2008年8月25日月曜日

ロックスターとロッキンおやじ

昨日の北京オリンピックの閉会式に、ジミー・ペイジが出ていた。次の開催地であるロンドンへのバトンタッチと紹介の意味があるのだろう、ベッカムなんかと一緒に出ていた。

最悪の音響環境、システムの中、レスポールを奏でるジミーの御大であった。かっこいいとも思わないし、かっこ悪いとも思わなかったが、今や国を代表する文化人になったジミーさんの姿を見て、時代の変遷を感じた。

ツェッペリンのコンポーザー、ブレインとして、アルバムを多数発表してきたジミーさんだが、彼らの真のすごさ、前衛性は、デジタル導入期、全盛時代になってから次々理解される。俺は録音技術に関しては無知だが、インタビューなんかを読んでも、マイクの立て位置、場所なんかに、えげつない工夫をしていたようだ。

それにあのリズム・・・、未だに仕組みがわからない曲が多々ある。前衛も前衛、やはりツェッペリンはすごい! 定期的にツェッペリンだけを聴いていたい時がある。

常に時代の、文化の先を行っていたジミーさんだが、かつては、ミスター・クロウリーの所有していた、ネス湖湖畔の館を購入する行為に現れるように、黒魔術どっぷりの音楽家だった。アルバムのジャケット、タイトルなんかには、黒魔術の影響無しにはありえない言葉、思想が反映されている。とてもじゃないが、紳士の国イギリスの文化人になれる資格を持った人ではなかった。

音楽面、思想面において、常人にはないオーラを発していたジミーさんのカリスマ性だが、徐々にしぼんでくる。ツェッペリン解散後のソロアルバム、ユニットアルバム発表以降が俺のリアルタイムでの体感だが、個人的にも、一般的にも音楽的評価は高くない。

そして、音楽的な評価とオーラがしぼみだすスピードに合わせて、ジミーさんの風貌は学者チックになってきたように思う。ロックスターからロッキンおやじ(文化人風味)に変化してきたのだ。

ツェッペリンのコアなファンにしてみれば、彼の音楽と、それに伴う風貌と嗜好の変化は物足りなかったり、時には幻滅さえ感じたりしたかもしれない。ただ、ジミーさんが加齢に伴い変化を遂げられてきたことは、それはそれで当たり前であり、至極かっこいいことでもあるように思う。

ロックスターは、生き急いで早死にする。だが、退廃した日々を抜けたサバイバーは、ロッキンおやじとなる。そして、ロッキンおやじは長生きする。最近そう思う。

薬物系、事故系、自殺系、早死にしたロックスターはかなりいる。だから、概してロック稼業のカリスマの寿命は短いと思われる。生きて醜態をさらすくらいなら死んだ方がよいという焦りと衝動が彼らにはあるのかもしれない。カート・コバーンが遺書にしたためたニールヤングの歌詞、「錆びるくらいなら燃え尽きたほうがよい。」という言葉が、カリスマミュージシャンの悲哀を物語っている。

だが、危なっかしい時代に幸か不幸か死ねずに生き残った人たちは、過去のむちゃくちゃな生活があったにも関わらず、加齢してからも、概して元気であり、長寿である。ブライアン亡き後のストーンズの面々を見ても、全身の血液を入れ替えた御仁の体力ではない。

ロックスターというカリスマ性は、長生きした彼らにはなくなってきている。その意味ではロックスターとしてはある意味死んでいるのかもしれない。

だが、ロックスターの称号と引き換えに、彼らは円熟に達したロッキンおやじの称号を手に入れた。その称号は、文化人風味を帯びている場合もある。そして、ロッキンおやじを文化人として認知するだけの文化的懐が、現代には備わってきている。

かつての不良が、後の文化人・・・。 明日のジョーが最後の試合で、警察の楽団に迎えられて、大歓声の中で試合をする場面がある。警察に目を付けられていた身のジョーが、警察楽団の応援演奏の元で試合をするという構図は、反体制の象徴であったロックスターが、すてきなロッキンおやじへと変化を遂げて、文化人になる構図と同じである。

生き急いで早死にするロックスター、しぶとく生き残り、時には醜態に見られながらも華麗な文化人へと変遷を遂げるロッキンおやじ・・・、両者とも天命であり必然であったのだろう。

時代の変遷と生き延び方、ある頂点から別の頂点への辿り方、やはり凄い人は凄い。色んな山の頂を、麓から傍観する市井の1人として、ジミーおやじの演奏を興味深く見守った北京終幕の夜だった。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こ、これが彼の有名なジミー・ペイジなのか!
と、思いつつ録画早送りしました。。
だって見たかったのは成龍だもん!(爆)

タツローが‘最後までアタマがわからない意地悪な曲!!’と悶えながらも嬉しそうにツェッペリンの音楽をかけてたっけ(笑)

管理猿まえけん さんのコメント...

>TAKABO

タツロー氏でもアタマがわからない曲なんや?なら、俺がわかるわけがない!(笑)
妙な安心感に包まれております(笑)

タカボがフェチってる中国語も、中国文化も、好意的に見ようとしたんやけど、やはり無理やった。どうもいかんどす。

ほうるもん、久々の全体リハを来週にします。9月か10月にまたライブっときます。また告知しますに。よろぴく!