2008年5月12日月曜日

昨今のプロ野球事情への私的感想

先日、日本のプロ野球球団別平均年俸が出ていたが、巨人と広島の差がえげつない。年俸で彼ら野球人は評価されているのだが、巨人が広島に対して、その圧倒的な年俸差分を実力で見せつけるかといえば、そんなことはない。むしろ、広島の返り討ちにあっている場面の方が多い。

これだけの年俸差が出ると、ある1つの球団一筋の玄人は減っていくばかりだ。広島という球団は、昔から球団愛が強くて、他球団ならば年俸ももっと稼げる場合でも、広島を愛し、一筋でやってきた選手が多かった。今でも前田選手なんかは見ていてしびれる。

ところが、金本選手が阪神にしっかり溶け込んだかと思えば今度は新井選手も阪神入り。両選手とも好きな選手であり、好きな球団に入ってくれたので腹立たしいわけではないのだが、生え抜き選手が減ってきている現状は、なんとも寂しいものがある。広島だけの話しではなく、球団全てボーダレス状態だ。

例えば、あの長島さんが、巨人一筋でなかったら、掛布さんが阪神一筋でなかったら・・・。これらは、明らかに目を背けたくなる寂しさを感じさせる事態を招いていただろう。
ある特定の人を聞いた瞬間に想像できる映像が1つであったほうが、記憶に残る選手になるのは間違いないと思う。

大リーグへの挑戦は仕方ないと思う。フィールドが違うわけで、日本で成すべきことを成した人が挑戦するのは、庶民の英雄像を全体に排して真の娯楽となりうる素地を作ってくださるプロとして当然だろうと思う。果敢に挑戦して炎上する井川選手に俺はサムライを感じるし、野茂、イチロー、松阪選手には驚愕の念を感じ、毎日の動向に興味深々である。

ところが、国内球団での移籍の頻度の高さは、プロ野球自体への興味を失う一因を作りつつあると思う。あの暴君、鍋ツネ率いる巨人には、毎年他球団の色彩を未だ残した選手が入ってきてはしょぼくなる事態が習慣化している。

巨人が悪い風潮を作ったために、他球団も含めた球団選択の自由化ばかりが一般化し、野球中継を見るたびに、「あれ?この選手今この球団におるんや?」という、不慣れな映像に面食らうはめになる。

一軍登録がほとんどないような選手は、新しい指導者を求めて新天地にいくのはプラスになることもあるだろうが、ばりばり一軍で、その球団の顔となった選手が、球界のジャイアンの手下になるのは、なんだか不満が残る。

ただ、球団一筋の職人が減ることに一抹の寂しさはあるものの、よい面もある。それは、監督や球団経営者の優劣をはっきりと公に示してくれることだ。

自前で戦力を育てられずに、引き抜きばかりを繰り返し、挙句の果てに、引き抜いた選手を潰し、見捨てられることをくり返す経営者と監督・・・、具体名は出さないが明らかだろう。

その一方で、与えられた選手を育てながらやりくりし、優れた結果を残す名将もいる。野村監督なんかは、好き嫌いは別として、まぎれもなく名将だ。なんだかんだいってすごい人だと思う。

阪神が常勝軍団になりつつあるのは、やはりペコちゃんこと岡田監督の力量だと思う。世間的な人気はないが、落合さんは選手としても監督としても最高級だと思う。

野球が戦後復興時期の希望の象徴で、庶民の娯楽の王様であり続けてきた。その野球が金で何でも買いあさるトレーディングの舞台としてしか見れなくなったならば、庶民のささやかな楽しみは他のものに向かうであろう。

今の巨人戦に魅力がなくなるのはあたり前で、民放も巨人戦以外の放送が増えてきているし、今後も増える一方だろう。当然の結果だ。

球界に大きな下克上があって、戦乱のすえに、また以前の職人気質あふれる集団気質が戻ってきてくれることを願う。プロとはいったものの、個人競技とは違い、チームスポーツなのだから、球団と選手のまとまりの凄さを感じるスポーツにまたなってほしいと思う。

今年1番凄さを感じる選手がダルビッシュだ。ハーフという境遇は日本では色眼鏡で見られがちだが、幼少から色んな面で微調整をくり返してきたのだろう。基本的に賢くて、微調整が出来る選手というのは、好不調の波が少ないと思う。多くのプロの中でも彼にとっては当たり前で、凡人には出来ない微調整マニュアルがあるのだろうと思う。ピッチングは歴代投手の中でも芸術度ナンバーワンではないかと思う。

なんだかんだいって、俺もまだまだプロ野球に庶民の夢を少し託している。彼らはプロなのだ。職人の中の職人なのだ。もっと際立って欲しい。

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