2007年11月22日木曜日

渋柿

元「シブがき隊」のふっくん、いろんな大変な苦労をされているようだが、実に立派な大人だな~とスポーツ新聞を見て思った。あれだけアイドルとして一世風靡をされた方が、傲慢にならずに円熟した大人になられているのを素晴らしく思った。実際の人となりは知らないが、表情を見る限り、素晴らしい性分の方だなと思った。

話は変るが、昨日、今日と、最高気温が6度くらいで、非常に寒い日を過ごした。日中で屋内にいても、暖房無しでは過ごせないほどの寒さである。ちょうど今頃が一番体感温度が寒く感じるのではあろうが、それにしても寒い。何か変だ???

元来、俺は暑がりであった。夏の汗は力士なみにかく。冬でもメタボの症状くらいかく。俺のライブ後のTシャツは、塩を製造できるくらい、粉をふいている。肉体労働をしようものなら商売で塩を密売できるくらいかく。「土方の塩」だ。

そんな俺は、従来なら今の時季でも軽装であった。せいぜい下着に一枚かぶせて、ジャンパーをたまに着るくらいだ。屋内では時に半そでになることもあるくらいだ。ストーブの前でぶるぶる震えている光景は、俺の体験上思い出せないくらい少ない。

そんな俺が、明日からズボン下に下着を着込むことを決めた。パッチ、股引と言われて、親父のファッションと蔑まれているあの縮んだズボンみたいなやつをだ・・・。何か変だ????

俺は血の気が多い性質だ。喧嘩は弱いが沸点は高い。気は弱いが志は高い。武士に生まれていたら、早死にであったろう。義はあるが、武がないのだ。喧嘩に勝った経験は、18歳の時の小学生との喧嘩以外ない。社会的に負けた喧嘩だ。この時は義もなかった。戯であった。

体温も常に高い。平熱で36.5度を切る事はなかった。38度くらいなら俺にとっては微熱だ。10キロは歩けるくらいの微熱だ。恋した時のときめきくらいの体温だ。体は冬でも暖かい。嫁は俺の足先をカイロ代わりにしていたくらいだ。ところがところが・・・。何か変だ????

体質の変化だ。昨年末の事故以来、明らかに変化が起こったのだ。

家の中でも靴下をはくようになった。入浴時間が長くなった。今まで熱いと敬遠していた浴場が適温になった。手足の温度が極端に低くなった。これは体感だけでなく、嫁の実地検分で確証済みである。平熱も35度台に突入する日も増えた。厚着になった。ホットコーヒーを飲むようになった。尿が近くなった。

冷え性になったことに伴い、生まれて36年間、理解できなかった肩凝りなるものが発生したり、それに伴うあちこちの痛みが発生したり、マイナス面にばかり目がいき、事故を呪う日もあった。

しかし、冷静に、事故以来良くなった面に目を向けてみた。

心なしか温厚になった。嫁にも優しくなったし、絶対かかってこない相手に精神喧嘩を売る行為も減った。例えば、老人とか子供にである。悪がき隊、嫌、愚連隊である。同年代は体格と性質を見極めて精神喧嘩をしていた。それもしなくなった。いや、少なくなった。更正だ。

言葉遣いが綺麗になった。例えば、「いてまうどコラ」が「切れちゃうよ僕」になり、「なめとんかコラ」が「なめてるの、あん」に、「どたまカチ割るど」が「頭たたくよ」になった。程度は低いが、武闘派から頭脳派への変化である。どちらも893であるが、長生き出来る確率は今の方が高い。知的じゃん!

体の変調に一喜一憂している場合ではない。精神的な変化を体がもたらしてくれたのであれば、プラスマイナスはむしろプラスに分がある。おまけに、体が痛い人の気持ちがわかるようになった。事故は俺にとってプラスであったと思う。

事故がなくても、加齢による体質変化はある。体力面での低下に伴い、体のいろんな部分に不具合が出てくる。それが、事故というきっかけを通して顕著になるのであれば、実に分かりやすくてよい。
体の変調が加齢に対する怯えにつながるくらいなら、はっきりと出てくれたほうが明朗だ。

正面衝突の交通事故は、劇的な体の変化を生んだ。マイナス面にばかり目が行きがちであったが、1年近くたって、俺の中での事故に対する総括は済んだ。

俺にとってのプラスをもたらしてくれた、交通事故という劇的な変化はそうそうあるものではない。変わり映えのしない日々の連続を地道にこなしたものにだけに、円熟があるのかもしれない。

劇的な衝突があってしか気付けない愚かさが嘆かわしい。日々起こっているであろう小さな衝突・・・。その衝突を有意義に生かせなかった俺に、大事故が起こり、目を覚まさせてくれたのだと思う。
今後は、日々の小さな衝突に敏感に、それをしっかり噛みしめて、体質の変化と相談して、過ごしていきたい。

安っぽい匂いを撒き散らして腐敗するのではなく、鋭角な臭いを内に宿した円熟を目指したい。熟した果実は美味である。主張もある。腐敗した果実は主張が見えなく朽ち果てる。匂いは、はかなく、最終的には臭くなる。  円熟だよ円熟・・・。シブがき隊だよ。

色々なことを考えた、今日の朝型。枕から香る加齢臭。まだまだ匂いは表面に溢れていた。円熟道は険しいが、臭いを消すための劇的な衝突はいらない。年月の外皮が包んでくれるにつれて、芳香な匂いに変わっていくだろう。渋柿だよ渋柿・・・。

0 件のコメント: