2008年9月14日日曜日

麦茶

今日久しぶりに麦茶を飲んだ、伊藤園の「麦茶」、むちゃくちゃ美味しかった。懐かしい味がした。麦の味が濃くて、昔、夏に飲んだあの味を思い出した。なかなかの優れた商品だと思う。さすが伊藤園!

思えば、年々麦茶を飲まなくなっていた。

普段、コンビニで飲み物を買う時、一番多く手にするのは水であり、次に爽健美茶、次に緑茶、次に烏龍茶という順であった。麦茶がランキングに入っていないことが意外だった。
意識してコンビニのウォークインを眺めていたわけではないが、麦茶の陳列場所が悪かったのだろう、あまり目につかなかった。

だが、目についていたからといって、麦茶を頻繁に購入していたかと思うと疑問だ。麦茶の味自体に魅力を感じなくなっていたことは否めない。

いつごろからだろうか、麦茶をやかんでわかさなくなったのは・・・。水でも作れるティーバッグで発売されてからというもの、麦茶は、容器にパックと水を入れて出来上がりといった手軽なものになった。

手軽になった麦茶の味がどうも好きになれなかった。昔飲んだあの香ばしさがないのだ。麦の味がしない、なんだかあっさりした麦茶味であり、同じあっさりならば爽健美茶のほうがよい。よって、年々飲まなくなっていた。

小学生時分の俺は、夏といえば麦茶を思い浮かべるくらい、腹がたっぷたぷになるまで飲んだ。おかんは、毎日3回ほどやかんに麦茶を沸かした。

沸かした麦茶が常温まで冷えるのを待って冷蔵庫で冷やす。だが冷えるまでのスピードよりも、飲みつくすスピードの方が早かったので、昔飲んだわが家の麦茶は少々ぬるめが多かった記憶がある。氷を入れて冷やしたりもしたので、何だか味の薄い麦茶が多かった。
俺にとっての美味しい麦茶の記憶は、友達の麦茶を盗み飲んだ時にばかりある。

美味しい麦茶をいつも学校に持参する友達がいた。いや、ほとんどの友達の持ってくる麦茶は美味かった。

濃厚な麦の味がしみる抜群の沸かし加減、そして、それを凍らせて持ってきていたので、飲む頃には冷えまくっていて、実に美味しかった。凍らせていないものでも、魔法瓶の力が発揮されて、いつ飲んでも美味しい冷え方だった。

ところが、わが家には凍らせることができる水筒がなかった上に、魔法瓶も安物であり、昼過ぎには常温に戻っていた。おまけにおかんはワイルドであり、週に1回はホットを入れてくる。

ホットの良さがわかるのは壮年以降だ。俺は、「お前のお茶熱い!」と友人から馬鹿にされて売れ残っていた。

わが家のお茶にはさらに問題があった。麦を粗末にしたくない気持ちはわかるのだが、「何回煎じとるねん!」というくらい、麦の味がしない薄さの時がよくあった。グラスにつごうものならば、今でいう爽健美茶以下の薄さしかでない麦汁が俺の哀れな水筒に入っていた。

自分の茶は飲まず、美味しい麦茶の友人からばかり施しを受けてしのいでいた俺だったので、美味しい麦茶に対する飢えと、それを飲んだ時の豊饒感は大きなものがある。

やがて、烏龍茶が市場に出て、お茶が沸かす時代からペットボトル入りを購入する時代になったが、俺は断然麦茶派であった。

ところが、ペットボトルに入った麦茶には、俺の友人が持っていたあの芳香さがなかった。沸かした後の麦臭さがなかったのだ。冷水抽出ならではの淡白さがあり、飲み口はいいのだが、俺の豊饒感は満たされることがなかった。それ以来、徐々に麦茶と疎遠になっていった。

こういう麦茶との関わりを経て飲んだ冒頭の伊藤園「麦茶」は、大きな衝撃だった。こんな秋口に飲むのではなくて、もっと夏にがぶ飲みするべきだった!と我を恨んだ。

年間定番メニューにはならず、売り切りでコンビニから消えるかもしれないが、在庫がある限り、1本でも多く飲みたいと思っている。

そういえば、最近やかん自体を見かけなくなった気がする。お湯もポットで沸かすし・・・。
なんだか記憶が消えていくようで悲しい。

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