2007年11月25日日曜日

ニールヤングを聴く

ニールヤングの新譜が日本でも今月の21日に発売されたそうです。輸入版で一足早く手に入れて聞き込んでいたのですが、個人的には、翁のアルバムの中でもベスト5に入るお気に入りです。
ライナーノーツが輸入版にはなく、インターネット上でも新譜に対する情報がなかったのですが、大昔に作成して発売されなかった幻のアルバム音源が火事で焼けて無くなってしまい、昔の曲に新曲を加えて作り直したといったアルバムみたいです。確かなことはわかりません。

全10曲中、18分が1曲、14分が1曲と、相変わらずやってくれます。
ひと言で言えば、グランジ世代にちやほやされた以降の御大の手法と感性が全て凝縮されたアルバムですわ。詞はこのアルバムが一番好き。

18分の" ordinary people"という曲なんか、詞がすごい長さで綴られています。
ギターの音量自体も若干低めでありながら、いつもの金属音が坦々とすごい純度で奏でられてます。
フォーンが結構存在感を増しているのですが、内なる爆発感はすごい高い!でも、ニールの翁は曲中での辛抱力を増しました。中盤は寸止めの連続でじらされます。 エンディングまでよく辛抱した分、最後の爆発はいつも以上の翁・・・(笑)。冷静なのはフォーン部隊だけという有様で、最後にはわけのわからないガレージサウンドが入っています。なんというか、冷や冷やする感覚は、初めてジミーペイジのソロを聞いた時以上ですな。

静かな唄ものの曲は、限りなくメロディーが綺麗でいて、都会の香りプンプンのアダルトソングになる素地がたっぷりある曲なのですが、ニール様が演奏すると。どこか田舎臭い雰囲気と、「おい!」という突込みが入る箇所があり、笑い泣きします。

リフもののリフは相変わらず、ネタとしては、ダサダサで、今回一番ダサい"Dirty old man"においての、殺戮のリフに鍵盤が入ってくるアレンジなんかは、感覚を疑いたくなるほどのかっこ悪さ・・・。
涙出るほどかっこ悪くて感動します。

細部に耳も行くのですが、1曲1曲冷静に聴くのが馬鹿馬鹿しくなるほどの全体を包み込む人間力とでもいうべき、上質の魂が詰め込まれていますよ。

最後の曲を聴いた時は、涙がボロボロこぼれます。泣きたくないから、なかなか聴けない。

ニールヤングがこのアルバムの曲をいつ作ったのかはわかりません。文字通り新曲なのか、昔の曲の焼き直しなのかはわかりませんが、玉露のような曲を御大が最近吹き込んだことだけは確かです。

詞を聞いていていつも思うが、この人ほど、歳を取ることに全力で向き合い、それを超越している人はいないのではないか?歌詞の一部は別の曲と同じフレーズの焼き直しもありますが、吹き込んだ時点のニール様の気心が不思議と心に伝わります。

俺は評論家ではないので、御大がどういう心境でこれらの名曲を作ったのかを詮索しようとは思いません。ただ、国籍と育ちが違うカナダ人のおっさんが奏でる音楽に、20年近く心を震わされていることに幸せを感じずにはいられません。

20歳以降の俺の思い出は、いつもニールヤングの曲と共にあり、思い出す光景の断片が、全て、ニールヤングの曲とリンクしているのです。なんという幸せ。彼の伝記を読みたいとも思わないし、彼を偶像視する気もないし、サイトをチェックしているわけでもない。でも、生活の一部であり続けてくださる。

個人的にいまいちであるアルバムが今までになかったわけでもない。でも、聞き込まないアルバムはない。全てが、俺の感性の中に貯蔵されている。

何だろう?これだけ心を震わされる心底にあるのは??????? 

音楽、文章、絵といった色々な感動を運ぶものがあるが、ニールヤングの音楽には、人間のDNAに刻まれている善の興奮因子があるのではないか? 音楽を聴いたことのない人間でも内包している母なるメロディーと言葉の融合・・・・。

いつか出来るであろう俺の子供にも、聴かせたい。聴く、聞く、どちらでも良い。俺は幸せだ。効く。

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