2008年12月7日日曜日

総理のお言葉と気風

内閣支持率がついに25%だとか。4人に1人しか支持していないというのは、政権運営的には異常事態なのであろうが、内閣支持率があまり高くても、それはそれで怖いものなので、個人的には、40%弱ぐらいがちょうどいいのだと思う。

支持率が上がるための要因の多くが、いつの頃からだろうか、総理のお言葉になってきたように思う。政策の真意を見るのではなく、色々なお言葉によって、総理は一躍人気者にも嫌われ者にもなる。

総理大臣だけでなく、最近の政治家言語レベルの低下は際立っているが、取りざたされる言葉が、極端な失言を除いては、そんなに批難対象になるような言葉にも思えないことが多い。

特定の人の感情を刺激する言葉を1度でも吐こうものならば、その後はマスコミの餌食になって、言葉狩りが始まる。そして、それに扇動されて世論は簡単に操作される。

失言に注意してばかりいて、毎回、「遺憾です。」と「慎重に対応します。」だけでも人気は出ない。「遺憾です。」では「いかんです。」 総理のお言葉は非常に難しい。

今年の流行語に、前総理のお言葉、「私はあなたとはちがう」というのが入ったが、これなんかが、流行語に選ばれる背景には、この言葉に相当の人がカチンときた現実があり、
そして、それを見せしめのようにさらすために流行語としてノミネートし、選ばれる素地が出来たのだろう。

だが、冷静に考えてみれば、全然大した言葉でもないし、噛み付くほうも噛み付かれるほうもしょぼいと思う。年度を代表する言葉かよ!

流行語は、世相を表すものだ。数十年後にこの言葉を、平成20年の世相として何を読み取ることが出来るだろうか?色んな意味で存在感の薄い総理とお言葉であった。

そして、現首相麻生さんのお言葉であるが、俺は個人的に嫌いではない。口をひんまげて吐き出す言葉は、医者人格がらみの失言をして言葉狩りが始まるまでは、心地よいときもあり、大善戦だったと思う。だが、どこかに違和感もあった。

俺はなぜ、麻生総理の言葉が心地よくもあり、その一方で違和感があるのかを考えていた。

それがわかった気がする。江戸っ子気風の「べらんめえ」調が、生理的に好きだから好感をよせていたのだと思う。

ところが、よくよく聞くと、彼ほど育ちのよい、学習院の皇族並みの人が、庶民の気風をふかした言葉を使うことに違和感がないはずがない。どう考えても不自然であり、単語とイントネーション的には江戸言葉なのだが、気風が感じられなかったのだ。

江戸言葉は、気風が伴わないと粋でない。その辺が、現標準語や関西弁にはない素晴らしさだと思う。気概が投影される言葉なのだ。秋葉原でこの口調が受けたのは、秋葉原にたむろする人たちの世界が、本来の江戸っ子の粋とは違っていたからだと思う。本当の粋人には違和感があると思う。

とは言ったものの、ここ数日はトーンダウンしているが、麻生さんの言葉はプラスマイナスではプラス評価だ。それには同情もある。

高級ホテルの飲食を暴露され、カップラーメンの値段を誘導尋問で答えさせられ、その見当違いの答えを叩かれていたが、超良血のおぼっちゃまが、カップラーメンの相場を知っているわけがない。これなんかは、マスコミの悪意ある操作だ。ほっといてあげろ!

1度悪意ある操作軌道に乗ってしまえば、挽回は至難の業だ。追い詰められて、自分の言葉を吐けなくなった総理が、悪循環で更なる失言を口にするのは至極当然である。

政治家が口にする言葉を、抜粋ではなく全文で表記し、それが批難されるだけの値がある問題発言であるかを冷静に吟味するだけの、第三者的な報道局はないものだろうか?

それか、言葉狩りをするマスコミ側を客観的に裁くだけの機関、もしくは国民投票システムを作り出さないと、稚拙な言葉だけで政局の世論が形成される現況は変えられそうにないと思う。

テクニック的に上手い言葉を身につけただけの政治家が人気を博す環境が今はある。野党の小沢ボスは例外として、鳩山君と菅君は、技巧的には上手い。だが粋ではない。これも麻生さんとは違うタイプの気風のなさが感じさせるしょぼさである。

言葉、発言に関して、今しっかりデータ化しておかなければならないのは、民主党の悪代官3匹の与党攻撃時に用いた言葉だ。彼らが与党となった時、そして新首相が3人の中から生まれた時、下野した自民党から必ず同じ論旨で批難される時が来るはずだ。その時の彼らの辱め用のデータベースだ。

その時に、野党となってしまった麻生さんが批判の急先鋒に立ったら面白い。今の民主党の批判内容をそのまま口調を変えて復唱してあげるのだ。そして最後に「べらんめえ!」と言う。しょぼそうだが・・・。

似非江戸言葉と、東京言葉の対決は、なかなかに面白いだろう。だが気風がないのですぐ飽きるだろうが・・・。内閣支持率はどうでも良い。総理のお言葉に、粋な気風を感じたいだけだ。

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