2009年2月15日日曜日

法事の日

昨日は、義祖母の7回忌法要であった。坊様のお経時間の長さは、何度経験しても耐え難く、しびれる足と格闘した。周囲の目を気にしながら、お経が安定期に入ったのを見ては、足を崩した。

しかし、お経の周期に精通していない俺は、正座を崩した頃に、「チ~ン」と鳴るものだから、再び正座体制に入らなくてはならない。

漢詩の心得は多少あるのだけれども、お経のほとんどは聞き取れない。お経検定(略称:経検)なるものがあったとしたら、リスニングにおいて、俺は5級もまず受からないだろうな~と、変なことを考えていたら、坊様が仏壇側からこちらに顔を向けた。

坊様、血色はすこぶるよく、生臭さがぷんぷん漂っている。でも、なぜか憎めない。偽善性を感じない、潔い坊様とお見受けした。

浄土真宗の起こりから、「南無阿弥陀仏」を唱える心まで、ていねいに、平易な言葉で解説していただき、読経後の説法は、それなりに楽しめた。

説法を聞いている間中、坊様のファッションに目がいく。白襦袢の上に重ね着をしておられるが、1番上に羽織るあのブツをなんと形容していいものか?と考えていた。チョッキではない。ゼッケンでもない。オレンジ色がかくも高貴な色になるものか?と思うほどの鍍金風味の橙色・・・。片方の肩だけに肩ひもみたいなのをかける着こなしは、素肌に直接着たら、なにげにセクシーであろう。

坊様ファッションはどこで手に入れるのだろう?また、流行というものもあるのだろうか?聖徳君が、冠位12階で定めた色を中心に、それなりに多色の、羽織物を目にする。

坊様対象のファッションショーがあって、「坊コレ2009春!」なんてコピーがあったら見てみたいな~っと考えていたら、坊様と目が合った。何だか照れた。

無事に法要を終え、昼食会場に移動する。親戚関係を嫌いではないが、冠婚葬祭、しかもほとんどが、葬祭絡みでしか、なかなか交流のない彼らとの会話には、少し気を遣う。

日々の俺が吐く言葉自体が、南無であるからして、気をつけなければならない。いたって無難でにこやかであらねばならない。 仏頂面を阿弥陀な式典で示すわけにはいかない。

俺は、気を遣いながらも、普段、なかなか食すことの出来ない昼食を心待ちにした。

亡くなられた義祖母が好きであった鮨屋での昼食会であった。回らぬ鮨に飢えていた俺は、目の前に並ぶ刺身、河豚に涎をたらした。

いただきます、の儀式後、俺は長島さんもびっくりのさらい方で、河豚刺身を味わった。泣きそうに美味い。ビールも飲み放題!白子は嫁の分までぶんどって食した。

俺は演技をしなくても、ご馳走によってご機嫌になり、赤ら顔で笑みを振りまいた。

親戚の中には、小学生未満のキッズが4人いた。なぜだかしらないが、キッズ全員が、俺に絡んできやがる。俺は愛想良くしているつもりはないのだが、俺の体にまとわりついてきては、俺の体をおもちゃにする。キックとパンチは、ぼちぼち痛い。

南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・、俺はその場を、「業」としてとらえた。俺の前世は子供を虐待した悪者だったのかもしれない。罪滅ぼしだと、仏の心で彼らに向き合っていたら、1人が俺のゴールデン・ボウルを、むにゅむにゅしやがる。ばりばり痛い。俺は軽く飛びながら、罪滅ぼしをあきらめ、暴力おやじと化そうとしていたら、河豚の握りがきた。河豚提灯のような俺の怒り顔は、一瞬にして河豚によって癒された。

しばらくすると、4歳の女の子が、俺の薬指の結婚指輪を見つけ、「愛しとんがけ?」と聞いてくる。

「こわくせ~~、おだまり!」と、赤鬼顔をするのだが、彼女は動じない。「ちょっとこっち来られ。」と俺を部屋外に連れ出し、やたらとボディータッチをしてくる。おまけに俺の指輪を外そうとしやがる。

4歳にして、何かに発情しているとしか思えないキッズの態度に、俺はデリカシーのない言葉で応戦した。

「なあなあ、自分、おねしょなおったが?もらしとんがけ?」

彼女は顔を赤らめた。「もう、しらない!」と言いながら・・・・、すねてくれればいいのだが、めげずに、「はい、チョコ、私の気持ちよ。」という。

「しょんべん娘に興味はね~~~」と言ってやりたかったが、阿弥陀絡みの場、俺はこらえて、「ありがとう」と一緒に目の前で食べた。

また、むにゅむにゅしてこようとするので、俺は、「おっちゃんのむにゅむにゅしたら、手が腫れるで~。こんな顔くらい腫れるで~~~~!」と河豚提灯顔を添えて、教え諭した。結構びびってくれた。適度なトラウマとなるだろう。

爆飲で疲れて帰宅後、仮眠をとって家庭教師へ。あらかじめ、酩酊予告をしておいたのだが、それでも良いとのご厚意で、予定通り家庭教師を終える。さすがにしんどかった。寝たかった。

だが、終える間際、「まだ飲みたりんのとちがうけ?」との嬉しくないお言葉で、再び飲みに行く。魚の美味しい店に連れていっていただき、1昼夜にして、1年ぶりぐらいのご馳走を堪能する。夜もたくさん飲んだ。

いっぱい殺生された魚を満喫し、いっぱいせっしょうな業に耐え、法事を終えた。阿弥陀仏は何と思っておられるだろうか? 南無南無・・・。夢でうなされた。

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