2008年1月7日月曜日

ばかだもん!

今日は、出勤前にいつものように、本屋巡りをした。昼から出勤の仕事は、出勤前の本屋巡りが出来るのが利点だ。

見慣れた書棚をのたのた歩き、新刊コーナーを見たが、特に興味をひかれなかったので、古本屋へ移動する。

この古本屋は、かなり売り場面積が広く、有名古本チェーンに加盟しているのだが、値段設定が結構いい加減で、やる気ある価格とやる気ない価格の落差がすごい。大手フランチャイズらしく、最新ものには、新刊の2割引きくらいの強気値札をつけてくるのだが、旬を過ぎた本や、長いこと棚で眠っている本には、無気力な値段をつけてくる。安売りコーナーとして設けている書棚は少ないのだが、通常の書棚の高貴な御本の中に、貧民が混じっている。

俺は無気力な値段設定がなされた商品が多く詰まっている書棚を熟知しているので、そこを中心に、新入荷、値段下げ商品を中心に物色するのを慣わしにしている。一冊200円以上は払わない。200円以下で出会う本だけで、多くの出会いがあるので、それを優先している。

「今日はどんな出会いがあるのかな~???」とルンルンしながら、駐車場に車を停めた。

入り口の所で、実にやる気のない犬が繋がれていた。ブクブクに太った体と、生気のない目つき、そのくせして、じっとしているのに息切れしていやがる・・・。

このFAT DOGの輩、俺の前を歩く客が入り口に入るときは、一瞥もしなかったくせに、3メートル遅れで入り口にたどり着いた俺を見るなり、息切れしながらうめき出しやがる。目つきは相変わらずやる気がないのだが、全身で警戒感と威嚇を、愚鈍な反応で示しやがる。

昨日といい、今日といい、獣に喧嘩を売られる。昨日の反省を生かせばよかったのだが、俺はポケットにあった、レシートの丸めたかすを、彼に向けて投げつけた。奴は、後ろ足を持ち上げ、俺にうめき声を立てやがる。俺は、奴の繋がれた紐が届く範囲を確認し、奴に蹴り真似を入れた。

タイミングが悪い時は、漫画のような場面に遭遇する。隣接するハンバーガーショップから出てきた、オフの力士みたいな、ヤンキー臭プンプンの若い女子に、強烈なガンを飛ばされた。飼い主である。
飼い主と飼い犬の目方を合わせると、間違いなく30貫越えである。

俺は、強烈なガンをさけるように、店内に逃避した。店内の安全圏内に入って、入り口から視界が遮られる直前で、俺は、気になって入り口を見た。

「み・みてる・・・。」 リアルホラーだ。固まった姿勢で、人犬共に、俺を睨んでいやがる。
取っ組み合いになれば、性別関係なく、間違いなく負ける・・・。

俺は店内の奥隅に逃避したものの、彼女と犬の目つきが怖くて、もう1度入り口を書棚の隙間から見た。さすがにこちらを見てはいなかったが、彼女が乗り込む車が見えた。黒塗りフルスモークの、堅気の香りを排除した高級車であった。気のせいか、乗り際に奴らが再度こちらを見る気がした。

獣にまつわるトラブルが続いている。少し謙虚になろうとは思いながらも、俺だけに警戒心を顕にする犬と、眼光鋭い、2つの巨体が頭から離れない。ゆ・ゆるせない!

昨日の鳩と犬と巨体・・・、3つの強烈な視線が俺の心中を支配する。負けてなるものか! 俺は男の子だ! 気持ちを切り替え、いつもの廉価本が紛れ込む書棚を眺める。

前、来た時にはなかった、ハードケース仕様の、厚さ7㎝はありそうな背表紙が目に飛び込む。背表紙にタイトルはない。俺は手に取り、ケースから本を抜き出した。

肥満解消を目論む、その筋の書籍だ。表紙に写っている欧米モデルの女性は、紛れもなく先ほどの彼女だ!!! タイミングが奇怪なほど合いすぎている。こ・こわい。

CDコーナーに移動する。気持ちは萎えている。戦う気力はないのだが、気持ちを落ち着けるため、夢遊病者の足取りながらも、2階に上がる。CD廉価版のコーナーを見渡すが、目が背タイトルを捉えきれない。仕方なく、洋楽コーナーのジャケットが見える置き方をしているCDだけを見ていく。

真っ先に飛び込んだのは、オジー・オズボーンだ。HMの重鎮だ。ライブ中に生きている鳩に噛み付き、食した男だ。鳥獣愛護団体から悪魔の称号を頂いた男だ。奥様共々、要:肥満解消だ。

オジー関連のCDは、中古市場にそんなに出回る御仁ではない。

タイミングが悪すぎる。店内を出る。鳥獣とのあまりの相性の悪さに、俺は一種のオカルトを感じた。車に戻り、エンジンをかける。普段はCDを聞くのだが、今日に限ってラジオをつけていた。車を走らせること1分、ラジオから流れてきたのは、先ほどのオジーさんである。俺はラジオでオジーさんがかかるのを聞いたのは、生まれて2回目である。

曲は、「Bark at the moon」である。ジェイク・E・リーのリフが奏でられたとき、俺は目が覚めた。獣の遠吠えが聞こえた。

夢だったのだ・・・。 長い夢の記述で申し訳ない。昨日の鳩との格闘が、よほど堪えたみたいだ。尾を引いている。しかし、夢には続きがある。うつつに繋がる夢を、俺は初めて味わうことになる。

俺は、悪夢の余韻を振り払い、うつつの中、夢の中と同じ行程を現実に辿った。

新刊書店を飛ばし、夢に出てきた古本屋に行った。犬も、力士風ヤン女氏もいなかった。当たり前だ。
ところが、廉価発掘書棚に行った時、夢の中と同じような背表紙が目に飛び込んだ。
引っ張り出し、タイトルを見てびっくり!

「YOU CAN BE FAT-FREE FOREVER-あなたは永久に肥満から解放される 」

俺は怖くてCDの棚には行かなかった。しかし、頭の中で「Bark at the moon」がずっと鳴っていた。
帰り道に車の運転中、俺は車窓を開け、お隠れしている月に向かって吠えた。

「バーク アット ザ ムーン」→「バーカーアザムーン」→「バーカダモンーン」

獣に脅かされる俺の運命・・・。 なぜだなぜだ? 教えてネズミさん!
だって僕は、ばかだもん! 明日に続くのだ!

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