2008年6月4日水曜日

越中方言

昨日入れたガソリンスタンドに、富山の方言を相撲の番付表風に記しているもののコピーが置いてあった。「ご自由にお持ち帰りください」とのことで、迷わず持ち帰る。

方言にはいつでも敏感でいたい。じっくり隅々まで読んだ。結構、わが住む県の言葉について造詣を深めてきたつもりだったが、知らないものもたくさんあって面白かった。

相撲番付風ということは、当然横綱から東西に分けて書かれている。富山県は呉羽山を中心にそれより東、西で、それぞれ、呉西、呉東と区分しているのだが、俺の住む市は呉西になる。

まずは横綱だが、東は「きのどくな」、西は「きときと」だ。それぞれ、「ありがとう」、「生き生き」という意味だ。

これはすごく納得がいく。俺が富山に移住して初めて外食した回転寿司屋は「きときと」を冠していた。 「きのどくな」は呉西でも高齢者を中心に使用頻度は高い。

両者とも語感、字義共に申し分ない方言だ。センスも抜群だと思う。「ありがとう」自体がもともと、「有り難い」相手の行為に対しての恐縮の念だ。「気の毒な」と言い方を変えても、相手への気持ちを伝える言葉としては正しい。

こんな風に1つ1つ見てきながら、使用事例を想像し、語感を楽しんでいた。

呉東の小結は、「だいてやる」だ。どんな漢字を当てはめるかは考えて欲しい。

使用場面をシュミレーションする。

会社の上司に誘われた女の子。彼女はその上司が大嫌いだ。会話の節々に女性蔑視が見られ、脂ギッシュで加齢臭、性格は陰険で、むっつりスケベにしか見えない。顔を漢字で表すと、「性」といった感じだ。言う事全てが、セイセイセイ。その上司をセクハラで訴え、社会から抹殺する機会を窺っていた。

一方、その上司に悪気はなかった。見た目だけでセイセイセイと言われること自体を否定は出来ないが、見た目はどうしようも出来ないことであり、彼なりに誠意を持って対応していた。
性格が陰険に思われるのは口下手のせい。自分に自信がないからついつい、愛想悪い対応になる。なんとか自分の性格の殻を破って、明るい上司でありたいと思っていた。

そんな彼は覚悟を決めて、彼女を飲みに誘った。サシで飲む誘いに彼女が応じてくれるかは半信半疑だったが、何とか自分に対する誤解を解きたい一念で、思い切って声をかけた。

彼女といえば、自分の嫌いな上司の誘い、しかも2人きりの飲み会。応じる理由がまったくないように思えたのだが、彼女の日頃の怒りはその誘いをチャンスと捉えた。
録音機器を内ポケットに忍ばせ、セクハラ発言が1つでもあったら録音し、それを新聞社に送り、彼を社会から消す。スリリングであるが、日頃の鬱憤を晴らすには絶好の機会だ。
ちょっと思わせぶりな女になって、奴をはめてやる! そんな執念で応じた。

彼と彼女の複雑な思惑のもと、実現した飲み会であったが、急展開をみせる。

彼は自分のことを一生懸命話した。単に話すだけでなく彼女の聞き役にもなってあげた。

彼女は彼の話に耳を傾けているうちに、彼を悪い人だと思っていた自分が恥ずかしくなった。強烈な憎しみは強烈な愛情に変わることがある。彼女は彼に恋心に近いものを持った。
セクハラとは対極の清さを持った彼に、むしろ抱かれてもよいとさえ思った。

帰る時間が来た。その時には2人の関係は、傍から見ればお似合いのカップルのように微笑ましいものになっていた。

彼は彼女に言った。「今日はだいてやる」

彼女はびっくりした。いきなり抱かれるなんて、安い女と思われそう。でも、今まで彼に抱いていた憎しみの懺悔をこめて抱かれてみようと思った。「本当にいいのですか? 後悔していません?」と聞きながら、可愛く頷いた。

彼は、たかだか飲み代を払ってやるぐらいで、そこまで低姿勢になる彼女を素晴らしいと思った。勇気を出して誘ってよかったと思った。いつかは恋仲になれるかも? そんな期待を胸に、気持ちよく勘定を払った。

外に出る2人。車で送ってあげようかと思案していたのだが、あんまり馴れ馴れしくなるのも良くない。送るのは無理だと思い、「やっぱ無理」と彼はタクシーをすぐに拾い、彼女だけを乗せた。

驚く彼女、「やっぱ無理?????」 「抱いてやる」の宣言から10分で「やっぱ無理????、私の何がいけないの??」

翌朝彼女は職場には行かずに弁護士事務所を訪ねた。単なるセクハラと思っていたが、根底から女性を否定するセクハラ・オブ・セクハラ! 自分に対する侮辱が許せない。訴えてやる!

判決は彼の勝利。彼女は醜態をさらし、二度と「きときと」とは出来なくなった。
一方彼は、理由がわからないままではあったが、人となりは清いまま歳を重ねた。外見は「ぎとぎと」の度合いを深めていきはしたが・・・。

わかりにくい筋書きをつらつらとすまぬ。もうおわかりだろう。彼が言った「だいてやる」は「(飲み代のお金を)出してやる、おごってやる。」という意味で、彼女が考えた「だいてやる」は「抱いてやる」だ。

方言は素晴らしいと同時に恐ろしくもある。こんな筋書きを考える時に「きときと」する俺は「ばか」だ。越中で「ばか」は、「だら」という。

「だらだら」拙文を垂れ流して反省だ。今から「おちんちんかく」。反省の姿勢だ。

「おちんちんをかく」は「正座する」という意味だ。 痒いわけではない。

方言は面白い。ここまで書いてきて、「ありがた~くなってきた。(眠たくなる)」 
今から夕寝する。読んでくれて有り難い。

2 件のコメント:

あられ さんのコメント...

「きのどくな」!使う人います、職場に。何となくニュアンスで「そんなことしてもらって、申し訳ないねぇ~」って感じかな、ととらえていましたがなるほど。一言で言えば「ありがとう」ですよね。
今度その人に、富山出身か聞いてみよう♪

しかし見てみたいです、方言番付表。番付表、っていうだけでほぼ無条件に反応 ^^

管理猿まえけん さんのコメント...

>あられちゃん

番付表に反応してくれてありがとう。そんな気がしていました(笑)

「きのどくな」って語感もいいやろ? かわいい歳の取り方したおばあちゃんが使っているのが、何とも微笑ましいねん。

番付表はコピーして、次回ライブの時にでもあげるに。