2009年2月18日水曜日

肉吸

今日、大阪でコンビニ5店舗を経営する友人から、サンクスで取り扱う関西限定商品、「肉吸」なるものを送って頂いた。

「肉吸、送ったからな~。」と言われたのだが、「肉吸」なるものを聞いたこともなければ、見たこともない。まして、食したことがない。

なんでも、旧なんば花月(現NGK)に近い、うどんの名店「千とせ」の人気メニューらしい。

早速、頂いたのだが、コンビニメニューでありながら、汁たっぷりという斬新な商品であった。薄味でなかなか美味い。店でリアルタイムに食べたら、ファンになりそうな味だ。
一言で言うと、肉うどんのうどん抜きである。半熟たまごと豆腐が入っていた。

「肉吸」の案内文も同封してくれたのだが、それによると、吉本新喜劇の俳優、花紀京が、二日酔いの時に、「肉うどん、うどん抜きで!」と注文したのが最初らしい。「千とせ」先代の主人がそれに応えたことから、いつの間にか口コミで広がり、定番メニューになったらしい。千原Jr、陣内、チュートリアルらも贔屓にしているようで、吉本内では、これを食べると売れる!とまで言われている商品らしい。

「肉吸」なるものの発祥の由来が、いかにも大阪だな~と思った。

うどん屋において、麺、出汁、具とあるが、店主のこだわりのほとんどは、麺にあると思う。俺はあまり、うどん屋に行くことがないのだが、店の看板などを見ていると、ほとんどの店に、「手打ち」やら「自慢の太麺」など、麺にこだわりを出し、それを謳ったものが多い。

つまり、ほとんどのうどん屋においては、麺のコシに対しての店主のこだわりがあらわれているのだ。

それを、「うどん抜きで!」と注文できる客と、それに応える店主がいる事実。素晴らしいと思う。

鮨屋で、「大トロ、トロ抜きで!」とか、鰻屋で、「上、鰻抜きで!」と言うようなものだ。
ヤキソバを注文して、麺抜きにしたら、野菜炒めになる。それくらい過激な注文だ。だが、それを要求する客と応える店主がいた。はじらいとこだわりの無さが大阪である。

だが、この「肉吸」・・・、なんでそれまでなかったのかが不思議なくらいの秀逸メニューだ。

俺は酒飲みであるからして、吉本新喜劇の俳優、花紀京さんの気持ちがよくわかる。深酒した後、最後にラーメンを食べて帰る人も多いので、潜在的な需要はあったのだと思う。深酒すると、ラーメン全部は食べられる気がしないのだが、なんか汁モノが食べたくなる。

俺は二日酔いの時に、「吉野家」で、味噌汁だけを頼み、50円払って出てきたことがある。とにかく汁モノが恋しくなるのが、酒飲みの常だ。

水分だけを欲しているならば、お茶か水かスポーツドリンクで間に合う。また、完全なる汁のみを欲しているならば、「THE汁」的なホットドリンクが、缶で市場を席巻しているだろう。

酒飲みの心情として、「満タン食う気はないけど、ちょっと汁を体内に取り入れて、ちょっと具を食したい」というのがある。まさに、「肉うどんのうどん抜き」がぴったりといえばぴったりなのだ。

俺はうどんよりラーメン派だ。中華料理屋ラーメン屋で、麺抜きのメニューを定番としてくれるところはないのだろうか?新しい需要があるように思うのだが・・・。

だが、冷静に考えてみて、「味噌ラーメン」の麺抜きは、種類は違えど、名前は「味噌汁」になる。なかなかネーミングが難しい。

その点でも、「肉吸」というネーミングは秀逸だ。「吸い」と「い」を付けずに訓読みさせるあたりの強引さも大阪の香りがする。

今後、「肉吸」が関西コンビニの定番メニューになるのには、原価面、汁物ならではの物流リスク、賞味期限の短さ等、まだまだ種々の問題があると思うが、ヒット商品のヒントというのは、身近なところにたくさん落ちているものだな~と思った。

そして、ヒット商品を生み出す土壌に溢れた大阪の血が、俺の素地にあることを嬉しく思った。3つも食べて、腹がぱんぱんだ。でもカロリーは低い。

「肉吸」を送ってくれた、原ぱん、ほんまありがとう。ちなみに彼の渾名は、「腹がぱんぱん」であったメタボな時代に、苗字にひっかけてつけられたものだ。彼は今、メタボを脱出して、スリムボディーを保っている。

「肉吸」は、肉を食しながらも肉を吸い取ってくれる効果があるような気がする。

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