2008年5月19日月曜日

稚拙な対話文

入試に出る対話文の滑稽さ、大学入試編は以前書いたが、今日は高校入試編だ。なめとんか!のオンパレードだ。また、記憶を頼りに再現する。誇張がないように確実に覚えているものだけを記す。

まずは、沖縄。沖縄県の入試問題は圧倒的にレベルが低い。
A: (      ) Does this bus go to Naha?
B: No, it doesn’t. You have to wait for another bus.
ア Excuse me.     イ I’m sorry.     ウ That’s right.     エ Thank you.

バス停での会話だ。おそらく観光客だろう。那覇行きのバスを知りたいが、路線図を見てもよくわからない。そこで地元民に尋ねようという算段だ。

正解のア以外、ありえない局面だ。問題にすること自体に無理がある。

イ・・・いきなり観光客に話しかけられて「ごめんなさい。」  何をされたんや???僕わからない。
ウ・・・向こうから人が来て、いきなり「その通り!」  何が??? 僕困る。
エ・・・初対面で「ありがとう!」 僕の存在自体が感謝の対象?? 僕勘違いする。

どう考えても他の紛らわしい選択肢が思い浮かばない場面設定だ。問題自体をなくすか、もしくはもっとユーモアが欲しいものだ。 俺ならこう作る。

イ Hey man! ・・・「ヘ~イ メ~ン!」といったブラザーなアクセントで読んで欲しい。 中指を立てるな 
            り、下ろすなりしてくれるとなおYoi!  沖縄在留米軍による問題も多々ある中で、
            ブラックでよい。

ウ Jump  ・・・ 「跳んでみろや!」 かつあげだ。小銭確認のための必須命令だ。

エ Don’t stand my back! ・・・ 「俺の背後に立つな!」 今こそ入試にゴルゴを!



次は福岡。入試問題レベルとしてはなかなか高い県だが、やはり強引な問題がある。

A: I’m sorry, I didn’t bring the book you lent me last week.
B: (     ) I don’t need it today.
ア Don’t worry.   イ That’s a problem   ウ You’re welcome   エ I think so.

これも正答のア以外はむちゃくちゃ。「かんにん。おまえが先週貸してくれた本忘れてもうた。」に対してのBの返答、

イ・・・ 「それは問題だな!」 むっちゃ嫌な奴だ。こんな奴から借りたほうが悪い。
     きっと、折り目や汚れまで指摘してくるに違いない。君の存在が問題だ。
ウ・・・ 「どういたしまして!」 ごきげん度高しだ。こっちは謝っとるっちゅうねん!
     こういう奴からの本は借りパチ可能だ。ウェルカムウェルカム!
エ・・・ 「そう思うね!」 こいつは復唱マニアだ。単なる報告と謝罪に対して、思考して復唱するのが趣 
     味の奴。会話を転がして欲しい、I think so.



最後はお気に入りの埼玉県。入試問題はなかなか面白い県だ。

Hiromi: The room is very hot, isn’t it?
Ben : (          )
Hiromi: Yes, please. Thank you.

ア Shall I open the window? イ Do you know how to open the window?
ウ How can I open the window? エ Is it easy to open the window?

正解のア以外の誤答全てに「窓を開けること」へのこだわりがなされている。一貫した誤答設定スタンスは素晴らしいと思う。時に哲学的な苦悩も展開されている。

ヒロミはただ「部屋暑くないけ?」と言っただけなのに、ベンは時に苦悩し、時にヒロミ
を馬鹿にする。

イ・・・「お前窓の開け方知ってるん????」 ヒロミ屈辱!
ウ・・・「どうしたら窓を開けられるのだろう?」 お前は脱走兵か!
エ・・・「窓を開けることは簡単なんだろうか?」 フィロソファー、ベン! 悩む時には
    場面と相手を考えよう。

こんな稚拙な入試問題は、ただ正答を出すだけではなく、本質的な滑稽さも含めて教えたいものだ。無理な対話文より、普遍の論説文を入試問題に求む。対話環境に乏しい日本で、ぎこちない不自然な会話表現を教えることに意味はない気がする。読み取る力さえ養われれば、単語のイメージを噛み砕いて、自分なりの言語が生まれてくると思う。日常会話が必須でない人に仮想対話関係を設定しても、会話に機転は訪れない。

入試問題批判ばかりではないので、感動した入試問題もいつか列挙したいと思う。

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