2008年8月31日日曜日

今さらながら、『蟹工船』

今日で仕事上の夏は終わった。夏期講習自体は3日前で終わっていたが、保護者との進路相談やら、補習やら、質問対応やらで、なんだか慌しい日々を終え、明日から通常の日々が戻る。朝方寝る、生活リズムオンリーホスト生活が再開する。

今日は、19時で校舎を閉め、今年初の天然鮎を、接待で食させてもらう。地物の鮎だ。全身をがっつりと頂く。やはり美味い。人差し指2割り増しくらいのサイズの鮎が、1番、くせがなくて美味い。

早いもので明日から9月だ。読書の秋だ。といって、それほど読書時間が延びるわけではないが、書店の陳列棚が充実し出す。夏休み前に充実した棚が、成功・失敗をふまえながら、在庫整理、新たなキャンペーンに乗り出す様を見るのは楽しい。

今日も出勤前に本屋を覗く。文庫棚を見渡すも、たいして興味をそそられる棚もなく、重版の廉価本を中心に、読み損ねていた本、または、読み返したい本を中心に探す。

今年の春以降だろうか? 『蟹工船』がブームになっていて、プロレタリアート賛歌の風潮がどうも嫌いで、読み返すことを躊躇っていたのだが、本屋の仕入れミスか、不良在庫が目立ったので、400円という値段にもつられ、購入する。新書は相変わらず立ち読み対象で十分な、旬物安物トピックが並ぶし、じっくり読みたい本はない。

京極氏の本をじっくり読みたいのだが、妖怪嫌いがあってどうも手が出せない。
「新潮45」などの文芸雑誌??? を数札手に取り本屋を出る。

『蟹工船』の仕掛け人が誰かはしらないが、購入したものの、以前読んだイメージでは、たいして感動もしなかった記憶がある。買ったので読み返そうとは思うが、小林多喜二氏の文章は好きだし、彼自身の体験小説感はリアルで好きなのだが、今の時代に蒸し返すムーブメントでもない気がする。

ネット難民やら、パラサイトシングルやらが、自身の現状を正当化する理論武装に一躍買う題材になっている気がしてならない。小林氏の文章は好きだが、彼を持ち上げて今に問う奴ら・・・、時代がちゃいまんがな!え~かげんにしなはれ!

『蟹工船』ブームで共産党の入党者が増えているという。

俺自身、共産党の政策は大賛成だ! 何1つ間違っていない。いちゃもんありきの社民党や民主党より、十分理知的で情があり、立派な主張である。

それに、共産党の姿勢は一貫していて、真の野党としての立場は完璧に近いと思う。
マニフェストは、偽善的で綺麗事まみれの公明党より信頼が置ける。党名を変えれば、イデオロギーによる生理的嫌悪を感じる人もなくなり、政権与党を取れる可能性もある党であり、主張であると思っている。

だが、現、共産党員が増えている現状は喜ばしいこととは思えない。

なぜなら、『蟹工船』ブームで生まれた党員は、しょせん、過去の共産党のイメージそのものの、「赤」を体現した奴らである可能性が高いからだ。

現実を見ず、常に他者攻撃による自己正当化の姿勢を持った奴がいる。無差別殺人を起こす奴、テロリストとなんら変わらない、自己中心的な理屈たれの集まりは、はっきり言って、粛清されるべきであるとさえ思う。俺は、思想は右の、現共産党主義者だ。

理屈ばかりたれ、動こうとしない奴、自分の不遇を他者攻撃で正当化する奴、神様の範疇であろう理想論ばかりを掲げて、現実に唾を吐く奴・・・、今まで色んな奴と知り合ってきたが、そんな奴らに限って、小林多喜二さんの主張を都合良いように解釈すると思う。危険だと思う。

現、共産党員の方々は素晴らしいと思う。自らの主張を掲げ、それが叶わぬ現状がありながらも市民の責務を果たし、人間の情に基づく自然な行動をする。その上で、現状の矛盾に立ち向かおうとする侍であると思う。性悪説に基づき、あきらめの境地で時々毒を吐く俺なんかと違い、立派な人間だと思う。

だが、『蟹工船』ブームの後の、共産党入党者数増のニュースは、どうもいただけない。

蟹工船の重労働に耐える力もない奴が、頭でっかちにプロレタリアート救済を唱えたて、それが世論となったら、せっかくの心ある、現共産党も過去の赤集団に逆戻りすると思う。

プロレタリアートの窮状を訴えるのはプロレタリアートのみが、高齢者の窮状を訴えるのは高齢者のみが権利を有する。書面の知識に感情移入して、ガキがほざく理論ではない気がする。

日々の労働にも耐えられず、それを世間のせいにする奴。要は義務を果たさず権利だけを主張する奴・・・、プロレタリアートになれない奴が、プロレタリアートを賛歌するな!プロレタリアートの御仁の崇高さが、お前らのせいで霞むんじゃ、ぼけ!

今こそ、共産党の正念場だ。党名は嫌いだが、彼らの主張は、天皇制とそれがもたらした過去の惨禍に対する過剰な反応を除けば、むしろ体制派という意味での右だとさえ思う。

労働してもいないのに、労働搾取を訴える奴らに耳を貸せるほど、現世は甘くない。工作船にでも乗って、海難で生涯を終えて欲しい。『蟹工船』はブームになる本ではない。こっそり読む本だ。

0 件のコメント: