2008年1月6日日曜日

俺VS鳩・・・やさぐれ日記

今日、我が職場の塾に出勤したら、玄関前の屋根つきのスペースに、大量の糞がアートしていた。
人糞、犬糞、猫糞ではないサイズの、間違いなく鳥糞である。スイミー食の中に白色が混じった、あの糞が、前衛アートを思わせる配置で、散りばめられてあった。

屋根を見ると、いました、ホシが・・・。悪びれる風もなく、こちらをギョロ目で眺めていやがる。
自分の巣を離れた、やさぐれ鳩が、俺の聖なる職場に不法侵入して、おまけに糞までたれてやがる。

相手が誰であれ、鳥獣であれ、人の敷地で糞を垂れるとは、なんたる無礼! 俺の法度では許せる振る舞いではない。

それにしても、なぜ、急にここに紛れ込んだのか? 俺は周囲を見渡した。犯罪を誘発する手がかりが周囲にあるはずだ。 俺はルーペを取り出そうとしたが、取り出す間もなく、チーズビットのかすを発見した。俺の職場の向かいの家の子が、路上で食べていたのを見かけたことがある。
「何さらしてくれんねん!ジャリ! お前が餌付け犯人か!」と罵倒したい気持ちで一杯になった。

しかし、近隣住民のご子息を罵倒することは、俺の経済的な終焉を意味する。俺は殴りこみたい気分を必死で押さえ、糞掃除にとりかかった。

ちょうど、そこに、そのジャリが来た。屋根の鳩を見て、もちゃもちゃ言っている。俺は、鬼のような形相の表面を偽善の仮面でつくろい、彼に話しかけた。

「ぼくちゃ~ん、ハトさんは、チーズビット食べないよ~。それに、ここは、おじさんの場所だよ。だから、おかしあげるのはやめようね~。」と柔和に言った。

無視された・・・。 怪訝な顔で一瞥し、彼は去っていった。 き、きれそう、僕・・・。

無視されたとは言うものの、一応、餌付けを止める様に、遠まわしに威嚇したので、ジャリとの関係はもういい!

俺は鳩さんに、メンチを切った。物を投げるポーズをとった。しかし、無視された・・・。本日2回目の被無視だ。少々傷つく・・・。

色々ささやきかけて、鳩さんの自覚を促したが、奴は、素知らぬ顔で、頭上の鉄骨を闊歩してやがる。

「口で言って分からないやつには体罰を!」これが俺の法度である。俺は、蛇口に繋いだホースを取り出し、鳩さんに、軽く向けた。水を出し、届くか届かないかの所で、しぶきをそらし、威嚇した。
しかし、また無視された。3度目の被無視だ。

仏の顔も3度まで。俺は合掌した後に、鳩さんに向けて、水をぶちまけた。奴は奇声をあげ、逃げ出した。そして、道の対面の縁に座り、そこに鎮座した。ブルブル震えている。

飴と鞭が教育の基本だ。俺は奴に近づき、こんこんと人間用語で説教した。「びっくりしたやろ?でもね、おじさんが怒る気持ちもわかってね。あんた、びしょびしょなって、しばらく飛べへんやろうけど、羽が乾いたら、お前の傷は癒えるよ。でもね、おじさんの怒る辛さは、ちょっとのことでは消えないの。君も鳥ならば、鳥らしく、大空に羽ばたきなさいよ。冷たかったやろ?でも、おじさんの心はもっと冷たいのよ。しばらく、そこで反省していなさい。人間に愛される鳥になれるための、今日は記念すべき一歩だよ。ほれ、コーヒーを御飲み!」

俺は、ジョージアを彼の前で数滴垂らしてあげた。彼の目は少し潤んでいた。少し荒治療だったかもしれないが、彼が鳥獣界で飛躍するための、記念すべき一歩の立会い人のような、清清しさを感じ、彼に笑顔を振りまき、その場を立ち去った。

2時間後、彼の羽が乾いたかどうかを確認しに、再び表に出た。彼は、さっきいた場所にはいなかった。俺は安心した。きっと、マナーを守った生き方を覚え、人間との暖かな交流を彼の家族に話しに、巣に帰ったのだと思った。

その時、頭上で、「ピーピー」鳴く声がした。

奴だ・・・・。俺は鳩の鳴き声をカエルの鳴き声のようなものに認識していたが、今日聞いた声は、小鳥のさえずりをハスキーにした感じだった。

奴は、仲間を連れてきていた。奴より図体のでかい、番長クラスの奴だ。目つきが最高に悪い。やさぐれ仲間に違いない。

俺は身構えた。そして、周囲に小石がないか探した。  と、その時、俺の視線は蛇口に繋がれているホースを捉えた。水が出るホースの先端に、ぎっしりと盛り土のような、邪悪なムース状のものがある。

糞だ! 出来たての、新発売の糞だ! 俺の動揺をあざ笑うかのように、番長鳩は、ハスキーボイスで鳴きたてる。

ま、負けた。完敗だ! 人生で初めて鳥獣に負けた。俺も弱くなったものだ。俺は彼らから視線をそらし、屋内に消えていった。明日は、人間に言いつけてやる。そして、電気ビームでも何でもいいから、彼らの撃退法を考案してもらう。それで、鳩糞対策は終焉を迎えるだろう。

しかし、傷ついた俺の心は、当面立ち直れそうにない。負けた・・・。冷気が俺の頬をなでる。視線の先にはムースのオブジェが、ただ存在感を際立たせている。喧嘩を売るんじゃなかった・・・。鳩の世界もこんなに荒んでいたとは、平成という時代は、なんと生き難いのだろう・・・。

19時で校舎を閉め、俺は20時からのバンド練習に臨んだ。用意していた新曲のタイトルを一部変え、歌詞も一部変え、アナーキーな3コードを俺はメンバーに披露した。俺の人生最速のロックチューンである。曲名は「やさぐれて平成」だ。それまでは、「うらぶれて平成」だった。

笑うなら笑ってくれ。荒んだ俺の心を癒してくれるのは、この曲だ。勢いあまって、今月26日にライブブッキングした。やさぐれるには、機を逸してはならない。投げやりの負のエネルギーが、敗北感の負のエネルギーと結びついた時、そこには究極の正が生まれる。マイナスとマイナスは返信してプラスになるのだ。

「やさぐれて平成」・・・、獣臭がそこにはある。仁義もへったくれもないこの時代、俺は噛み付く。平均年齢40ぐらいの我がバンド「ほうるもん」、内臓からはじき出されたオブジェを今度は俺が出す番だ。鳥糞には負けない。人糞の香りを嗅ぎに来てほしい。

臭いだけが糞ではない。はじき出す場所を俺は選ぶ。仁義ある脱糞を最高の空間でオブジェに変える。

新曲が生まれた日、そこには鳥獣との憐れなバトルがあった。思い出深い曲になりそうだ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

番長鳩にワロタ(w

管理猿まえけん さんのコメント...

NAKA兄貴

番長鳩強いの・・・。怖いの・・・。今日も脅されました(笑)