2007年11月2日金曜日

痛みと心の関係

ここ数日、首と肩が痛くて仕方が無い。肩から上全てをとっぱらいたい衝動にかられるくらい、単なる痛みとも違う、何か邪悪な重みを感じる。我が家の秘密兵器のコウケントーで、緩和してきているのだが、ここ数日は出勤前に銭湯のサウナにじっくり入っていた。

サウナでじっと汗をかいていると、いつも、チープライブでの下北沢カプセルホテル泊まりの日々や、スクーリングでの川崎でのサウナ住まい3週間の日々や、大阪で飲んで泊まったニュージャパンでの夜や、名古屋で科目試験の前日に爆飲(このときは、あの、スキマスイッチと対談したのだ)して泊まったサウナを思い出す。そのどれもが、素晴らしい思い出だ。

カプセルホテルの狭い空間に、ウナギみたいに入っていくこと自体も気持ちいいのだが、あの空間にいる種々の人種の行動観察と、同空間にいる緊張感に、一種のエクスタシーを感じるのだ。

退廃の香りに対する俺の嗅覚はすぐれているので、館内にいる、ただ一晩だけイレギュラーに泊まっている人と、そこを定宿にしている人との見分けは、すぐにわかる。顔を見れば100%、足音聞けば50%、寝言を聞けば30%、浴衣の着こなしを見れば30%、痰の絡み方を見れば70%の確率でわかる。

忘れない会話がある。川崎の比較的高級なカプセルホテルでの会話だ。
俺がエレベーター前の喫煙所で、俺はシェイクスピアを原書で読んでいた。中世英語だ。進まない。辞書は持たずに、不明の大海原を溺れていた。実に嫌な奴の構図だ。ナイスミドルな御仁が声をかけてきた。

ナイスミドル:「兄ちゃん何読んでるんや?」
俺:      「シェイクスピアっす。全然わからないっす。」
ナイスミドル:「シェイクは、マクドナルドやろ。振るっていう意味や。」
        ※そこで切るか? 人名知らんでシェイク知ってるんや?すごい脈略である
俺:      「そうっすか? おじさんすごいっすね。」
ナイスミドル:「兄ちゃん、ここ数日ここで本読んでるの見かけるな。でも、ここは兄ちゃんみたいのが
         寝床にするとこちゃうで。俺はもう、半年住んでるけどな。」
俺:      「まじっすか?めっちゃ高くつくんちゃいます。家賃10万超えますやん?」
ナイスミドル:「金はあるねん。でも、それ以外には何もないねん。人生色々や。俺は兄ちゃんが天使に
        見える。どうや、もう一本飲むか?」 ※自販機でビールを買ってくれる。
俺:      「・・・・・・・・・。美味いっす。」
ナイスミドル:「兄ちゃん、酒は飲んでもいいけど、飲まれたらあかんで。俺みたいになるで」
        ※ナイスミドルは持ち込みウイスキー
        「兄ちゃんが住むのはここやない。自分の家で朝を迎える幸せは忘れたらあかんで。」
        「半端の行き先はしょせん半端や。風に吹かれて、どっちに行ってもインケツや。兄ちゃ
        ん明日風呂入ったら、ここは出て行き。そして二度と戻ってくるな。」
    
俺はナイスミドルの言葉を反復していた。夢を見た。彼が看守で俺が服役を終えて出所を待つ流れ者みたいな設定だ。ナイスミドルが辿った足跡は容易に想像できる。言葉は気障で、笑のツボ含有率が高いのだが、不思議と笑えないでいた。ナイスミドルの目は澄んでいた。歯はなかった。指はあった。風呂場で目にした彼の刺青は、ラインだけを彫って色も模様も入っていない途上のものだった。

彼の瞳は優しかった。この上なくまぬけで、臭い、ベタな言葉なのだが、異常な温度の誠意を感じた。
彼の晩年の一夜に関われたのかもしれない。

翌朝から俺はカプセルホテルを変えた。川崎駅前はたくさんの路上生活者がいた。

貴重な経験をナイスミドルに感謝する。

体が不調を訴えると、俺はナイスミドルを探したくなる。完全なドヤではない。ぎりぎり庶民感覚を宿した宿で、種々の陰鬱を込めた人と、それを包み込む空間に、何かを感じる。俺にとっての学び舎だ。

余談だが、明君はサウナで泊まっていて、夜中に怒鳴り声があり目が覚めたそうだ。
「何をするんだ!」    「いいだろ、ちょっとぐらい。」
オスオスの感情のもつれだ。ナイスミドルだったらしい。貴重な体験談をナイス明に感謝する。

ミドルは~いろいろ、 サウナも~いろいろ・・・・。 痛みと心の関係もいろいろである。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

首と肩。どちらかが主で他方が従やと思う。たぶん首が主やろうな。ってのもむちうちの後遺症ちゃうか?寒くなって出てきてるんやと思う。

コウケントーやサウナに頼る前に医者に行け。事故の時の医者に行け。

時限爆弾のスイッチがオンになったのかも知れないぞ。ナイスミドルとは違う意味で、一生背負って行く荷物なんかも知れないぞ。

とりあえず医者に行け。

管理猿まえけん さんのコメント...

nakaさん、いつもタイムリーなアドバイスと叱咤激励ありがとうございます。

今日、医者に行きまして、医学的には異常ないみたいです。一生付き合っていかないといけない時限爆弾、軽くは考えないようにしたいと思います。

ライブで首振りしても大丈夫なケアの仕方をつかみます。ほんま事故は何1つよくないですね。現代医学はどんなにハイテクになっても後遺症と事故の因果関係もわからない・・・。むなしいものですよね~。