2009年1月11日日曜日

タクシー・ドライバーの安全

タクシー・ドライバーを襲う事件が後を絶たない。客を装って乗り込んだ後の恐喝が数件続いた後に、昨日は、ついに待ち合いのタクシー・ドライバーまでが襲われたらしい。

客待ちをしていて、いきなりナイフを突きつけられるドライバーの恐怖といったらいかに? ただでさえ、水揚げが悪いこの景気のさなかで蔓延る犯罪に対して、憤りを覚える。

最近は乗っていないが、俺はタクシーが好きである。どのくらい好きかというと、都会のバス停からバス停まで1区間を、バスを見過ごしてまでして乗るほど好きだった。京都では、一時期色々業界の軋轢を生んだMKタクシーが好きだった。運転手が降りて、客席ドアを開けるサービスを始める前の時期であったが、けっこう贔屓にした。

タクシーの醍醐味は、道中の運転手との会話である。京都はまだ恥じらいがあるが、大阪の運転手は、乗って走り出すとすぐに、話しかけてくる傾向がある。

俺はこの傾向が嫌いではない。むしろ、運転手との会話を道中の慰みにして移動することが好きであった。運転手によって、かなりの人格差というか、会話ジャンルが変わっているのも興味深く、結構楽しみにしていた。

関西のタクシーは、後部座席と運転手側の間の仕切りが1番少ないそうだ。大阪が1番らしい。

それに反して、運転手と客席の仕切りが1番充実しているのは、埼玉県らしい。

そういえば、東京、埼玉でタクシーに乗った際に、運転手から話しかけられた記憶はほとんどない。ドライバーとの会話を楽しんだ記憶は全て関西である。地方の気質がこのへんにも現れているのかもしれない。

タクシー・ドライバーは無防備だ。運転中に後ろからナイフを突きつけられたら、ジャック・バウワーでも降参するだろう。

水揚げが少ないご時世に、釣銭用くらいのお金を恐喝されて、お金だけで済んだドライバーはまだいい。傷害をくらったドライバーにとっては、これほど割りの合わない仕事もないだろう。本当に同情すると同時に、犯人に対して憤りを感じる。

新婚旅行でロンドンに行った時、向こうのタクシーに乗ったが、今は多色のタクシーがあるみたいが、その当時はBlack Cab の名前通り、黒色だった。

俺は新婚旅行初夜に、嫁と喧嘩してホテルを飛び出し、彷徨した後に、とあるパブで泥酔した後に利用したのだが、運転手側と客席側が壁で仕切られており、たしか、乗る時に運転手と直に話して行き先を告げた記憶がある。

運転手側と客席側に壁がある場合、防犯面では非常に効力があるのだろうが、俺は見知らぬ土地で乗ったタクシーの運転手が、乗っていて見えないものだから、目的地に着くまでかなり心配だったのを覚えている。

タクシーを利用する人によって思いは違うのだろうが、運転室と客席が分離されているタクシーが一般化する時代というのは、世紀末な感じがする。しばしの道中も密室になる時代には生きたくないものだと思う。

でも、こんな時代だ、あまりにも無防備なタクシー運転手を守るためには、後部座席との間の壁をつけて、後部座席での自動精算システムみたいな機器をつける必要があるだろう。

タクシーに乗る。運転手の顔は見えない。目的地に着いたら、ラブホテルのジェット・シューターみたいな精算ツールがあり、それを用いて金銭授受がなされる時代が、残念ながら必要なのかもしれない。

犯罪という範疇は広いが、激務を背負って人の足となる善良なドライバーにも、追いはぎが現れる時代だ。この無機質なシステムを作って、ドライバーの安全を守って欲しい。

ただでさえ不景気な今、全てのタクシー会社がそれらのシステム費用を捻出できるとは限らない。

そのため、タクシー会社に対しては、減税措置、もしくは免税をしてあげ、まずは彼らの身の安全に配慮すべきだと思う。TAXI は、TAX の親戚割引があってもよいだろう。

タクシーの運転手といえば、人気スポットや美味しい店を知っている、街情報のスペシャリストであった。ナビゲーションシステムよりも圧巻の状況判断を駆使し、的確に旅行者を目的地に送り届ける彼らのドライビングは、惚れ惚れするほどプロフェッショナルだった。

鍛錬を経て、素晴らしき技能を持ったプロフェッショナルが減っていくのを見るのは、なんだか悲しい。運転手を襲って小額の現金を奪うという犯罪者は、自らが犯した事例が、大切なプロフェッショナルな人々の雇用機会をも奪っていることに気付いて欲しい。

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