2008年9月23日火曜日

巨人の構図

巨人が絶好調だ。だがアンチ巨人というよりは、今の巨人に好きな選手がいない俺は、この追い上げに対して全く興奮しない。

興奮しない代わりに、さすが巨人の選手だな~!と思う部分はある。巨人の選手で前半からずっと一年を通して働くのは、若手か助っ人であり、その他の選手はシーズン後半になって活躍する傾向がある。もちろん他の球団にも見られるのだが、巨人の選手は顕著だ。

やはり、年俸査定に備えて、球団経営者に良いイメージを残すための心理的作用があるのだろう。他の球団は年俸査定に対して、シーズン全体を通してや、長年の貢献度しっかり査定しているのだが、巨人の場合は、後半の活躍に対して大甘な印象がある。データを見比べたわけではないが、主要選手の月別成績を球団ごとに出し、それぞれの選手の年俸増減を比較したら面白いデータが出ると思う。

後半になって活躍しだした阪神今岡と、同じく後半になって先発復帰しただけという程度の上原の次回年俸増減を比較したら、俺の言っていることがわかると思う。今岡は強烈に下がるが、上原は公表額でも微減で済むと思う。まして、メジャーに行くとかほざいているが、残留を決意したならば、大甘現状維持もあり得るのではないかと思う。

やっぱ、中日岩瀬選手のような、長年にわたり。良いときも悪いときも地道に淡々と、与えられた仕事をこなしてきた年月の重みを持った選手が現れない限り、巨人に愛情は持たないだろうと思う。

小笠原、ラミレス、谷、木村拓也、グライシンガー、クルーン、門倉、豊田、李といった巨人主力の面々を見て、多くの指摘がなされることだが、ほんと生え抜きを育てられない球団になってきている。

他球団がせっせと育てて、選手が本格化しだしたころに、巨人は大金をちらつかせて選手を誘惑する。

生え抜きの若手は、日々の努力が実力となって実る頃に、強烈な外様が入ってくることでやる気を無くす。

今年、原監督が生え抜きの坂本を辛抱強く使い続けた采配は見事だと思ったが、坂本のような処遇が出来るのであれば、巨人は数年間、助っ人を獲得しなくても大丈夫なだけの逸材がたくさんいるはずだ。でも、さすがの原さんといえども、外様を無視して生え抜きばかりを作って育成期を設けることはできなかったのだろう。

球団首脳の眼力の甘さ、査定の無能さが巨人の伝統となってきた昨今、他球団からの移籍大物選手は、トップのあほさ加減を知っている。だから、体を張ったプレーをして選手寿命を縮めるような馬鹿なことはせずに、シーズン後半にだけ活躍して年俸維持を図る。
稼業としての野球をやっている人たちにとっては、巨人は魅力あふれる球団なのであろう。

球団の本質を知ってしまうと、生え抜き若手のようながむしゃらさを求めるのも酷だろう。先に挙げた9人の選手が決して悪いわけではない。こんな状況でよくやっているなとさえ思う。そして、巨人以外の球団も、最近は資金力で外様を獲得する傾向にあるし、巨人の外様割合が高いだけで、球界全体の風潮だとも思う。

散々巨人の悪口を書いたが、俺は、こんな球団が存続すること自体はいいことだと思う。
経営陣にしても、大金をはたいて無能さを露呈してくれるのだから、ご機嫌である。

選手も、その時々の技量と、野球に対するモチベーションに応じて、球団を選べる者は選べばよいわけだし、色んな受け皿があったほうが選手にとってもよいし、個人的には高額外様を多く並べた球団に、生え抜き選手を揃えた球団が勝ち越す様を見るのは楽しい。

巨人も巨人で、「わしらは金持っているから、金にものいわせていっぱい良い選手とりますよ。悔しかったら資金力挙げてから反論しやがれ!これも1つの球団運営だ。」と言えば良いのだ。

その上で、野球人、ファンからの裁きを待てばよい。

腹が立つのは、最近話題になっているドラフト候補の目玉選手が、日本球団を拒否して、メジャー球団に直接売り込むことに、巨人首脳が大反対していることだ。お前が言うな!

「日本球界にとって大きな問題であり、もしこんなことが許されるならば、我々はメジャーから全選手を引き上げる」と言っていた。あほか!

かつて、「たかが選手が・・」とほざいたナベツネ君率いる奴らは、「たかが巨人の首脳」である。視聴率も低迷してきた落ち目球団の一首脳の分際が、イチロー、松坂などの選手を引き上げると言える神経がわからない。伸びきった鼻を滝に流してやりたい。

日本球界の問題という大きなテーマで反対しているが、単純に巨人首脳の発想は、お金で魅了させる技量しかないから、お金で釣れない選手の希望に、腹を立てて、邪魔をしてやりたいと思っているだけだと思う。

資源の確保も食糧の確保もワールドワイド、選手の働き口もワールドワイド、なんで野球だけ鎖国に今さら努力するんじゃ! 他球団のオーナーなどが、メジャー流出に反論している主旨と、巨人の反対主旨は根本が違っていると思う。

浅はかで傲慢な巨人首脳は、国家、経済界を低迷させる、能無し首脳の構図全てにも当てはまる。

今の巨人の地位を築きあげたのは、戦後の社会体制と、長島・王といった生え抜きスーパースターが、そして、彼らほど目立たないが、立派にチームに貢献した人たちが残した功績だ。

現場社員がせっせこ働いて繁栄を築いた会社のトップに、現場を知らない外様、世襲トップが立つという、経済界の構図。

多くの人の努力と時流に乗って日本が経済大国になった時、一部の馬鹿首脳が発言権を増す土壌も作られた。そしてそれから数十年かかけて、彼ら馬鹿首脳が経済を悪くした。そしていまや日本は経済大国でもなんでもない。

巨人の場合で述べてみると。

多くの選手の努力と時流に乗って巨人が球界君主となった時、一部の馬鹿首脳が発言権を増す土壌も作られた。そしてそれから数十年かけて、彼ら馬鹿首脳が球界を悪くした。そしていまや巨人は球界君主でもなんでもない。

そして、現場を知らないくせに、絶妙の悪いタイミングで現場に口を出す。中途半端に庶民目線に下りて、媚を売る一部の政治家と同じだ。わからない分野には黙って、金だけ出して無能さを露呈しやがれ!中途半端に操縦士たろうとする神経が癇に障る。

巨人でプレーする選手に罪はないのだが、巨人首脳の馬鹿さ加減が国民全体の嘲笑に変わるとき、わが国は何かが変わる気がする。

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