2009年1月24日土曜日

マンガ感

長いことしていなかったヤフオクだったが、職場の同僚が、「北斗の拳」と「蒼天の拳」のそれぞれ全巻セットを落札したいということで、代理落札してあげた。

「蒼天の拳」は知らなかったのだが、「北斗の拳」は、ばりばり世代である。俺が中学の頃だが、毎週の話題が、「北斗の拳」の新しい物語についてだったのを覚えている。ちょうど初連載されだした時だ。

「ひでぶ~」やら「あべし~」やら、言葉は正確でないかもしれないが、雑魚キャラが死ぬ時のセリフと、「お前はもう死んでいる」が、通学途中の話題を独占していた。

「少年ジャンプ」が俺の中学時代は全盛で、毎週月曜日だったと記憶しているが、170円か180円の財力がある奴が購入した雑誌を、回し読みする光景がよく見られた。「少年マガジン」、「少年サンデー」も含めて、毎週購入できる奴の財力がとにかくうらやましかった。

俺自身もマンガの回し読みの恩恵は受けたのだが、正直、「北斗の拳」に夢中になれるみんなの気持ちがわからなかった。「こち亀」だけを読んで、後は流し読み程度、ストーリーを理解する程度には読んだが、毎週自らの小遣いをはたいてまで買いたいとは思わなかった。

マンガというものに入り込める素地が当時から俺にはなかったのだろう。俺にとっては、マンガにのめりこめないこと、マンガを購入する財力をもたないこと、合わせてコンプレックスになっていた気がする。

親友は、ばりばりのマンガ通だった。「リングにかけろ」、「風魔の小次郎」やら、車田正美氏の作品を熱心に勧めてもらったものだ。ブーメラン・フックやら、種々の必殺技を実技で教えてもらったこともある。かけられた技は痛かった。他人にかけろ!

それでも「リングにかけろ」の面白さがわからない。ジャンプで読むのもつまらなければ、単行本で読むのもつまらなかった。

ただ、マンガを何か持っていないと、友人との貸し借りのバランスが取れない。仕方無しに、数冊購入してはみたものの、俺のチョイスするマンガセンスが、友人たちとは相容れなかったのか、交換対象とはなかなかならなかった。よって、流行のマンガが俺のところに回ってくる順番は後回しになり、回ってきた時には、その話題は次へと展開しているという、時代遅れ感の寂しさをよく抱いていた記憶がある。

バッドチョイスの不人気マンガが何だったのか、タイトル自体もはっきりとは覚えていないのだが、爽やか青春モノであったと思う。メジャーでもなければ、こだわりもないマンガだった。

そのうち、マンガを読もうという動機もなくなり、高校時代終了まで、全くといっていいほど、マンガを読まなかった。

だから、「Drスランプ」も、「ドラゴンボール」も、「ハイスクール奇面組」も全く知らない。 近所のおじさんが持っていた「釣りキチ三平」と「キャプテン」「プレー・ボール」だけしか読んだ記憶がない。

大学に入った後も、この傾向は変わらなかったのだが、たまたま入った散髪屋に「ゴルゴ13」があって、それを読んでいくうちに、マンガも良いと思えるようになった。その後、マンガを読む目的で、その散髪屋に混雑時を見計らってでかけていった。「プロレススーパースター列伝」、「空手バカ一代」、「包丁人味平」と、過去の作品を辿って読破した。

大人になってから、これまた、たまたま入った喫茶店にあった「明日のジョー」を見て、強烈な衝撃を受けた。マンガで興奮したのは、後にも先にもこれだけだ。

その後、つげ義春さんの世界、手塚治虫さんの世界にも触れ、ようやくマンガを肯定できる今に至るのだが、小・中・高とその良さがわからなかった。

「ゴルゴ13」からマンガに目覚めた俺であるが、マンガに対する俺の印象が変わっただけではないと思う。俺がはまったマンガは、全て漫画であり、劇画ばかりである。抽象的な絵や、超自然現象には、未だに馴染めておらず、完読した上記の漫画は、全て実写可能な世界だけだった。キャラクターグッズが出るようなタイプのマンガは入り込めなかった。

俺の絵が、懲役ものの技量であるのは、きっと思春期にキャラクターにはまらず生きてきたからだろうと思う。全て、劇画の中の、限りなく現実に近い話にだけ、その世界についていって入り込めた気がする。

「北斗の拳」は今の若い世代の間でも人気がある。根強いマンガであり、時代を超えた魅力を何か持っているのだろうと思うが、俺にはわからない。
マンガ嫌いを肯定するわけではないが、俺が未だに「北斗の拳」なんかを好きになれないのは、これらのマンガが、現実にはありえない話だからだと思う。実に冷めた見方なのかもしれないが、現実世界に起こりうることを面白く描くことより、超現実な世界でストーリーを作るほうが楽だと思う。

考えてみれば、いつの時代からか、ヒットマンガはほとんどが、超現実の世界のものとなっていってしまっていると思う。

超現実の世界に入れない俺は、芸術性が薄いというか、想像力が足りないのだと思うが、現実世界を描いたマンガの名作が、今後出てきて欲しいと思う。

拳は、格闘技で十分であり、北斗も南斗も断末魔の叫びもいらない。俺は現実的なシュール感を好む。

2 件のコメント:

Takabo さんのコメント...

ジョーに興奮してくれたなら、
飛雄馬にもハマって欲しいなぁ(笑)

管理猿まえけん さんのコメント...

>TAKABO
行け行け飛雄馬するわ~(笑)。「侍ジャイアンツ」と「巨人の星」がごっちゃになってるねんけど、大リーグボール身につけるわ(笑)

2月以降も、我ら「食文化研究会」、楽しみですな。