2008年9月17日水曜日

タバコの皮算用

税収を上げるために、タバコを1000円にするという報道があってからしばらく経つが、どれくらいの税収増加につながるかを巡っての皮算用が盛んである。
今日のニュースの引用だ。

「たばこが1箱1000円に値上がりした場合、今後9年で計9兆円の税収増が見込めるとの新たな試算を17日、厚生労働省研究班(主任研究者・高橋裕子奈良女子大教授)が公表した。京都大大学院の依田高典教授の試算では、禁煙の意思を示す人全員が成功するとして、最大1.9兆円の減収が見込まれるとしたが、高橋教授は「1年後には多くが禁煙から脱落する。減収はあり得ない」と反論している。 研究班は、たばこが来年元旦に1000円になったとして2017年までの9年間の税収を試算した。」

どうだろうか。その道のプロが試算しているのであるが、何だか分析が幼稚で素人っぽく思えるのは俺だけだろうか?

まず、減収説を唱える依田教授の試算だが、「禁煙の意思を示す人全員が成功するとして~~~」と書いているが、「~として」って何だ??

この教授が喫煙者かどうか知らないが、全員禁煙はありえないと思う。単にお金持ちの喫煙者は吸い続けるだろうし、お金がない人は禁煙の契機として喫煙を断つか、本数を減らすだけである。毎日1000円をたばこに費やすことが平気な人もいるので、この試算は極論である。

ただ、大多数の人が禁煙、節煙する結果、税収はトータルで下がると思うので、個人的には依田教授の試算に賛成だ。

一方、増収説を唱える厚生労働省研究班の試算だが、これは無茶苦茶である。「減収はあり得ない」という説自体があり得ない。

だいたい、「1年後には多くが禁煙から脱落する。」という推定自体がなめている。あほか!
1日1箱吸うとして、1箱1000円だったら月にタバコだけで30000円必要だ。増税を機に禁煙する人は、この金銭面の負担が厳しいから禁煙せざるを得ないのであり、物理的な問題なのだ。

健康被害を考えて・・・といった動機からの禁煙ならば、1年後の禁煙脱落はあり得ると思うが、物理的な要因で止めざるをえなかったものが、1年後に吸い出せるならば、最初から禁煙していないと思う。

たった1年間で格段に収入が上がるか、タバコ価格が値下げされるかがなければ再び喫煙者になって税を落とすといった試算はあり得ないだろう。

この試算をした主任研究教授だけでなく、厚生労働省研究班といったグループ名もなんだか非常に金のかかる団体のような気がする。省庁管轄ならば税金使って試算しているのであろうが、その結果がこの皮算用ならば、研究発表資料の数値はどうあれ、結果だけならば素人でも出せる見通しだろう。いや、素人よりもたちが悪いと思う。

喫煙者心理、庶民の経済感覚というものへの理解の欠如が根底にあるので、読んでいてあまりに稚拙な印象を受けた。科学的に出来るトピックではない。外れたら試算のための資産を私産で弁償してほしい。

タバコを増税するならしてもいい。ただ、しょうもない試算にばっかり金をかけ、血税を四散すること自体に良心の呵責を感じて欲しいものだ。

タバコつながりで思い出したが、以前、タスポというしょうもないものを考え出した役人に対して罵詈雑言を過去ブログに書いたが、数ヶ月たって、改めてしょうもないものだと思う。

今時の未成年者は非喫煙者が多い。タバコを吸いそうな不良にしても、昔と違って今は概して良家で育っている。幼少時からのタバコの害への刷り込みがなされているので、バリバリヤンキーでも、「タバコはいけね~よ~」という時代だ。これはこれで悲しいが、とにかく未成年がタバコを吸う割合は昔と比べて格段に低い!

タスポの導入がもたらしたものは、主に高齢者が営む町のタバコ屋の廃業だ。

タバコを吸う、吸わないの是非ではなく、タバコに関わる役人の是非を議論して、奴らをポイ捨てしたい気分である。

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