2007年12月16日日曜日

「王将」百景

わが住む町にも「大阪王将」が出来た。「王将」(餃子の王将)はだいぶ前にあったのだが、撤退され、わが住む県では、わが住む町から少し離れた、県庁所在地の市に1件あるだけであった。それ以来、「王将」で食事をするには、車を20キロばかり走らせなければならなかった。

俺の青春の味は、「王将」と「天下一品」にあった。2週間ぐらい、この2つの店だけで食生活を送ったこともある。美味しい店はたくさんあり、別にこの2つの店が今でも一番のお気に入りというわけではない。しかし、無性に食べたくなる時が、月に1回くらいはある。青春を俺は今でも引きずっている。

先月になって、近くに、待望の「大阪王将」が出来た。

「王将」と「大阪王将」は、「王将」が本家だ。京都発祥であり、俺の小学生時分には、大阪にもたくさんあった。それが、血肉の争いかなんかで、分裂し、「大阪王将」と「(京都)王将(餃子の王将)」に分かれたのではなかったかと思う。

俺が馴染みがあったのは、断然、本家の「王将」だ。2つの「王将」が存在することを知らない時代から、俺は「王将」を食している。中学・高校生の時に食べる「王将」の餃子とチャーハンは、それはそれは最高の喜びだった。

俺は、王将で、中国語の語感も初体験した。「ソウハンリャン、リャンガコウテイ~!」と言った、オーダーの通し方が、実にかっこよかった。

1980年代の「王将」の従業員は、とにかく、かっこよかった。俺は個人的に「王将」を「ヤンキー更正施設」と呼んでいた。滅茶苦茶悪そうな、辰吉丈一郎みたいな兄ちゃんが、それはそれは、見事な手さばきで、調理をしている。早くて上手くて、その調理っぷりのかっこ良さを楽しむのも、「王将」に行く楽しみであった。どう見ても、元ヤンキーの眼光を持っているのだが、こと、仕事になると、無茶苦茶出来る! 昔のヤンキーのかっこ良さに対する、人一倍の憧憬を持っている俺にしてみれば、男が惚れる男の職場だったのだ。

客でありながら、「食べさせていただいてます。」といった感じで、接客態度が良い悪いのレベルではなく、彼らが王将であった。

「ぃらっしゃい! 何しまひょ?」のセリフが着席する前に飛び交うのである。メニューを見て、「え~っと、」と言おうものならば、店員はどっかに行ってしまい、後から、おずおずと注文しに行かなければならなかった凄さがあった。しかし、不満はなかった。

たまに、明らかな味付けミスで、無茶苦茶まずいチャーハンが供されることもあった。しかし、俺はそれをありがたく食べた。彼らの調理姿を見ている時から、「おい! 今盛った調味料、さっきのより多いぞ!」と素人の目分量による発見をしたこともあった。しかし、俺はそれをありがたく食べた。

外れた時もあるが、当たりの方が断然多く、当たりの味は格別だった。仮に100分の1の当たりでも、俺は通ったと思う。

「王将」は食を提供してくれる王様であったのだ。それが、平成に入って少し過ぎたあたりから、どうも店員のマナーが良くなってきた気がした。元ヤン率は依然として高かったのだが、それでも、客に対するマナーが上品になった気がした。ちょうど、かっこいいヤンキーが少なくなったバブル後の時代と合致するのだが、その頃から、「王将」の店舗間の味のばらつきが、少しずつなくなってきたように思う。

バリバリのかっこいいヤンキーが更正し、一生懸命働く姿を見るのは、素晴らしき情操教育であった。それが、外食産業の標準化への道を辿りだし、やがて「大阪王将」の存在を知ることになる。

未だに本家の「王将」は、店舗間のばらつきがあるような気がするが、「大阪王将」は、レベルが安定していると思う。時代の正統派は「大阪王将」なのかもしれない。しかし、店内の雰囲気を含めた、全ての猥雑感の優劣は、「王将」に軍配を上げたい。俺の個人的な趣味だが、フランチャイズとして、味が統一されていることよりも、当たり外れがあり、店舗ごとの個性が強くにじみ出ていた、「王将」の創世記を、俺は高く評価したい。

わが町に出来た「大阪王将」には、まだ順番待ちの客が見えたので、行っていない。近々行くが、間違いなく、青春の味に近いものは再現してくれるとは思うが、作り手の姿、生き様をも食事中に体現してくれる、「王将」の輝きは、得られないだろうと思う。 厨房自体が見えない危惧もある。

身近な外食店の発展が、自分の成長のひとコマにリンクしてくれているのは嬉しい。思い入れがある分、昔の初期衝動の映像を、今も探し、それを外食産業に求めるのは酷だと思うのだが・・・。

改めて、職人が減ったな~と思わずにはいられない。職人のかっこ良さに対して俺が感じる、憧憬自体が、今の感覚からはずれていて、過去の美意識なのかもしれない。でも、輝いていたヤンキーと彼らが作る料理と、彼らが働く店全体のオーラを俺は大切にしたい。

昔日の王将百景・・・いつか再体験したいと思っている。残り香を求め、家族でにぎわう、わが町の「大阪王将」を近日中に訪れたい。中華レストランと化しているが、俺はメニューなどしゃらくさいものは見ない。入るなり「リャンガコウテイ」と大声で頼みたいと思う。中国語は知らない。不審な客に、店長、マネージャーの「2人の皇帝」が出てくるかもしれない。慌てず対応しよう。そこは「王将」だ。

3 件のコメント:

mattoo さんのコメント...

俺は、天下一品、ハイライト、みよしやな(笑)

ウエダ さんのコメント...

トピずれですみません。
昨晩は、練習途中で帰ってしまい、
すみませんでした。
みなさんにご心配かけましたが、
無事に処置が成功し、子供は麻酔が効いて
今寝ています。
とりあえず、報告まで。

管理猿まえけん さんのコメント...

>Matooさん
ハイライト、みよしは、もちろんリストにあるで。ハイライトは貴ブログで見たことあったけど、激しく同意。一緒に天一タイムしたいな。

>ウエダさん
突然のハプニング、びっくりしましたが、御無事だったとのことで、安心しました。アナーキーなお子様を頼もしく思います(笑)
今度の日曜日に、またよろしくです。