ゆとり教育以降の世代の子は、本当に泣けてくるほど国語力がない。言語習得がままならないことは、そのまま思考力低下を生む。彼らの国語力を何とかしてあげたいと思いながらも、俺1人の力でどうこうなる問題でもなく、また、俺の力量が彼らの国語力を育ませるほど、大したものではないとは思っている。
しかし、塾という立場で働く以上、何とかしようと考えることは大切だと思う。どこでどう響くかはわからないが、毎日、試行錯誤している。英語や社会の文系科目だけではなく、全ての科目に関して、国語力がないと、伸びる素地は形成されない。
国語力がない子は、語彙が少ないだけではなく、文節ごとの関係が習得できていない。そのため、テストの設問の意味すら理解できていない。当然、点数は良くない。
英語においても、英文を理解する以前に、「なぜですか?」と聞かれているのに、「~から」で答えを結べないといった、悲しくなる現実がある。
中3生は目先の受験があるので、だましだましのプログラムだが、中1、2生に関しては、長期的に国語力養成プログラムとして、3つの作業を毎回課している。
① 筆写・・・ 情景描写の多い、綺麗なことばが連なった文章を、提示し、それを音読させた後、すべてひらがなに変換したものを見せ、10分で筆写させている。語彙力習得と転写作業を通して、作業力を養成する意図がある。
② 表や図や絵を提示して、それを自分の言葉で、他者にわかるように説明させる作業・・・画像を貼り付けたいのだが、今手元にない。漫画かなんかの一場面の絵を使う。絵を見ていない人に、言葉だけで説明させる。だいたい100字くらいでまとめさせ、自分が書いた説明を他の生徒に話し、絵の状況を説明できているかを意見交換させる。お互いに、だめ出ししまくりであるが、結構真面目に取り組んでくれる。
③ 文章を図表や式に置き換えたり、計算させたりする作業・・・数学の簡単な文字式問題を変形して国語的に取り上げている。例えばこんな感じだ。
「太郎君は、毎日夕方4時から8時間、コンビニエンスストアでバイトしています。
22時までは時給が800円ですが、22時以降は時給が2割増しになります。
太郎君の今月の出勤日数は、24日間であり、1日だけ4時から20時までの4時間
で早退しました。今月分の太郎君の給料はいくらですか?」
また、
富山から福岡に行くことになりました。まず、時速Xキロメートルで5時間、敦賀まで泳ぎ、その後、時速40キロメートルで自転車を7時間30分休まずにこぎ、広島に着きました。広島からは時速80キロの馬に乗り、4時間かけて目的地に着きました。全体の道のりを式で表しなさい。また、全体の道のりを1100キロとした時、時速何キロで泳いだことになるかも求めなさい。
こんな感じのプリントを昨年1年かけて、中1、中2分それぞれ40パターンずつ、計80パターン作った。今年はそれに改良を加えていっている。
目先のテスト結果を目指すものではない旨を保護者にも理解いただいているのだが、幸いにして定期テストでも好結果が出始めている。当面は、長期ビジョンを信じて継続していきたい。レベルアップした子には、社会なんかの資料も使い、論説文を書かせる課題を与える。
社会で出される時差問題を、図と式を元に推測させ、言葉で時差の求め方を定義させるのだ。ヒント無しではなかなか困難だが、時たま、びっくりするくらい上手な定義を出す子もいる。
国語教育は面白い。その分悩みは尽きない。ころころ指導方針を変えるわけにもいかないので、骨組みはこれでいきたい。そしてマイナーチェンジを加えていこうと思う。良いアイデアがあれば、是非ご一報いただきたい。
俺の自作教材は、英語、国語で現在、856 MB だ。 まだまだ増やしていく。
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