2008年2月8日金曜日

排尿について考える

最近、異常なほどトイレに行く。昼間はそうでもないのだが、夜帰宅後、飯を食って酒を飲むと、アホみたいに尿意をもよおす。

俺の部屋は2階にあり、便所は1階にしかない。便所のすぐ近くが親父とおふくろの寝室だ。起こすのも悪いとは思いながらも、なんせすり足が苦手だ。気を使う。

小水がINAに付着した汚れを流す銀色ボタンを押すと、静かな我が家の夜半に轟音が響き、親父の鼾が止まる。俺はこれが嫌で、流さずに、翌朝芳香を親父に嗅がす仕打ちをくわえているのだが、今のところクレームはない。おそらくスメルは大したことがなく、一緒に住める範囲なんだろうと思う。

酒量は昔よりも減ることはあっても増えてはいないので、この頻尿が気になる。おそらく、交通事故以来の体温低下が、汗としての発汗を減らしている分、俺の膀胱が負担を背負い込んでいるのだと思う。体のメカニズムは神秘的だ。

頻尿と併せて気になることがある。尿の勢いだ。真面目に考察しているので、下品な表現スルーを!

自慢じゃないが、以前の俺の尿は、リーチ即発射で、便器に向かうや否や、一直線の軌道が男子便器の中ほどを直撃し、陶器をも割らんばかりの水圧を誇っていた。跳ね返りの飛沫も凄かったのだが、便器から、30センチ程離れたところから便器の中ほどをロックオンしても、精度は高かった。だから、放水後の放射漏れは少なく、いわゆるハミションのない男だった。ハミションをする男を俺は軽蔑していた。「ふん、放水もできないようでは、火消しにもなれないぜ! 赤子からやり直してこい! それが嫌なら宦官にでもなるがいいぜ!」と思っていた。

ところがだ、事故以来しばらく経ってからだろうか、明らかに異変が起きてきている。

まず、リーチをかけてから発射までの準備時間が、非常に長くなってきた。便器に向かい、砲台を向けたものの、灯油を吸い上げるポンプのように、何かくみ上げ作業をしているかのような、不穏な動きが砲台周辺にある。くみあげ作業の間、俺は軽く逆えびみたいな形で、ため息をつきながら待つことになるのだが、この映像は、昔、植物園で見た翁を思わせる。不安だ。

やっとくみ上げてロックオンしたあともやっかいだ。精度が悪い。いや、放水が描く軌道が悪く、真下に落下しようとしやがる。チョロチョロ~~、チョロチョロ~・・・・。「こら、前を向かんかい!」と夜半の便所、心で激励するのだが、奴らはいぜん覇気がない。チョロチョロ~~~・・・。

おまけにだ、放水を終えて、俺が砲台をしまおうとする時分になってもまだ、チョロチョロ~・・・・。
パンツがウェッティーだ。赤子なら泣き叫ぶくらいの、パンパースの吸収量を超えるウェッティーだ。
体温が下半身を中心にますます下がる。

そして今日、恐るべきことに気がついてしまった。俺の嫌いなハミションを見つけてしまったのだ。ハミション大魔王の降臨だ! 呼んでないのに飛び出てきやがった・・・。

夜半の放水が多かったので、家庭内では気がつかなかったのだが、職場の便所で気がついたのだ。うちの生徒のハミション部隊が残した傷跡を、俺は毎日便所掃除をしながら、「まだまだやの~、この雑兵が!」と、1人悦に入っていたのだが、今日は、俺が掃除した後の、まだ生徒が来ない時間に再度便所に行った際にあったのだ、あれが・・・。その時点で、掃除後の本日の便所への来訪者は俺1人だった。

凹む。それも大量だ。いつはみ出したのかわからないので、記憶を辿る。「今日は食後に1回便所に入って~、その時は、その時は???? あああああああ!!!!!」

確かにその時にあったのだ、チョロチョロが。水圧の弱い銭湯のシャワーのような垂れ水が・・・。

今日から俺もハミション部隊の仲間入りだ。キッズと共にグループ結成だ!雑兵への格下げだ!

前向きに思考を向けるがどうも納得がいかない。キッズのハミションは、ロックオン装備が未完成だからであり、そのはみ出方はすごい。確実に便器外を軌道がとらえているはみ出し方だ。だから、水溜りのようなハミションをしてくれるのだが、裏を返せば、軌道さえ修正したら、彼らはハミション部隊を卒業できる。

ところが、俺のハミションはチョロチョロだ。真下に微量、落ちやがる。すすり泣きの涙に似たような微量の軌道外れの残骸だ。焼夷弾にもなりゃしない。

俺は、雫を静かにふき取った。下半身がさらに冷えたような気がする。傷ついた。

俺は今日の夕方から、俺の排水の描く軌道について思考した。そして前向きな結論に至った。
立ち直るのが早いのは、劣性の人間の凄みである。

今日から小水も大便器に座ってしよう! そうすれば、チョロチョロ軌道は願ったりだ。完全に放水をやめるまで、俺が鎮座しておれば、ウェッティーも解消される。今日から俺は逆えび禁止だ。たったそれだけのことだ。気分が明るくなった。

思えばだ、今までの俺は、ハミションを忌諱していたが、俺はピカドンを投下する時のジャブミサイルとしての小水をハミションしていたのだ。つまりだ、大便器に座って小水を前面の便器外に向けて発射するという暴挙を数多く仕掛けてきたのだ。1度だが、大便器に座り、前かがみでピカドン投下を準備していたら、焼夷弾が俺の顔めがけて飛んできたこともあったくらいだ。ならば、今の環境は良いではないか! 俺は自己完結して満足した。ハミションする場所が変わっただけさ! そう思い、本日帰宅後3回目の小水を大便器で終えた。

小水に対する異常や劣化はあるが、俺のピカドンはパワーアップしている。朝のトイレは、確実に、昔嗅いだ親父の残り香だ。良い大人になってきて、成熟に向かっているのだろう。

話しが下品になってきたのでやめる。最後は、雅な短歌で締めくくる。

「静けさや、水温響く この厠 雨の雫に重なる チョロチョロ」 (「まえけん全集第6巻 『切れ字じゃないのよ、厠の「や」』より引用) 

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ションベンの話題で文章なげえよ!!!

俺も最近はめっきり残尿マスターさ。
気にするな。

赤ひげtodタカ さんのコメント...

いや~、今までの中で一番すばらしィ!感激です。

管理猿まえけん さんのコメント...

>MATOO氏
文章にはワビサビと強弱が必要なんじゃ! 尿にそれがないんじゃ! 気にするんじゃ!
今度一緒に連れションしよな。

>タカ氏
今頃漁船乗ってるんかな?あんたは演歌やな。まじで差し入れ乞う!