2009年2月6日金曜日

すっぽんのパカ!

仕事上での関わりのある方と、ひょんな時に、ひょんな場所で会うことはよくある。塾業界で仕事をしだして5年以上が過ぎたが、生徒の保護者と、仕事以外の時間にばったり会うことは多い。

それ自体はいたって自然なことなのであるが、会う場所、会うタイミングによっては、非常に気まずい時がある。おまけに、悪いタイミングは重なることが多い。

今日は出勤前に、薬局に寄った。お風呂グッズのシャンプーが切れていたので、購入目的で行った。個人的な買い物傾向として、チェーン店では買わないことが多い。こだわりをもった商品を置いて、価格競争で戦いを挑んでくるチェーン店に負けずに、それなりに繁盛している店が好きだ。

お気に入りの薬局があり、そこに行った。色んなサプリメント、漢方なんかの販促ポップも充実していて、やる気に満ち溢れている。陳列も完璧。綺麗な店内を、シャンプー片手に流し見ていた。

30代後半くらいからだろうか、種々の健康商品に興味がいく。といっても、全く服用はしていないのだが、効能をうたうパッケージや、店側が作った健康アドバイスなどのコピーと値段を見るのが好きだ。

マカもプロポリスもアガリクスもウコンも北の人参もみんな興味をひかれるが、1番ひかれるのは、すっぽん大王様である。どの病気にも効きそうな気がする。「養命酒」よりも用命したくなる。大王様の生命力をなめてはいけない。

すっぽん大王様と、韓国の食文化が身近にあれば、日本のサプリメント販売会社は需要が減るのではないかと思うくらい、すっぽん大王様とにんにく魔王の効能を、日頃から、なぜか信じている俺である。

「ひざの痛みにはこれ!」とか、「肝臓をいたわるあなたにエキス注入!」といったポップがたくさんある。非常に疑わしい効能はさておき、売る気になっている商品模様を見るのが好きだ。

店内はほどよく混んでいて、色んな商品を流し見する環境は悪くない。順番に片っ端から見て回った。

「尿もれでお悩みの方に!」というポップと共に、頻尿などの改善サプリメントが置いてあった。俺は商品を手に、何が入っているかをじっと読んでいた(※注:俺は漏れてない)。その横には「みなぎる快感! 精力回春」という、いかしたコピーがあった。

この手のサプリメントには必須であり、俺の敬愛する、すっぽん大王様のコーナーがあった。このコーナーが用意してあるだけで、その店はみなぎっている。俺は、視線を「尿もれ」から、「みなぎる」方に向けた。

俺は幸いにして、ED傾向ではないが、いつまでも精力あふれる男ではいたいものである。
ジュニアの問題ではない。あらゆるヴァイタリティーの源として精力は必須だ。

男の潜在心理として、「精力増強」というのは、女性の「美肌 うるおい」に匹敵する、魅せられる字面だと思う。

俺はすっぽん大王様の、みなぎる解説に魅せられて、一字一句見落とさずに読んでいた。読み終わって、商品パッケージを見るために、顔を上げた時、知っている保護者の顔があった。

とぼけようがないくらい、ガン見状態で目が合った。 大王様!助けて! 俺は心で願ったが遅い。

「あら~先生、お世話になっております。ご自宅、この近くですか? あ、ちょうどよかった、うちのMね、お友達のK君と一緒に今日から合宿なので、2人とも塾休みますね。また補習お願いします。」との言葉と共に、そのお母様の視線がコーナーを軽く捉えた。
その後、何だか、悪霊を見たかのような目で、お辞儀して立ち去った。

すっぽんを凝視する中年の男、横には「尿もれ」コーナー・・・。そして彼の職業はわが子の塾講師・・・。保護者視点で考えると????

時にレミゼラブルであり、時にアンタッチャブルなのである。同情と忌諱を両方くらう運命になる。

俺は、ちはやぶる大王様を怨んだ。枕言葉にもなりゃしねえ・・・。

この気まずさをどう表現したらいいのだろう。弁解するには話題の必然性がない。だが、EDだとも思われたくない。もちろん、もれていない。 頭で色んな思案が、スッポン、スッポン、スリッポンしていく。たまらんの~。

俺はシャンプー「TSUBAKI」のボトルを買って、傷心で店を後にした。

「つ~ば~き咲く~ は~る~なのに~♪♪」と、なぜか「釜山港へ帰れ」のメロが頭に鳴り出した。

帰りたいのは釜山ではない。オモニとアポジとアネの待つ家だ。 すっぽんのパカパカ!

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