2008年4月17日木曜日

マサオとスコット

国公立大学のふるいわけテストである共通一次試験は、俺の受験する年の数年後から、センター試験と名を変えた。最近はリスニングも導入されている。

仕事柄、常に目に触れているのだが、ここ数年、明らかに問題レベルは易しくなってきている。難解な単語が減り、日常的な会話が重視され、論説文においても主張は読み取りやすくなってきている。

その分、問題量が増え、受験生にとっては時間との戦いで、速読力が試される傾向にあるように思う。

そんなセンター問題対策に大手予備校が問題集を出しているが、会話表現の問題では、結構滑稽なものがある。覚えている範囲で再現してみると、

Scott: What would you like to do after you graduate from college?
Masao: I don’t know.   (適文を入れる) 
Scott: Like becoming a racing driver?

① I’m not sure how I can contribute to society.
② But I think I’ll probably be an office worker.
③ There is nothing I can show much interest in.
④ It would be nice to do something unusual, though.

「大学卒業したら何になりたい?」とスコットに聞かれたマサオ君、会話内容からして、マサオ君は大学に入ったばかりだろう。4回生でこんな会話をしている人は、8年卒業計画のごきげんな奴だ。普通に考えると受験を終えたばかりの若人に違いない。

最も適当なものを選ぶ問題で、最後のスコットの発言が例示してクエスチョンなので、④が正解になる。でも昨今のKY日常会話においては、スコット君、こやつの性格によっては、①~④どれでもあてはまる。また、マサオの性格も①~④のどれを入れるかで随分変わってくる。

マサオ君の性格四変化
① 「どうやって社会に貢献できるのか、俺、わからないんだよ」
じつにこわくさい。頭でうじうじ考えて、理屈をつけて何も行動しない奴に違いない。貢献できるできないなんかは、自分が最初に前提としておくものではない。何をするにしろ、真面目に取り組んでいること自体が社会貢献になることをこいつは知らない。貢献なんてものは、頭であれこれ考えるものではない。友達になりたくない(マサオもそうだろう。)奴ナンバー1にエントリー。

それに対してのスコット、「レーサーになるとか?」  おい! 空気読め!


② 「でもたぶん、事務系の仕事するんとちゃうかな。」

最近の若者のステロタイプだ。感情温度が低い割り切り上手な奴だ。熱い奴ではないが、①のマサオよりは普通に接することが出来る。たかだか20歳ちょっとで、ビジョンを持っている奴のほうが少ないので、実に無難な発言だ。

それに対してのスコット、「レーサになるとか?」   おい! マサオの話を聞け!

③ 「興味持てるもんが、なんもあらへんねん。」

悲しい。受験競争の弊害で無気力になったマサオの行く末を、親に成り代わり心配する。友人が無気力でいるとき、どんなアドバイスが出来るだろう? 目の前のなにげ ないことに、喜びと興味を見つけてほしいものだ。とはいったものの、こういうタイプは、彼女が出来ると全ての希望を彼女と家庭に見出し、平穏な日常を過ごすことになる気もする。

それに対してのスコット、「レーサーになるとか?」  おい! 話にスケール感を!

④ 「なんか普通ちゃうことできたら最高やな。」

ファンキーなマサオ。現実を知らないところはあるが、若者はこうではなくてはならない。大いなるかん違いは時に人を大きくさせる。ちゃんと4年で卒業してから、自分の足で模索していって欲しい。まだ若いので可能性を秘めている。こつこつ真剣に何かに打ち込めよ、マ・サ・オ!

それに対してのスコット、「レーサーになるとか?」  おい! ちゃうやろ!

だいたい、マサオがレーサー志望やったら、日々の暮らしぶりからわかるやろう?  スコットの国では、20歳ごろからでもレーサーになれるのだろうか? もうそうだとし たら、それは普通のことであり、マサオとの会話のキャッチボールは成立しない。

使える英語をキャッチフレーズに、教育現場での指導要領が変化してきているが、上記の 会話を使える英語というのだろうか? ④が正解とはいえ、あまりにナンセンスで、コン ト的笑いレベルとしては高いが、アメリカンジョークにはならない。若手芸人が増えるわ けだ。

もっと、ベタにありえない会話もたくさんあるので、また紹介したいと思う。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

このKYぶりは、ボン・スコットに違いない。

若かりし頃の奴とアンガスの会話なら、どれもありそだ。

管理猿まえけん さんのコメント...

笑えるやろ? ボン・スコットって実際は知らないけど宇宙レベルの会話してそうやもんな。
アンガスは永遠の小学生やもんな。ランドセルが似合うはずだ(笑)

匿名 さんのコメント...

最近の英語のテストの傾向に対する批評文を英訳して、それを問題文として使ってみたい気がしますね。

①しょーもない問題文を多量に読まされるとバカになりそうだ。
②マークシートを塗りつぶす時、ボクらの心はブルーである。
③こんな解答用紙は破いて、退席してやるぜ!もうたくさんだ!

等の選択肢から正解を選ばせたいです。

管理猿まえけん さんのコメント...

>オオタ氏
おもろい! ④君達本気なの?も入れて4択で! 

でも、どれも正解なるな。高校入試はもっとえぐいのあるやろ? 気になって仕方がないから、近々書きますわ。ほんまブルーですな。