2008年11月4日火曜日

栄枯盛衰への興味

昔から、栄えていた人が枯れること、盛んなことが衰えることに興味があった。厳密に言うと、必ずしも枯れなくても良い。1度栄華を極めた人が、その後何をモチベーションとして、どのように生きていくのかということに興味があった。また、残念ながら枯れてしまった場合は、その後どのようにして再度気持ちを盛りたてて人生を処していくのか?という精神状態の変遷に興味があった。

小室氏の詐欺事件の報を聞き、改めて昔から興味があったこの手のトピックに思いを巡らした1日であった。

個人的には小室氏の音楽を1度も良いと思ったことがないし、何で売れるのかが全くわからなかった。氏の音楽が日本の音楽レベルを下げているとまで思ったこともあった。だが、あれだけ強烈な売れ方をしたわけであり需要が高かったのは事実だ。市井の民として、世に出て売れた人には、何かしら選ばれた人のすごさがあると、一目置いて見る様にしているので、個人的な好き嫌いは別としてたいしたものだと思っていた。

だが、ここ数年サッカーのスポンサー料の未払いがニュースになったりするにつけ、大丈夫か?と余計な心配もしていた。

マイケル・ジャクソンにしてもそうだが、庶民とはかけ離れたスーパー・リッチが、再び金欠になるといった報道は、実感としては理解できない。毎年数億円の印税収入があったら、毎年宝くじに当たるようなものだ。何で金欠になるのか???

だが、最近わかるような気がしてきた。もちろん実感として理解できることは一生ないが、理屈ではわかるようになってきた。

身近な例で考えると、平均的な年収を得ているAさんと、その10倍の収入を得ているBさんがいたとする。Aさんから見たらBさんは羨望の的であり、さぞかし金に不自由ない生活をしているのだろうと思いがちだ。

だが、金銭的な充足感と金銭的な切迫感は、AさんもBさんも同じであるような気がする。なぜなら、Aさんが大衆車に乗っていたら、Bさんはその10倍の高級車に乗る。Aさんが2000万円の家に住んでいたら、Bさんは2億円の家に住む。Aさんが1000万円のローンを抱えていたら、Bさんは1億円のローンを抱えている。

つまり、収入の分母が大きくなっても、支出の分子も同じ比率で大きくなるのが、人間の性質に基づいた常であると思うのだ。

もちろん、分母が大きい人が味わう日々と、分母が小さい人が味わう日々には、かなりの相違がある。庶民が味わうことの出来ない次元を金持ちは味わっている。そこで庶民は金持ちに憧れと、時には妬みすら持って、その不満をささやかな明日の活力へと変えていく。

だが、精神的な充足感は同じでないか? 負け惜しみでなく本当にそう思うようになった。いや、むしろ分母が大きな生活をしている人の方が精神的には抱えるものが大きい分、辛いのではないかと思う。

失う恐怖、そして失ってしまった時の喪失感は尋常ではないと思う。生活レベルにしても、庶民がさらなる緊縮財政を味わうのと、金持ちが庶民レベルの生活をするのでは、苦痛の度合いは同じではないと思う。もちろん、人間は慣れる生き物だから徐々に順応するとは思うが・・・。

小室氏が詐欺にまで手を出して金策していた事実を庶民レベルが興味本位で詮索することではないのかもしれないが、あまりに哀れである。氏が今後、どのような光明を見出して人生を過ごしていくのか、不謹慎ではあるが、心理学的に見ていきたいと思ってしまう俺も哀れではあるが、興味あるものは仕方ない。人間の究極のテーマが栄枯盛衰なのだ。生から死への宿命とリンクするテーマだ。興味がわかないはずがない。

個人的に小室音楽は、嫌いの粋を超えて興味がないが、詐欺の件は別として、氏を全否定する気にもならない。香港などでの音楽シーンに進出するための、音楽的投資の失敗がそもそもの金欠の原因であるとの報を読んだ。

音楽人が土地などの投機に失敗したならば、かっこ悪すぎるが、音楽的なことに金をつぎ込んでそれで失敗した点だけは、個人的に非難したくはない。

小室氏が海外に別荘買ったり、高級外車を数台所有したりといった成金的な金遣いはかっこ悪いと思うが、音楽に大部分をつぎ込んだのであれば、小室氏が音楽に取り組む動機はそれなりに純粋なものであったのだと好意的に解釈したい。投機材料として音楽を据えていたように思っていたので、むしろ音楽人の良心を感じて少し安心した面もある。

膨大な負債処理と今回の罪の償いを終えた暁には、エレピかシンセサイザー1台だけを持って、また小室氏なりの音楽を作ればいいと思う。そうして出来た音楽を少し聴いてみたいと思う。初めて氏の音楽に興味を持てる日が来るかもしれない。栄枯盛衰を一巡するだけで人生が終わる事例ばかりではないと思う。一生に栄枯盛衰の輪廻を体感出来る事例も多くあると思う。そこに生まれる音楽は本質的な意味でロッキンで最上のポップスだと思う。浮上するのみだよ小室氏! 初めて小室氏を応援したくなった日であった。



 

2 件のコメント:

ラリー さんのコメント...

彼は音楽しか知らないのに世の名だたる実業家の中でも有数の富を築いちゃった。その割にあまりにも世間知らずで無防備すぎたんでしょうね。周りの金勘定のずる賢い人間にカモにされたんでしょう。そのうちに自身も麻痺して...。僕も彼に対する音楽家としての所見は氏と一緒で全く持って何の影響も受けていませんし、逆に彼を通して「音楽」というものの懐の深さ、寛容さ、自由さってのを逆説的に見ていたくらいですが、何となく気の毒です。

でもなんか今回の一連の騒動、人間臭いですよね。
その点ではちょっと安心もしたり。

仕事で取引の有るJ-POPクリエーターが日記に今回の事を書いてる記事を読んでちょっと納得した部分もあったり... http://ameblo.jp/oqr/theme-10002670970.html

僕もある意味これからの彼に期待します。

管理猿まえけん さんのコメント...

>ラリーさん

「彼を通して「音楽」というものの懐の深さ、寛容さ、自由さってのを逆説的に見ていた」

>ほんとそう思います。激しく同感です。そう、逆説的に見ていました。

ラリーさんがおつきあいあるクリエータ氏のブログ、僕も読みました。
金持ちの金銭感覚ってどうよ?? と蔑み調で普段は見る僕ですが、小室氏がワイドショー的に斬られることだけは目を覆いたくなります。

大金得ても金銭感覚の変わらない売れっ子達の素晴らしさも改めて認識しました。

話は変わりますが、年末対バンのお誘いありがとうございます。メンバー諸氏にもよろしくお伝えください。すばらしいライブをした後に、久々に酌み交わしたいです。