2008年7月10日木曜日

料理がしたい②

結婚して5年間はアパートでの二人暮らしだったので、嫁の帰りが遅い時、昼食等、よく料理をしていた。

料理とはいったものの、その大半はインスタントラーメンであり、ネギを切るぐらいしか、俺の華麗な包丁裁きは出来なかったが、それでも数回はきちんと料理したことがある。

カレーを作ったことがある。玉葱を多量に使った。玉葱をとろけるくらいまで炒めまくって、その後に肉、野菜を入れ、カレー粉をトッピングして作った。

我ながら美味しいと思った。炒めた大量の玉葱がまろやかさを演出し、インド人も日本人も喜んでくれるくらい、スパイシーさの中に和の隠し風味があった。

嫁は食べるなり一言、「辛い!」と言った。 カレーを辛いと言われても防ぎようがない。
それに何だか不機嫌だった。何がいけなかったのだろうか? 作るだけ作って後片付けをしなかったのが原因だろうか? それとも、おでん鍋に満タンの10人分くらい作ったのがいけなかったのだろうか? それとも嫁が買い置きしていた上質の肉を全部使ったのがいけなかったのだろうか?  何だか料理に対するモチベーションが下がった。

下がった後は上がるのみ! 一ヵ月後、俺はスープを作った。冷蔵庫にあったあらゆるものを入れた。そして、キャベツや人参が、へたれになるまで熱で攻める。大量の野菜が甘みを演出し、ベーコンとコンソメパウダーが味の土台を作る。最期に秘伝の隠し味とトマトジュースをだぼだぼ入れて完成!

むちゃくちゃ美味しかった。トマト風味で味はしっかりしているが、基本が薄味でくどくならない。病人に飲ませたら一発で元気になるだろう。俺は自分の料理の才能を自己賛美した。

嫁は食べるなり一言、「熱い!」と言った。スープを熱いと言われても防ぎようがない。
それに何だか不機嫌だった。何がいけなかったのだろうか? 台所が水浸しで料理かすが床に飛び散っていたのがいけなかったのだろうか? ラーメンの器にたっぷり注いで提供したのがいけなかったのだろうか? 刺身用の魚を使ったのがいけなかったのだろうか?
秘伝の隠し味、すっぽんエキスを入れたのがよくなかったのだろうか?

料理に対するモチベーションは再び急降下! 俺はすねて大酒くらってふてねした。
鍋にはあと10人は食せるであろう量のトマト汁が残っていた。

台所というのは、女の聖なる場所であり、男がちゃべちゃべと出入りすることは、なおん感情を逆なですることにほかならない。俺はこのとき、そう思った。
それ以来、料理はしなくなった。

嫁の親と同居した後は、台所自体に近づかなくなった。「なおんの聖域を汚さない、思慮深い俺・・・。」俺は酔っていた。酔うためのビールは台所外の冷蔵庫に確保した。

釣ってきたサヨリの表面のぬめり取り、カワハギの皮剥ぎ、餃子の包む手伝いで台所に出入りしたことがあったが、基本的には料理をしようとはしなかった。

ある時、おとんもおかんも嫁も帰りが遅い日があった。

俺は久々に台所を占有したい欲望にかられた。バスタオルをエプロン代わりにし、本家からもらった大量の玉葱をむきむきし、オニオンスライスとカレーを作った。

オニオンスライスは1人分ずつ皿にいれ、冷蔵庫で冷やした。そして食す前にドレッシングをかけた。

家人が帰りだし、俺はサプライズを期待したが、あまりの家族の無反応にサプライズドした。

オニオンスライスは辛かった。俺は切るだけかと思っていたのだが、水に浸しておかないといけなかったようだ。おかんと嫁は、「辛い!」と一言、小皿の中身を俺の皿に入れた。
おとんだけが、涙を垂らしながら完食してくれた。ありがとう、おとん! やっぱり俺たち男同士だ。俺も涙を流しながら、完食した。

それ以来、料理をしていない。もう5年になるだろうか? 

1人暮らしならば台所を自由に使えるが、結婚、まして嫁親と同居の身分では、なおんの聖域に出入りするのは非常に困難だ。

料理をする男がうらやましい。料理をする男がねたましい。料理がしたい。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

料理なんて簡単じゃん!
どうして出来ないの?
byイヤミ

いつでも拓ちゃんオムライスのレシピ教えるで!

管理猿まえけん さんのコメント...

>Matoo氏
拓ちゃんの料理の味、俺の郷土料理ですわ。
もっと食わしてもらっとけばよかった(笑)。

拓ちゃんレシピいらんから、俺に台所買って! 

売れっ子ディレクターの激務やのに、よく料理する気になるよな~。感心します。

北陸ロケしてください。俺出してください(笑)