2008年8月15日金曜日

「せんと君」と「利長くん」

平城遷都1300年祭が奈良県で行われる。あと500日のカウントダウンが18日から始まり、それに伴い、あの悪評で有名になった「せんと君」も正式デビューする。

赤ちゃんに鹿の角が生えていて、どう見てもサタニックなあのキャラだ。俺は以前のブログで、この手のキャラが生まれるまで、誰も止めなかったという、役所の低感受性を緩やかに酷評した。

その「せんと君」であるが、着ぐるみが大人気だという。引用する。

「平城遷都1300年の平成22年元日まであと500日となる今月19日に披露される遷都1300年祭のマスコットキャラクター「せんとくん」の着ぐるみが、デビュー前から引っ張りだこになっている。「話題のキャラをわがイベントに」と、官民からオファーが殺到。同祭の事業協会によると、15日現在で44件に達し、中には来年夏の予約もあるという。独特の風貌に賛否が飛び交い、対抗キャラまで登場したが、抜群の知名度が人気となっているようで、同協会は「反響は驚くほど大きい」と喜んでいる


なんだか気持ち悪いニュースだ。悪評の着ぐるみを「話題のキャラをわがイベントに」と、取り入れたくなる奴らの気持ちがわからない。ふざけるにもほどがある。1番ひっかかったのが、上記の記事の中の、「官民からオファー」の「官」という部分だ。

「民」からのオファーはわかる気がする。残念ながら、こういった悪趣味の着ぐるみを使い、退廃的なイベントを企画する奴はいるものだ。みんなから殴られる役を「せんと君」が果たすのであろうと思う。

だが、「官」とはどこだ? 公的な予算で、こんなものを買える官庁の具体的な使用例が知りたい。同じ奈良県の自治体なら応援的志向が強いのだと思うが、もし、県外官庁の発注だったら、税金の払い主に対して、正当な理由を持った使用の仕方がわからない。

「せんと君」を産み落とした、想像力に欠けた自治体も自治体で、「反響が大きいと喜んでいる」場合ではない。自分たちの悪趣味マスコットを販売する開き直りと商売根性には感心するが、呆れた感心であり、もちろん皮肉である。

もう見たくもない!っと責任者一同、恥ずかしさを抱えて、マスコット以外の行事に名誉挽回の機会を狙うべきであろうに、何で着ぐるみを販売するのだろう? やけくそか、それともあくまでセンスの悪さを認めなたくないのだろうか? それとも本当にこのキャラに自信を持っているのだろうか?

たかが、マスコットキャラクターだ。本来、こんなマスコット作成ごときに版権を取ってまでして予算をかける必要もないように思うが、どうせ作るなら、かわいい、かわいくないといった程度の差でとどめていてほしい。

個人の趣味は色々で、「せんと君」をかわいいと思う人もいるかとは思うが、赤ちゃんに角が生えている絵は、個人的には怖い。俺が子どもなら、キャラを見て泣き出すと思う。

わが住む町でも、開町400年を記念して色々なイベントが行われる。当然のように、ここでもマスコットキャラクターが誕生した。

わが町のマスコットは「利長くん」だった。http://www.takaoka400th.com/
何だか平和ボケした大名キャラだが、実にかわいい。デザイン自体に洗練度もインパクトもゼロであるが、これは官主体のキャラには必要なことであると思う。誰もが不快にならなければよい。この着ぐるみなら、「せんと君」と違い、見た瞬間に殴りたくなる人はいないだろう。

この「利長くん」、なんとブログを書いている。そしてプロフィールもしっかりしている。
なんでも身長2メートル20センチ、65キロだとか・・・。暗いところ、暑いところ、高いところが嫌いだというプロフも笑える。そらそうだ、着ぐるみに入る人間の気持ちをよく代弁している。

さらに、素直なプロフがある。特徴に、「身長と体重が日によって変わる」とある。着ぐるみに入る奴は複数いるだろう。多少の身長差は許せということだろう。自治体責任者、スタッフの性格の良さがわかる。

「せんと君」と「利長くん」、同じマスコットキャラでも大きく違う。奈良県民には悪いが、どうやら記念事業自体の規模も歴史の深さも違えど、イベント主導自治体の優劣は、わが町に軍ぱいが上がると思う。

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