2008年1月16日水曜日

昭和の気風

昨日、「さぶいさぶい」という周囲をあざ笑うかのように、薄着でいちびっていたせいか、今日の昼頃から非常に体がだるい。薄着で寝て、朝方寒くて目が覚めた。午前中は何ともなかったのだが、図書館の中で、急激にだるくなった。

幸いにして今日は休みであったので、昼からごろごろとしていた。

風邪のひきはじめに、昔はすりおろしりんごか、生姜湯を飲んだが、最近は、ひたすらビールを飲んで寝ることにしている。これがよく効く。2時間ごろごろしていただけで、すっかり正常になり、あとは、念のための静養をしている。

本を借りてこなかったので、手元に読む本がない。2度読み意欲を掻き立てる本も思いつかず、我が家の書棚を見回すのもだるい。仕方がないので、ベッド近くのタンスにあった1年前の時刻表を見ながら、色々なルートの旅を模索する。空想の旅だ。小学校時代は、毎日のように眺めていても飽きなかったのだが、今日してみると、すぐにルートが途切れる。

鈍行だけを使う、「青春18切符」で可能なルートを調べていくのだが、車中泊をあてに出来るような行程は組みようもなく、どこかで特急をかましたり、早めに大きな地方都市で宿を確保しないといけないような旅しかできない。不満だ。

俺は、中学を卒業した春休み、青春18切符(当時5枚で10000円だったと記憶している。)で、西日本を旅した。7泊8日の旅であったが、旅費は、青春18切符と、宇野~高松の宇高航路の船代と、八幡浜から別府だったかへの、船代のみで行けた。1泊目はちょうど四国を横断中に車中泊した記憶がある。高知の無人駅で、連絡に1時間ぐらい待ちぼうけをくらったりはしたが、概ね連絡はよく出来ていて、素晴らしき行程があった。

赤字路線には、昭和の説教親父がよく乗っていた。そして、キッズをみかけると、やたらと人生訓話を始める。向かいの席に、そんなオヤジが座ってきたら、要チェックだ。窓越しに彼と目が合うと、アウトだ。1時間で、彼の人生の8割がたをかいつまんで話される。彼らは冷凍みかんを勧めるのが特徴だ。話しはくどくて、説教調なのだが、最後に優しい言葉をかけて、降りていく。例外はない。

民営化になってから、JRさんは、赤字路線を削る必要からか、がらがらの長距離路線の運行を、極端に減らした。鈍行列車の旅は、今じゃ、組むのが難しくなっている。昭和のオヤジも出番が減った。

今日、時刻表を見ていると、主要都市の拠点駅では、複数路線の乗換がスムーズなのだが、よくよく見ていると、かなりむかつく路線もある。

これは、昨年の春の、嫁との結婚記念日旅行時に、実際に遭遇したことなのだが、新潟の直江津駅で、とんでもない目にあった。

長野県側から信越本線で北上してきて、新潟県の直江津駅で、北陸本線に乗り換えて、富山に帰る計画を立てたのだが、信越本線と北陸本線の乗り継ぎが、同時発着なのだ。そんなに大きくはない駅に、俺たちが長野から電車に乗って、直江津駅に着きました。乗換はすぐに出来て、スムーズな連絡だと思っていたら、俺たちが駅に着いた瞬間に、向かいのホームから、北陸本線が出発していたのだ。

30秒の時間差があれば、乗換可能であるというのに、その30秒の連絡が無いために、直江津駅で次の電車まで2時間の待ちぼうけをくらうはめになった。

事前に時刻表で調べた時に、着時間と発時間が同じだったことに、一抹の不安は感じたのだが、どうせ、向かいのホームに移動するだけの時間ぐらいはあるだろうし、それを加味して、ちょうどいい時刻を組んでくれたのだと思っていた。ところが、文字通り、同時に発着しやがった・・・。

怒り狂った俺は、JRのお客様センターに苦情を言った。苦情を言っても2時間待たないといけないのだが、こんなダイヤを組んだ馬鹿者がいることが許せなかった。鉄道トラベラーを馬鹿にしている!

