2008年12月10日水曜日

学校部活を外部へシフト!

今日のニュースでこんなのがあった。

「東京都内の公立中学校約640校で行われている部活動のうち、運動部を中心に毎年200部以上が、顧問の教諭の異動など学校側の事情が理由で休部や廃部していることが、都教育委員会の初めての調査でわかった。」

このニュースは東京だけでなく、俺の住む県でも確かな傾向だと思う。仮に部があったとしても、休眠に近いような状態のものもある。

ちょっとした怪我や体罰やらで、ギャーギャーとクレームをつけられたら、誰も顧問にはなりたがらないだろう。まして今の若いサラリーマン先生が、割の合わない部活顧問になるわけがない。昔は校長に依頼されたら意気に感じてなっていたみたいだが、今ははっきりと意思表示して断る力だけは欧米化している。顧問がいなければ、部活減少の傾向は仕方ないだろう。

自分の高校時代、野球部監督に対して、俺たち部員は、「あのおっさん、卒リン(注:卒業時にリンチを加えること)したらなあかんな~。」とか、むちゃくちゃ陰口を言っていたものだ。

今考えると申し訳ない。朝7時からの朝練、夕方は20時くらいまで練習、日曜、祝祭日は遠征で試合に出かける。その時に必ず監督がいたわけだから、監督にとっては年中ほぼ休み無しに近い生活だったわけである。

たまに機嫌が悪い時は、理不尽にベース・ランニングを罰として科せられたこともあったが、今から思えば、それくらいは人間だから仕方ないかなと思う。身を削って指導してくださっていたことに対する、ありがたさが今更になってわかる。

ただ、この監督は自らも野球一筋でこられた方だったので、趣味とわずかな手当てという実益を兼ねたものであったのかもしれない。好きでないと続かない。

ところが、多くの顧問は、決してその道の専門ではない。むしろ、やったこともない競技の部活顧問になる人の方が多いと思う。

野球部にもコーチが2人いたが、その1人はひどく野球が下手だった。補欠も補欠、ベンチ入りすら出来ないくらいのレベルであった。当然、生徒もそのコーチに対して敬意を持たない。「お前のほうが練習しろ!」とか、「あいつがノックしたら、練習ならん」とか、むちゃくちゃ言っていた。

休みは削られるは、生徒から蔑まれるは、そのコーチにしたら、部活顧問は苦行以外の何ものでもなかっただろう。それでも引き受けていたのは、お上の命令に良くも悪くも従う風潮があったからだ。

それが崩れてきた今、競技人口の少ないスポーツや、柔道などの危険がある競技の指導者が不足しているのは、仕方ない。

だが、指導者が不足しているといっても、それは教員内だけでの話だ。公立高校が教員内だけで顧問を充当させようとするから無理なのであって、外部からの指導者を招へいすればいい話だ。

フランスなんかでは、部活自体が学校にはないらしい。課外活動は月謝を払って各自が参加するものであるという考えが根底にあるらしい。教員にしても、学習指導以外に拘束されるなんていうことは、考えられないことらしい。(『知に働けば蔵が建つ』内田樹 文春文庫やったかな?より)

このフランス人的気質がいいか悪いかは別として、日本人特有の意気に感じれば損得を度外視する性質が変わりつつある今、フランスみたいに部活動自体を外部へ本格的にシフトするのもありかとは思う。

サッカーにおいては、全国にクラブチームがたくさん出来ているし、この先、色んな競技の経験者が指導者となり、クラブチームを作るならば、新たな雇用の創出にもなる。学校側も、無理やり部活参加を義務付けておきながら、受け皿の部活数が少ないという自己矛盾に悩まなくても良い。

クラブチームが資金的に自営できるまでの補助システムを自治体で作ってあげればよい。
高校野球甲子園は、各都道府県のクラブチーム選手権になる。高校野球ファンは表面的な変化を敬遠するかもしれないが、今でも実質的にはクラブチーム化している常連校が多いのだから、いいと思う。

練習場所、設備なんかのハードは学校が協力すればよい。全国の学校の部活が商圏になるのだから、各チームの月謝も安くて済む。体育系だけではない。文科系も対象だ。たまたま先生方で希望する人がいれば、きっちり報酬をクラブチームからあげればよい。アルバイトを禁止されている公務員であるが、名目のつけ方は小賢しい役人がなんとかするだろう。法の隙間をついてくれるだろう。

学校は本来勉強以外のことも学ぶべきところだ。そのために部活を義務付けてきた従来の理念は正しいと思う。ただ、是非は知らないが、変わってきた。

サッカーをクラブチームで熱心にしていて、将来有望な子にとっては、学校の弱小部活に強制参加させられることが迷惑になる現況もある。

今の時代にそった形態は、やはりフランスみたいな外部委託、クラブチームが部活機能を満たす環境だと思う。個人的にはこの傾向自体を肯定はしたくないが・・・。

0 件のコメント: