだ。

人の不幸を見て、そこに抱くのは同情であるが、同じ立場にない者が抱く感情は、推測的域の美化された上から目線の情だ。実にいかがわしい。そして、その同情を自分の一時的な活力に変える消化システムを心に構築し、自分を鼓舞する。人の不幸を食べて僕らは精神を維持していると言ってもいい気がする。食べる口で薄っぺらい言葉を吐く。

上記の自らの思考回路が嫌に思えた。

一方、闘病中の人たちは、俺が想像する絶望の果てに希望を見出して、日々を過ごしておられるのだろう。絶望から希望のプロセスがどのようなものか想像でしかわからない俺は、その過程に種々の平安が訪れることを願うことだけで、言葉でエールを送ることは出来なくなった。樋口さんに精神的な神風が吹くことだけを願っている。

種々の困難な状況の中、絶望の淵にいる方、光明を見出しつつある方、咀嚼を終え新しい何かに向かっている方、そんな方々の報を自分の精神の踏み台にだけはしないでおこうと決めた。

4 件のコメント:

naka さんのコメント...

ええね。

> 「がんばって」いない人なんかはいないと思う。

うん。正論。
でも、もしかしたらその人にとっては普通の事って場合もある。特に日テレの「愛は地球をなんたら」で障害者の行動を見てお約束の「勇気をいただきました。」発言。障害者が何か行動する事は、それほど特別な事で他人を感動の嵐に巻き込む事なのか?チンケな言葉吐いて自己満足してるようにしか見えなかったりもする。

テレビって商売の商品にし、出演者に多額のギャラ支払って言わせ、国民から寄付を募るって事に感動し勇気をもらったヲイラがいます。(w

> 人の不幸を見て、そこに抱くのは同情であるが、同じ立場にない者が抱く感情は、推測的域の美化された上から目線の情だ。実にいかがわしい。

現在の福祉行政の問題点を、これほど見事に言い切った文は初めてです。

管理猿まえけん さんのコメント...

>naka兄貴

貴ブログで、貴殿の市政への奮闘ぶりを読むにつけ、毎回頭が下がります。視線がほんと、賢いですわ。問題意識と解決能力の高さは893な風体からは想像できません(失礼)。

僕自身、単純なので憐憫と親愛と敬服の情の使いわけが出来なくて、感情メーターが適切でないことが多いので、日々精進しております。

適切なコメントありがとうございました。ブログ書いている意味を感じました。

naka さんのコメント...

> 貴ブログで、貴殿の市政への奮闘ぶりを読むにつけ、毎回頭が下がります。視線がほんと、賢いですわ。

素直に「なんでやねん!」が基本やしね。
一応記事にする前には、情報収集の意味で行政サイトなんかも探すし、場合によっては担当課で確認する事もある。
そこで解決する事もあるけど、その場合でも周知方法とか議員の説明責任なんかには疑問が残るけど。

> 問題意識と解決能力の高さは893な風体からは想像できません(失礼)。

おぉ!
お褒め頂いて光栄です。

って、なんでやねん…。
近所では「小鹿のバンビちゃん」って呼ばれてるのに。

> 僕自身、単純なので憐憫と親愛と敬服の情の使いわけが出来なくて、感情メーターが適切でないことが多いので、日々精進しております。

そうか?
ヲイラなんかより遥かにボキャブラリー豊富やし、知的な文章やと思うけどな。

> 適切なコメントありがとうございました。ブログ書いている意味を感じました。

ブログって日記って側面もあるし、問題提起って側面も。
ヲイラも例え「そらお前勉強不足やで」とコメ入ったとしても、ヲイラが感じる問題点に一人でも気付き興味を持ってもらえれば良いなと思ってます。

福祉について考える時、まえけんの表現は凄いなと素直に感じた。同じ目線で考えるべきなんやけど、同じ立場で無い以上絶対無理やし。それを理解できないと単に押し付けの綺麗事で終わってしまうしね。
同じ立場にはなれないって前提を認めた上で、どうやって理解していくのかって事がきっと重要なんやろうな。

管理猿まえけん さんのコメント...

>naka兄貴

知的な文章だなんてめっそうもない。言葉遊びしているだけで、兄貴の問題提起のすごさと着眼点には及びませんわ。


福祉は、高齢者の年齢なり、障害の等級なりをまず最初に視覚的に見てしまいますが、それよりもまずその人の性格ありきであるべきやとは思います。弱者に強者が尽くしているという姿勢を美化する一方で、根本的な人間対人間の視点の欠如が、うさんくさい奴らの跋扈する場を作っているような気がします。

僕は口で議論こねくりまわすだけですが、兄貴は実際に奮闘してますもんね。その差が人間力の差ですわ。精進します。