2008年7月22日火曜日

ヤンキー先生

ちょっと前の深夜にラジオをつけたら、「ヤンキー先生」の番組が流れていた。
ブルーハーツの音楽と共に始まったこの番組がすごい。
寒気を感じながらも、あまりにコメントとリスナーとの会話が痛々しいので、逆に興味を持って聞いていた。

「夢があって、それを願って願って歩んできたのが俺の生き方だ。1学期までに抱えた悩みを夏休みまでに解決しよう!」といった暑苦しいMCから始まる番組、高校中退の生徒との悩み相談電話のやり取りがその後に続く。

定時制か通信で復学しようとする彼だが、まずはバイトをしたいと言う。だが、なかなか採用してもらえない。そのため、面接を受けようという意欲もそがれ、踏み出せない高校生の彼、そこにしゃしゃり出るヨシイエ君。

「今すぐ、動き出せ!  いいか、俺が面接官になってやるから、お前の気持ちを伝えてみろよ!どうしてバイトしたいか、俺がお前に向き合ってやるから、ぶつかってこい!」と偉そうに命令するヨシイエ君。

一生懸命面接のシュミレーションをする高校生に向かって、「今のお前じゃ何も気持ちが伝わらない! いいか、来週までに俺はお前に宿題を出す。そして、来週また面接しよう。いいか、それまでに、お前の熱い気持ちを紙に書いて整理しておけよ!」と言う。

そして、番組の最後のほうで、「~(人名呼び捨て)の悩みはみんなの悩みだ。全国のヨシイエ組、夏休みに向けて、気合いれて準備しろ!」と言う。

終始こんな感じのやり取りがあった番組。一通り聞いて吐き気がしたので、それ以来聞いていない。

だいたい、このヨシイエ君に限らず、「元ヤンキーが更正して立派になった」みたいなことを自分のキャッチコピーにする人たちに対して、俺は生理的に気持ち悪く思う。

なぜなら、更正していると思っている時点で、その人は大したことがないと思うからだ。
ヤンキーが先生になったら、一般的には更正と言えるが、自分で自分に冠する言葉ではないと思う。
先生というのは、あくまで肩書きであり、内面までもが聖人であることを保証するものではない。それを自分で、さも立派になったかのような思い上がりを持って自己陶酔できる奴に、人間的な薄っぺらさを感じてしまう。

ヤンキーといっても色々だ。人を傷つけたり、迷惑をかけるヤンキーもいれば、見た目はヤンキー色が強くても、内面が立派な人もいる。

周囲から張られるレッテルと社会的地位、肩書きが変わっただけで、本当の成長は自分自身で客観視しながら、直せる部分、直らない部分を抱えながら、折り合いをつけていくものだ。

ヤンキーというレッテルを貼られながらも、人に迷惑をかけずに家族を養って、立派に過ごしている友人が俺にはいる。
その一方で、一般的には立派なレッテルを貼られながらも、狡猾で人を平気でだます人もいる。教員の友人は、教員の精神的レベルは最も邪悪だとも言っていた。

だいたい、このヨシイエ君、リスナーに向かって、「お前」と呼ぶ。これはまだ彼がヤンキー文化圏にいることを意味している。更正もくそもあったものじゃない。日本人の奥ゆかしいコミュニケーションに、「お前」から始まる対話はない。

それに夢は必ず叶うという言葉を自らの体験に基づいて、簡単にヨシイエ君は吐くが、彼ぐらいのレベルで夢が叶ったと思える感性が鈍くてしょぼいと思う。

再び闘病に戻られることになり、生命のレベルで「夢」についてふれる忌野氏や、イチロー選手クラスの人たちが「夢」というのとわけが違う。

なんともごきげんな人だ。自己陶酔できる力だけを維持し続ける人っていうのもある意味すごいのかもしれない。自己主張の強いアメリカ人もびっくりだ。

ヤンキー文化はいつも需要がある。でも、和の心を持った俺には理解できないことばかりだ。

舶来のヤンキー文化なんかに目を向けない、俺は不良を賛美したいと思う。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「そうだそうだ!!!」と叫びながら読ませていただきました,わたしもこのヨシイエっていうおっさん大っきらい!!カスっぽい!!子供の頃「お前」って大人に言われるのもとても嫌だったし!!
つい先日ですがオットに「マエケン君の文章はええよ。面白くて含蓄がある」と薦められて以来、ちょくちょく覗かせていただいています、お元気そうで相変わらずで、でもお話するときよりも文章はより真摯なマエケンさんの本音が覗けて、毎度大きく頷いたりゲタゲタ笑ったりフウムと感心したりしながら、楽しみに拝見しております。
大阪にお越しの際はまたお会い出来たらと思います、お邪魔しました!!

管理猿まえけん さんのコメント...

>ショー子さん
うわお!!!!! ショー子さんご無沙汰でございます。ご主人共々お元気ですか?
こちらは、誇張ではなく常に貴店のパンとご主人様のカレーにかなりの頻度で飢え、そして機会を伺っております。

敬愛するご主人様からのお褒めの言葉、これもかなり舞い上がっています。感動です。

暴れ飲みする姿が僕の本性ですので、含蓄ないですが、書く欲求がある限り書こうかと・・・。

プライベートで色々忙しくて、帰省も1年に1回あるかないかですが、次回帰省時も必ずカレー屋お邪魔させてください。ショー子さんの店も久しく行ってないので、「ハイジの白パン」食べにまた行かせてくださいね。
カキコありがとうございます。