2008年11月23日日曜日

高画質に噛み付く

俺の家では俺以外は、非常に金が貯まる性質だ。別に吝嗇で生活を特に切り詰めたりしているわけでもないのだが、金が減らない人たちである。

義父を連れて遊びに行った時、「俺は半年前に3万円を財布に入れて以来、今でも1000円しか減っていない。ガソリン代出したろ。」と言われたことがある。何でも、たまにポカリスエットを買った記憶があるぐらいだという。

義母、嫁にしてもそうだ。特に切り詰めた感じはないのだが、自然と毎月の給与が黒字計上されていく。おかげで俺も恩恵にあずかっているのだが、不思議で仕方がない。俺よりも物を買ったりしていて、豊かな暮らし向きのような気がするのだが、金の使い方は不思議である。

こんな我が家で、俺にはとうてい理解できない金銭感覚が披露される時がある。テレビに対する金のかけかただ。

我が家にはテレビが4台ある。台所、居間、両親の寝室、2階の部屋にそれぞれ1台ずつだ。

俺はテレビをあまり見ないので、テレビを買い換えても言われなければ気づかないくらいなのだが、居間にあるテレビは、超薄型でやたらと画面が大きい。以前、嫁から教えてもらったのだが、50万円くらいしたらしい。それもいきなり電気屋に行って、即キャッシュで決めたらしい。

2階のテレビも薄型であり、嫁は値段を言わないが、それなりに高いみたいだ。

50万円・・・・・、俺にしてはもったいなすぎる使い方であり、50万円あれば、ギターと真空管アンプを買うことしか頭にない。それをたかだが、テレビなんかに・・・・と思ってあきれたことがある。だが、彼らのほうが、金が貯まるので文句も言えない。

ちなみに、俺の乗っている車は、諸々込みで、乗り出し34万円だ。テレビに負けているのが悔しくてならない。

色んな価値観があるのだろうが、うちの義父母、嫁みたいな人が多いのだろう。いつもテレビの最新型がコマーシャルされていても、まったく興味もいかないが、コマーシャルするだけの見返りが家電メーカーにあるのだと思う。一生理解できないとは思うが・・・。

地デジなる言葉がよく聞かれるようになった。未だによく意味がわからないのだが、昔のテレビは使えなくなるか、チューナーを用意しないといけなくなるような話である。

陰謀だよこれは・・・。利権だよこれは・・・・。 今まで見えていたものを、どういう理由かしらんけど、何で??という以外の理由が見当たらない。そら、大義名分は山ほどあるのだろうが、今でも十分綺麗に写っているのに、さらに高画質を求める人間の心理に便乗した金のなる木の育成だ。

そして、さらに気持ち悪いのが、ブルーレイとかいうやつだ。DVD映像よりもさらに綺麗になるらしい。

レンタルビデオがレンタルDVDになって、それはそれはもう、十分な境地であったにも関わらず、さらにまたわけのわからない機器を用意するという。円地文子さんの「めがねの悲しみ」ではないが、何もかもくっきり見えなくても良い部分が多いであろうに、そんなに高画質を求めてどうするの?と、金の貯まらない俺はひがみたくもなる。

カセットウォークマンが出て、俺が手に入れた頃にはCDウォークマンが出た。そしてまた俺が手に入れる頃には、MDウォークマンが出た。そしてまたまた手に入れた頃にはアイポッドなるものが出た。

映像機器も同じだ。俺がベータのビデオデッキを手に入れた頃には、ベータはVHSと比して落日だった。レーザーディスクが出て、すご~いと思っていたらDVDが出た。やっとDVDの環境になれたころに、ブルーレイなんていうものが出てきた。

次々にすばらしきものが出るのは構わない。だが、昭和末期から平成以降、ちと、その速度が速すぎないか??と思う。新製品が開発される速度があがる一方で、製品の耐用年数は短くなっている。昭和中期までの電気製品は、それはそれは頑丈で、長持ちするが、それ以降の商品はすぐに壊れる。これを陰謀と言わずして何と言う?

不満は垂れているが、俺みたいな人間にとっては、旧式のラジカセなんかの機器が安く手に入るので決して悪いことばかりではないのだが、地デジに始まり、ブルーレイにいたる高画質思考は、ちょっと性急ではないかと疑問を持たずにはおれない。そんなにリアルに高画質で人の顔見たり、景色見たりしてどうなるの?と・・・。自分の眼で実際に見た時の感動を、茶の間の高画質慣れで減少させるだけのように思うのだが・・・。

真空管のギターアンプを買おうかと検討している。そんな俺にとって必要な金額は、我が家のテレビにかけた費用総額の8分の1ぐらいである。そうなると、恨みはテレビに行く。

あの、薄くて横に広くて、使いこなせないリモコンボタンがいっぱいあるテレビよりも、真空管という原始的な温もりを欲する時代にはならないものか?比較対象機器が違うのでフェアではないが、何ともいえない不満に包まれている。

ブルーレイが映し出す映像は、肉眼で見ている映像並みにすばらしき映像を映し出すのかもしれない。だが、それを見ている時間に比例して、肉眼の映像能力は劣化する。もともと最上級の高画質を持った肉眼を、人工的な高画質が劣化させていく構造は、恐ろしくもある。そして、肉眼で自然の光景を愛でる能力も、箱庭映像になれた人からは奪われていく。 高画質と引き換えに、人の目は温もりを失っていっているような気がする。

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