俺: 「おどれな~、2時間に1本くらいしかない路線で、しかも、どう考えても乗り継ぐ人の方が多い路
線で、なんで30秒の調整が出来へんねん! 長野から富山は出入り禁止か?? 関所あるんかい? 日本海のがけ沿いに、テクで行けいうんか?? あん? あん???」

JR:「すみません。お客様のおっしゃるとおりで、この路線は、春のダイヤ改正で、乗り継ぎ出来るように修正する予定になっています。」

俺:「春だあ??? 俺はババひいただけかい! 30秒調整するのに春まで待たなあかんのかい!春まで何秒かかるねん! あん? たった30秒の遅れ取り戻すのが、そない大変で、脱線するんかい! あん? あん?? あん???」

かなりガラが悪い。俺は電話ではヤンキッシュだ。強い。

散々、俺がぶうたれたにも関わらず、辛抱強くこちらの話しを聞き、謝罪をくり返す、JR社員が素晴らしく思え、俺は途中から、少し優しく話し、彼の言い分を聞いてあげた。

彼の言い分はこうだ。なんでも、直江津(上越市)という乗り継ぎ駅は、JR西日本とJR東日本が相互に連携しないといけない駅なのだが、お互いに仲が悪くて、相手の言い分を聞かずに、喧嘩別れしたまま、この悪ダイヤが組まれたらしい。カスタマーの意向よりも、トップ同士のいがみあいが、30秒の時間も調整できない理由になっているというのだ。

俺は、たまたまクレーム処理をさせられている電話先の兄ちゃんに、先ほどの罵声をわびた。そして、やさしくこう言った。

「悪かったな兄ちゃん。ただな、君らにとっては一路線かもしれへんけどな、俺らみたいな旅行者にとったら、かけがえのない路線やねん・・。言っている意味わかるか??」 
・・・・・完全に昭和初期のオヤジ調のくどさである。言ってる意味を相手確認する前に意味を変えろ!

「兄ちゃん、電車好きか? 俺は好きや」
・・・・・相手に質問しておきながら、回答を待たずに自分の意見を述べるのも、昭和初期の特徴だ。

「どこのシャバでも、上の奴は、つまらんことで、いがみ合うけどな、兄ちゃん、これだけは忘れたらあかんで、俺らが時代を、変・え・る・ん・や!」
・・・・・貴様何者だ!!! 自分の発言に酔うのも昭和初期の酸味である。震える。

俺はただ、暗くなってきて、ホームシックにかかりだす時間に、地方都市の駅で2時間待たされることに切れただけなのであるが、それを、人生論に高めてクレームを言うあたり、昭和初期の悪弊を体内に宿している。単に、長旅で疲れていてぐずっただけなのだ。許せ、兄ちゃん!

俺の発言は、あまりにも古武士の拳が入った演歌調であるが、JR側の上記の同時発着はひどい。許せるものではない。民営化の弊害が露見された瞬間だ。たまたま、チェックミスで、同時発着が起こったならばいざ知らず、お上のいがみ合いで、30秒の調整がつかないとは何事だ!

どこの世界でも、上のいがいみあいのケツ拭きは、下に回される。いざ、お上が決めたことが動き出せば、最悪な判断を下した奴の責任の所在は点在される。そこで、罪のない、忍耐強い、微笑み君がカスタマーサービスでケツ拭きをする。

なんだか書いていて腹が立ってきたど! 上記のダイヤを組んで、動かせなかった責任者出て来い!
ケツ蹴り上げて、昭和のくどさで説教してやりたい。

「おどれ、客の気持ちより、東VS西の方を優先したやろ? 俺は北に住んでるんじゃ!よそでやっとけ!だぼ!  たった、30秒のために、お前も2時間待たせたろか? 2時間あったら、青春18切符代ぐらい稼げるやんけ! 言ってる意味わかるか? あん? あん?? 」

「てめえは確信犯やろ? 暗くて寒い駅で、2時間待たされる気持ちがわかるんか!ション何べんせなあかんかわかってるんか!  わからんやろ~、そうやろ??  あん?? あん?? おまけに、おどれの不始末を若い兄ちゃんにさせおって、お前今からカスタマーセンターで修行して来るか? なに~!!! いやだあ???? なんやその目つきは?? やるのか、やるのか、 あん? あん????」

「俺はお前が嫌いで言うてんのとちゃうど! 俺はな~、国鉄時代から、鉄道を愛してるんや。(沈黙)
目を閉じてみい!  小さい頃、お前の目に鈍行列車はどう映った??  颯爽と走る列車のフォルムに魅せられたのは、お前も同じやろ? それが今はなんや?? お前がすべきことは東西戦争ちゃうやろ? 大丈夫、今なら戻れるわ、昔の、こ・こ・ろに!」

昭和の悪弊を体現して罵声を浴びせた時、俺は監獄行きの列車に乗せられるだろう。言論暴力罪で、俺は「壮春懲役切符」を手に入れる。

さぶいさぶい・・・・、 昭和の気風を胸に抱いて寝る。

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