2008年11月29日土曜日

打消しの接頭語

「不」、「非」、「未」、「無」など、打消しの接頭語の使い分けに関して、俺自身の理解はいまいちである。個人的慣習的になんとなく使いわけているし、それなりに定義も出来るのだが、曖昧であり例外だらけである。

「不」に関しては、「不良」、「不完全」、「不定期」などのように単純に、notとして後に来る用言(見た目は体言であっても)の意味合いを打ち消して、反対にするものだと理解している。部分否定であり全否定ではない。

「非」に関しては、「非行」、「非常識」、「非科学」、「非現実」など、これもnotとして後に来る名詞を否定しているものだと理解している。ただ、これは全否定のような気がする。

「未」は、「まだ~ない」であり、「無」は「~が無い」という意味合いを必要とする時に使うと理解している。

ただ、元来の漢語を、日本語の今の使い方に当てはめてみて区分しても、使い分けが完璧に区分されているとも思えない。

例えば、①「未使用」とは言うけれど、②「非使用」とは言わない。だが、実生活では。①「まだ使用していない」こともあれば、②「全く使うことがない」という事物もある。

そんな場合に、全否定で「非使用」とは少なくともフォーマルには言わない。単語だけでの表現がなされず、文節を伴って多くの場合、文章で表現される。「全く使うことがない」という具合に。

① も②も今後使うかどうかは主観的で観測的なところもあるので、事物の処置も決して定
義として安定しているわけではないのだが、打消し接頭語を伴う単語としては、使い分けはなされていない。

ちょっと興味を持ったので、この辺の定義がなされている辞典を、今後辿って調べてみようかとは思うのだが、何となく使っている打消し接頭語は奥深い気がする。中国語をしっかり学んだら理解できるのだろうか? 中国語の置き字が、日本人が書き下したり解釈したりする漢文では無視するけれども、中国語的には意味があるように、打消し接頭語にもしっかりとした字義があるのだろうと思う。調べてみたいと思う。

打消し接頭語が気になったのは、お菓子のパッケージを眺めていたことに起因する。

先月の緑内障の入院時に、たまたま久しぶりに食べた「じゃがりこ」のパッケージに気になる表記があったのだ。

「原材料名 じゃがいも(遺伝子組み換えでない)」という表記だ。

普通、「原材料名」という項目には、にんじん、食塩、調味料(アミノ酸等)、酸化防止剤(V,C、V、E)など、単語が並ぶ。

そこにあった、「(遺伝子組み換えでない)」という言葉の、パッケージ内での座りが非常に気持ち悪く感じた。単語列挙の中に、ぽつんといる、文章ともいえない中途半端な(   )内の単語の羅列・・・。

「遺伝子組み換えでない」というのを、気持ちよく単語で表現できないものか? ふとそう考えた。

「遺伝子組み換え」という言葉自体が、造語的で実に座りの悪い言葉なのだが、これを一つの単語としてみなした場合、どんな打消し接頭語で否定するべきだろうか? そう考えたのだ。

「不遺伝子組み換え」では、部分否定であり、ちょっとは組み替えしていそうだ。

「非遺伝子組み換え」では、正しいような気がするが、「非遺伝子」と「組み換え」で区切ってしまったら、「遺伝子でないものを組みかえる」という意味になってしまう。

「未」と「無」を冠したところで意味的に変である。何とか一字で的確に否定したいのだが、どうもうまくいかない。苦肉の策がカルビー「じゃがりこ」のこの表記なのだろうが、決してセンスがいいとは思えないパッケージだ。だからといって、代案がないのが悔しいのだが・・・。

本旨とは違うが、「じゃがりこ」パッケージには、日本語的にではなく、メッセージとして変なものもあった。

「電子レンジ不可」というものだ。   誰が「じゃがりこ」温めるねん! 

「じゃがりこ」という商品名は、語感としてはすごくセンスがあると思う。ファンである
だからこそ、余計にパッケージの表記が気になった。 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「遺伝子組み換えでない」は、オレも気持ち悪いなあと常々思うておりました。
きっと今まさに、我々の言語感覚が組み替えられておるのでしょうな。

管理猿まえけん さんのコメント...

>オオタ氏

うお~。貴殿と同意見であることは、とても嬉しいっす(笑)。変やわね。あんまり言葉を疑ってこねくり回してもいかんけど、俺ら言葉フェチやから、性ですな。今後もフェチツボ共有しましょう(笑)