2008年5月2日金曜日

転石の主張

数日前、「休みたいならば辞めればいい」と日本電産の社長が述べた発言が批判にさらされていた。個人的には、この社長が言うとおりだと思う。
さすがに大企業のトップとしては言葉選びがまずかったとは思うが、言葉狩りにヒステリックに反応する輩のほうが気持ち悪い。

国全体の全雇用の労働条件が過酷なのではなく、職業選択の自由が与えられている環境があるにも関わらず、自分が勤めている会社の労働が過酷で休みたいならば、それは辞めればいいだけで、実に簡単なことだ。自分でその仕事選んだんでしょう? それならば、好きで続けるか、嫌なら休みの多いところを探せばいいだけだ。

自営業者なんて休みという感覚はあまり持っていないと思う。名目は休日でも、商売が常に気になるものだし、そのことで第三者に不満をもらしたりはしない。

残業時間が多く発生すること、そしてそれにたいする賃金を含めた待遇面、両者の関係は一概には言えない。

効率よく仕事をしていないから残業が発生するのか、会社の労働者への仕事の要求が物理的に多すぎるから残業が発生するのか、両者は立場によって主観も入るし、客観的な尺度を設けることは難しい。

それでも、本当に会社側に問題があるのであれば、その会社はいつか淘汰される。金は払わずに労働を求めるといった一方通行が永続するわけはない。

日本電産って会社、いったい何人の生活を抱えていると思っているのだ。えげつない規模の雇用を確保するために巨大な化け物を維持する上で、労働者への休日出勤やらが発生するなんてのは当たり前だ。

俺は今までたくさんの会社で働き、転職をくり返してきた半端者だ。自分の労働への対価を常に勘定し、割りに合わなければ、より合うものを探して動いてきた。アルバイト時代は待遇面ばかりに憤りを感じて垂れ流してきた時期もあったが、基本的に、正規雇用の在職中にその職場に対して待遇面で本質的な不満を持ったことはない。

不満があったとすれば、その時点でそんな不満のある会社でしか働けないわが身の能力に対しての自己批判だ。給料をもらっている以上、そして何より自ら応募して雇っていただいた以上、不満を持つ資格自体が俺にはないと思っていた。だから、どうしても折り合いがつかなければ、辞めることを選んだ。

自分が人生の中で労働にどれだけの時間を費やし、どれだけの対価を受け取るかといったプランは全て個別のものが立てられる。何を優先して何を辛抱するか、当たり前の選択をする環境は日本の中では間違いなく与えられている。どの立場にあっても選択権は我が手にある。

上記の日本電産の社長の発言に噛み付く奴は、休日が増えたら、今度は賃金について糾弾するのは間違いない。何でも欲しがるのは幼児の心理だ。大人になろう。

自分が持った才能の限界は30代までに気付く。その中で最大限の充実した暮らしを送るための、前向きな妥協地点を見つけ、あとはそれにひたすら精進するのみだ。そんな日々の中に幸せはあると思う。

まだ自分の才能の限界に対して終着点を見出していないならば、リスクはあるが、世間的に茨の道を歩めばよい。そしてそれが遠回りだったことを後に認識しても、その中で新たな軌道修正をしていけばよい。リスクを犯して夢を買ったのだから、夢代の返済をしていけばよい。

過労死というデリケートな問題がある。種々の事例があり、当事者への配慮も必要で、全般に当てはまることではないのを承知で言うが、過労で死ぬ前に自分で対策を取るべき問題であると思う。

自営業者で、1人で切り盛りしている店主が、激務の果て突然死したとして、彼らは過労死と裁判で訴える相手はいない。

会社は労働者に対して、賃金を払う。それに対して労働者は身を捧げる。自らの長期的なビジョンをそこに見出し、組織の一員たろうとする。

会社組織は、諸々の夢の集合体だ。仕事内容を夢にする事例もあれば、労働対価だけと割り切って夢を仕事以外に向ける人もいる。それでも集合体は種々の夢を乗せて、経済のうねりの中回っていく。

自分が夢を託した集合体が、何か自分の描いていたものと違っていたら、他に移ればよい。だが、それまで頂いた集合体からの見返りに文句を言う筋合いはない。

多くの先人たちが所属する集合体で不満を言わずに、日々に喜びを見出して、職務を忠実に全うしてくださった。その礎の元、労働組合なんて、平和ボケした団体も組織できた。
野麦峠を育む土壌はもうない。労働基準監督署があるのだから、労働組合なんてもの必要あるのかな?

今、本当に会社に文句が言える奴なんているだろうか? 「俺が社長だったらこうするのに」とか、「みんな馬鹿ばっか。いやになる。」といった愚痴は、酒飲み話題としてはあり得て良いと思うが、日常の感情を支配し、冒頭の発言に噛み付くようなことは、かっこ悪くて俺はしない。

なぜなら、「俺が社長だったら~」と言う奴は、社長になれる道を歩めばよい。「みんな馬鹿ばっか」と言う奴は、お前もその組織の一員だ。同じ集合体だ。馬鹿がいやなら群れを変えたら良いだけだからだ。

政治や国家に対しての噛み付きは、集合体を返ることが容易に出来ないので良いと思う。民意を上奏する意思は必要だと思う。でも、賃金を頂いている自分の勤め先に対して悪口を言うことは、もっともかっこ悪いことで、自分の現状の醜さを認めて管を巻いているに過ぎないと思う。

「転石苔を生ぜず」という言葉がある。二通りの解釈が出来る。哲学的トピックにされやすい言葉だ。苔の意味を良いものととるか、悪いものととるかで認識は変わってくる。

俺は苔自体には種類があって、その中で上質の苔が、どの石にもあると思っている。転職をくり返す中で、上質の苔には、その会社では辿りつけなかったかもしれない。

ところが石はたくさんある。その行く先々で別の苔があり、前の石で既に身につけた苔の養分を少し変化させていくことで、苔は成長していく。目指すは上質の苔だ。

どの石にも、最上級の苔がある。1つの石で最上を目指すもよし、転がって最上を目指すもよし。

日本電産の社長、こう言えばよかったのだ。「定石が嫌ならば転がって苔を育みなさい。」
俺は転がる方を選んだまでだ。

4 件のコメント:

Takabo さんのコメント...

毎度!
全く、溜飲が下がります。
そうそう、そう言いたかったのよ!って毎回思います(笑)

辞めれば?
離婚すれば?
あんたが選んだんでしょ?
って毎日誰かを見て思ってます。。(爆)

管理猿まえけん さんのコメント...

>takabo
毎度です。ほんま文句たれと言語狩り信者多いでしょ? 人の言葉に敏感になる前に自分の選択のルートを見つめろ!と言いたいです。
貴サイトのメーデーにヒントを得て書いたブログです。影響おおきに(笑)

金太郎 さんのコメント...
このコメントはブログの管理者によって削除されました。
管理猿まえけん さんのコメント...

コラ、タロウ! キンタマカンデオカクレシロ! イマスグニ!

上記に「金太郎」なるボケが卑猥で誤植だらけのカキコしたので、罵声だけ残して消えてもらいます。金太郎に合掌!