2007年12月5日水曜日

無防備な心神

業務提携、兄弟盃・・・表向きは友好を前提とした付き合いに見えるが、実情はそうではなさそうだ。

例えを出そう。

AとBのボスは兄弟の契りを交わし、友好状態に入った。しかし、蜜月の関係はそうは長く続かない。Aはシノギを増やし、Bを圧倒するスピードで力をつけてきた。するとBはAを妬み、いつか自分たちが下に敷かれるのではないか?という焦りに包まれる。そこで、Bが取る防御策は、来るべきAからの合併圧力に対する武力の強化だ。名刀を仕入れ、ゴルゴもびっくりの銃を仕入れ、猛者を兵員として集める。(例えでありますよ)

Bの動向を知ったAは、内心穏かではない。いつ来るかわからない夜討ちに備えて、B以上の装備と兵員を募る。表向きはAもBも「~兄弟」と呼び合う関係を保ちながらだ。吐き気がする仮面の応酬だ。 精神的な友情は、そこにはない。

つまり、業務提携、兄弟盃共に、本音は、「今日からお互いに友好関係にあるのだから、出すぎた真似はしないでくれよ! お前がその気なら、こっちも受けて立つぜ!」というライバル宣言なのだ。

今日のニュースに、「レーダーで探知されにくいステルス技術を搭載した国内初の実験戦闘機に関する防衛省の開発計画の概要が5日分かった。開発総経費は466億円で、名称は「心神(しんしん)」。」というものがあった。

この膨大な予算を費やしてまでして作るハイテク軍用機は、何でも、昆虫以上鳥以下の大きさぐらいにしかレーダー認識されないブツらしい。

素朴な疑問だ。「昆虫以上鳥以下の大きさでレーダー認識されないブツを使って探りたいものは何?それは盗撮、盗聴というのではないの?」

著名な教授やグラサンMサシ(例えでありますよ。)もびっくりの破廉恥な行動に思えて仕方がない。466億円というお金を費やして作るものが、秋葉原もびっくりのスパイ機器ですぜ。

さらに疑問がある。われらがジャポンの仲良しの亜米利加さんが、これと同種の技術を持っているにも関わらず、技術を教えてくれなかったらしくて、自前でやっと完成したというのだ。
仲良し国家同士で、破廉恥機器の機密提供もくそもあったものではないが、やっていることは、盟友を含む他の団体をストーカーして、盗みあって監視して、相手が出すぎた真似をしたら、こっちもやり返すための情報収集だ。

ハイテク戦闘機はスーパー頭脳を持った者たちの技術の結晶だ。頭脳エリートの一方はスカート下を偵察し、一方は他国を偵察する技術を提供する。すばらしき連携だ。 日米の技術の応酬に科学者の心身が捧げられる。エロティックだ。

ライバル意識丸出しで、科学技術は向上する。業務提携の微妙な緊張感が、開発意欲に油を注ぐ。

戦闘機の名前は「心神」だ。何たるアイロニー! 何たるパラドックス! ネーミングセンスはある意味秀逸だ。 秀逸すぎて吐き気がする。スパイ機器が精神を意味する時代に生まれた悲劇は深々だ。

業務提携、兄弟盃、同盟といっただまし合いの仮面夫婦と表向きも敵対関係にある商売敵。
その、どちらに対してもなされる知識と武力を巡る攻防。 そして、それに費やされるたくさんのお金。

俺は赤じゃない。思想を1色に込められるほど偏狭な人間ではない。ただ、よくもまあ、堂々と上記の機器の発表をするな~と思う。恥じらいや戸惑いはないのであろうか?と思う。

「何で、発見されたらあかんところに行くねん! 何でレーダーすり抜けなあかんねん!」という突込みが先であると思うのだが・・・。 痴態行動を目的にしたらあかんのちゃう?

昔、クラスに昆虫好きの男の子がいた。彼は無口でひ弱で空気のような存在だった。誰も積極的には彼には関わらないが、それでいて彼は、いじめられるわけではなく、決して憎まれる人ではなかった。
彼が全身でかもし出す清さを、幼心なりに感じ取り、俺は彼に一目置いていた。業務提携は申し出なかったが・・・。

弱さと、無防備を極めたら、誰も業務提携を申し出てこないし、武装する必要もなくなるのではないかと思う。ならば、いっそのこと、昆虫以上、鳥以下の戦闘機を作るエネルギーを、昆虫並みに弱く、自然に同化するためのエネルギーに変えるほうが心神であるのではないかと思う。

今日の新聞で発表があった世界の理系学力水準は後退した日本であるが、まだまだ科学大国である。日本の学会のエリートになるであろうキッズに、盗撮機器を作る願望ではなく、弱くなる潔さを育む心神が備わってほしい。

俺は無防備だ。反論対象にしないで欲しい。

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